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    もちこの本棚📖

    @zunnda_motico

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    現在GW:T(K暁とCPなしメイン、たまに暁K、)作品になります
    (アイコンはいかてんころもさん(@Ikaten_koromo)作です☺️ありがとうございます☺️)

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    11月のK暁デー、お題は『チョコレートケーキ』『こたつ』で書かせていただきました!
    先月の話の続きにはなりますが、単体でも読めます👌🏻´-

    #K暁
    #毎月25日はK暁デー

    甘美な菓子と炬燵の誘惑「週末の天気は晴れ、一二月下旬頃のような気温になり、最低気温は……」
     テレビで流れる天気予報は、今週末が一段と冷えることを示していた。それを見ていた暁人が「早めに冬支度をしておいて、正解だったね」と夕飯の準備をしながらKKに語りかける。
    「今年は随分と過ごしにくいな、日中は春みたいな気温だってのに」
    「本当にね、体調崩さないようにしないと」
     今日の夕飯は生姜をたっぷり使ったスープと、スタミナがつくようにと豚キムチにした。キッチンから香る美味しそうな匂いにKKの腹の虫が鳴く。
    「お待たせKK、ご飯にしよっか」
     ぱたん、と読んでいた本を閉じてKKが食事の準備を始める。ダイニングテーブルの上に色違いで購入したランチョンマットを敷いて、箸を置く。今日は酒を飲んでもいい日だと、グラスにビールを注いでいく。
    「あまり飲みすぎないでよ? 明日は出かけるんだから」
    「へぇへぇ、嗜む程度にしておくよ」
     互いに手を合わせ「いただきます」と食べ始めた。
     
     天気予報の通り、週末は酷く冷えた。二人揃って炬燵に入ったまま、出ることが出来ない。一日のほとんどを炬燵で過ごし、既に夕刻になろうとしていた。
    「KK……今日のご飯は手抜きにしていい…?」
    「おうおう、たまには出前でも取ろうぜ……」
     家にまで届けてもらう人には申し訳ないが、寒くて外出する気は起きず、出来ることなら炬燵から出たくなかった。暫くして突然、暁人が何かを思い出したように起き上がる。
    「……あ、やっぱりいいや。僕ちょっと出かけてくる! ついでに夕飯も買ってくるよ、牛丼でいい?」
    「良いけどよ…一緒に行くか?」
    「大丈夫! KKはゆっくりしてて! いってきます!」
     バタバタと準備をして暁人が出かける。玄関から入ってきた冷気に思わずぶるりと体が震えた。
    「うわ、さっみぃ……!」
     KKは再び妖怪コタツカラデラレナイになり、丸くなりながら暁人の帰りを待った。
     
    「ただいま!」
     両手に袋を下げて暁人が帰宅した。KKが出迎えて袋を受け取る。触れた手が氷のように冷たかった。
    「おう、おかえり……って、オマエ耳真っ赤じゃねぇか、痒くなるぞ」
    「急いで出ちゃったから、耳あてとか手袋忘れちゃった」
    「ったく、手もこんなに冷やしやがって……風邪ひくぞ」
     冷たい手を温めるように軽く握る、指先は赤くなっていた。手洗ってこい、と暁人を洗面所に向かわせ、買ってきたものをテーブルに広げる。まだ温かい牛丼ともうひとつの袋を開けると、中には白い箱が入っていた。
    「あ、それね、ケーキ」
    「ケーキ?」
     箱を開けると、二種類のチョコレートケーキが入っていた。
    「牛丼食べたら一緒に食べようよ、冷蔵庫に入れておいてくれる?」
     どうしてケーキなんか、と聞く前に早く早くと暁人に急かされて、KKはケーキの箱を冷蔵庫に入れた。
    「KK、今日は炬燵のほうで食べない?」
    「そうだな、たまにはいいか」
     暁人が帰る前に電気ケトルで沸かしておいたお湯でほうじ茶を用意し、これまた色違いの湯呑みにいれる。
    「……いい歳してお揃いなんて、最初は小っ恥ずかしかったが……まぁ、悪くないな」
    「対になって、いい感じだろ?」
     冷めないうちにと、二人は牛丼を食べ始めた。
     
