二月ぶりの逢瀬。
滅多にない二人きりの時間だと言うのに宿に入る前から半助はむっとした表情をしている。
利吉はあからさまに不機嫌ですという顔をした半助を見ておかしそうに笑う。
「なんだよ」
「別に。もう、何拗ねてるんですか」
こちらを不機嫌そうにじとーっと見てくる顔がたまらなく可愛い。
「利吉くんはなんでそんなに機嫌がいいわけ」
「拗ねる土井先生がかわいくて…あっ」
はっと口に手を当てたが遅かった。
言うつもりはなかったのに。
半助はおもむろに立ち上がり、利吉の横に座ったかと思えば寝転がって腰に抱きついてきた。
驚いていると利吉の腹にぐりぐりと己の顔を押し付けてくる。
「わ、ちょっと土井先生…ふ、ははっ!」
腹がくすぐったくて身を捩ると腰に巻き付いている腕にぐっと力がこもる。
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