ご飯を一緒に食べるようになってから七海とすごく仲良くなって、互いの部屋に泊まることも増えた事で楽しみがある。
それは、七海より早く起きないとできない楽しみでそう言う日は頑張って七海より早く起きるんだ。
「ふぁ・・・ぁふ・・・ん゙ん〜・・・・」
空が明るくなって来たばかりに目が覚めて、隣に寝ている七海を起こさないように体を伸ばしてゆっくりと体の向きを変える。
「ふふっ、よく寝てるなぁ・・・・」
体の向きを変えた先には七海が僕の方を向いて寝てて、いつもは整えられている前髪も今は無造作に広がっている。意外にも長い前髪が顔の上半分を隠すぐらい長いなんて、初めて見た時まで知らなかったなぁ。
その前髪を指先で慎重にかき分けて、その下にある顔を見る。
いつもは眉間にあるシワも無くて、穏やかそうな寝顔に胸の中がじんわりと暖かくなる。
「好きだなぁ・・・」
一緒にご飯を食べるようになって、七海と仲良くなって、互いの部屋に泊まることも増えて、今まで知らなかった顔を見たり見せたりすることも増えて、それが恋になるのも時間もかからなかった。
「七海、好きだよ」
本当は起きている間に伝えなきゃいけないのに、まだ勇気が出ないから寝ている間にこっそりと伝える。
二度寝しようとかき分けていた前髪を下ろして、枕に前髪が落ちた時に七海の目が開いていた事に気付いた。
「おはよう!!??」
「おはよう」
起きていたなんて思わなくて、少しだけ体をのけぞってベッドから落ちかけた僕を七海が腰に手を回して落ちないようにしてくれた。
腰に回った腕と前髪の隙間からこっちをしっかりと見ている翠の眼にドキドキして、顔がじわじわと熱くなる。
「い、いつから起きてたの・・・・?」
「数分前に。で、さっきのは本当ですか?」
「はへぇ!?」
数分前から起きていたらしい七海が腕に力を入れて引き寄せて、キスできるんじゃないかってくらいの至近距離に来た顔に息が一瞬止まった。
って、さっきの?
「さっきのって・・・・」
「私のこと、好きなんですか?」
「聞いてたの!?」
「聞こえたので」
「うぅ・・・・」
まさか聞かれていたなんて思わなくて、両手で顔を隠して唸るしかできなかった。
まだ言う勇気がなかったから、寝ている間だけ言ってたのに。
「灰原。もう一度聞かせてください」
「うぐ、ぅ・・・!!好きです!!七海が好きですぅ!!」
前髪をかき上げて後ろに流しながら僕の告白をもう一度とねだる七海に負けて、やけくそ気味に言ったら、首筋に人肌の温もりとさらりと細い何かが触れた。
「七海!?」
「良かった・・・・聞き間違いじゃなくて・・・」
安心したかのような声と一緒に当たる息と首筋をくすぐるように動く細い何かが動く。この細い何かってもしかして、七海の髪の毛だったりする?
「私も灰原が好きです」
「へぇ!?は、嘘ぉ!?」
「嘘なものか」
家族以外で私のこの姿を見せていないんですから、と言って前髪の隙間から見える翠の眼が嬉しそうに細くなって僕を見つめていた。
「明日から恋人として、よろしくお願いします」
「ひゃい・・・・・」
おまけ
「あれ、やっぱりズルすぎない?」
「気の所為ではありませんか?」
「気のせいじゃない!!」