    「で? なんでケーキなんて買ってきたんだよ」
    「ふふ、なんとなく。KKと一緒に食べたくて」
     てっきりなにかの記念日かと思えば、寒い日なのに暁人が食べたくなってわざわざ買いに行ったそうだ。二種類のケーキを皿に並べる。
    「ビター系ならKKも食べると思って、半分ずつにしようよ」
    「半分と言わず好きなだけ食えよ、オレは一口ぐらいで十分だ」
    「そう? じゃあ、お言葉に甘えて」
     暁人がぱくりと、ケーキを口に運ぶ。
    「……うん、美味しい! ほらほら、KKも食べてよ」
     よっぽど美味しかったのか、暁人が目をキラキラさせて嬉しそうな表情を見せる。可愛いやつだな、と内心思いながらもKKは口を少し開けた。
    「あ、食べさせてあげよっか?」
     暁人が満面の笑顔でKKの口にケーキを運ぶ。
    「……悪くねぇな」
    「でしょ?」
     その流れで、最初の宣言通り半分ほどKKに食べさせて暁人は満足した。
    「美味しいものは、大切な人と食べたらもっと美味しいからさ……家族とか、そうでしょ」
    「……あぁ、そうだな」
     これ美味しいね、と暁人が残りのケーキを食べ進めていく。最後の一口を食べ終わると、暁人が呟いた。
    「……こうしてゆっくりできる日も中々ないし、それなら今日しかないかなぁって思ってさ」
     ハロウィンが終わり、年の瀬まではマレビトたちもそこまで活発になることはなく、怪異も少し落ち着くためちょうど今の時期はそこまで忙しくはない。だが、こうしてゆっくりと過ごせる夜は珍しいくらいで、とくに年末年始は人の煩悩も増えて正月休み返上になることも有り得ない話では無い。それを踏まえて、暁人はどうしても今日決行したかったのだ。
     「……ついてんぞ」
     KKが暁人の口の端についているケーキの欠片を指で取り、それをぺろりと口に含む。
     「……どうせならキスしてよ」
     暁人が笑いながらKKの唇にキスを落とす。ほんのり、チョコレートの味がした。顔を見合わせて、少しの沈黙。
    「あー……炬燵から出られないね、ずっとここにいたい」 
    「……なら、ここでするか?」
    「風邪ひくからダメ」
     
     温かな炬燵に包まれて交わすキスは、甘美なチョコレートの味だった。 
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    💖💖💖💖💖💖💖💖☺☺💖💖💖🍫🎂💕💕
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    subaccount3210

    DONE #毎月25日はK暁デー
    【ジューンブライド】【ボーナス】【願い事】

    ※純度100%けあきです!!!
    ※ナチュラルに全員生きています
    白いタキシード姿の若い男が赤い絨毯に片膝をつき恭しく目の前の人の左手を掬い上げる。
    「僕と結婚してください」
    普段は柔和な印象を受ける目は真剣な色で己の指先を見つめている。シンプルだが決して安物ではないプラチナリングはステンドグラスから差す陽を受け一段と光輝いて見える。それがゆっくりと慎重に左手薬指に納められる。サイズもピッタリだ。秘かに安堵する息を飲み込んでセットした髪が崩れぬよう気を遣いながら愛する人の顔を見上げる。
    指輪と同じように陽光を背に受け輝くその人はしっかりとした声で応えた。
    「いや、何でオレがプロポーズされる側なんだよ」

    このチャペルはとある観光地のホテルに併設されたもので大々的に結婚式をするよりもブライドフォトを撮る場所である。勿論ここでプロポーズをする恋人たちもいて、ホテルスタッフは翌年の予約を楽しみにしていたのだが数ヵ月前から『このチャペルでプロポーズすると不幸が起こる』という噂がまことしやかに囁かれるようになった。『このチャペルでプロポーズすると破局する』という噂ならデートスポットでよくある嫌なタイプの通過儀礼のようなものではね除けようと思うのだが『不幸が起こる』という文言が気にかかった。しかも実際に『事故に合った』『病気が見つかった』といった実例も挙がるのだから噂は信憑性を増してしまい終いには『あのチャペルにはプロポーズして結婚間近で死んだ霊がいる』とインターネットに書き込みがされた。
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    りんご

    DONEK暁デー 『いたずら』 そして表題に戻る系。
    そんなつもりなかった二人がその気になる話です。
    せめて飴くらいは手元に置いとけばよかった!「ご飯? お風呂? それとも僕?」
    「オマエ」

    というわけでこの話は終わった。
    「そんな訳ないでしょ! 何考えてんだよKK!!」
    「いや何なんだよオマエ」
    「こっちが何なんだよ だよ!」
    「なんなんなんだよだよだよ」
    「あああ呪文にするなよ…」
    状況を整理するにしても、普通の生活を詳細に描写する程度のことしかできない。今回の依頼はKK単独の小さなものだったので、資料をまとめることで一日を過ごした暁人は、せめて疲れて帰ってくる相棒のためにと彼の自宅にてご飯や風呂の準備をしていた。合鍵を使って堂々と入り、勝手知ったる様子で冷蔵庫を確認し、風呂の栓を抜いておく。暁人があれこれ始めたことで多少は解消されたが、KKのズボラさは相変わらずだ。買うものの算段を付けて、流しに残っていた食器を洗い、一度外へ出る。必要なものを買い足して再び家へ戻り、手早く下ごしらえを始める。疲れている時はとにかく手軽さ手早さを重視したほうがいいだろう。あの面倒くさがりは手の込んだものを食べるくらいなら、そのまま寝かねない。炊飯器のスイッチを押して、玉ねぎと牛肉を切って皿に移しておく。冷蔵庫へいったん入れて、掃除するべく浴室へ向かった。そこからは家主の帰宅まで散らかったものを拾っておく作業だった。
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