Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ねこまんま

    @GWT60624633

    GW:T K暁
    ねこが自分の食べたいものを自炊するところ🍙

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍙 🍚 🍡
    POIPOI 50

    ねこまんま

    ☆quiet follow

    暁人が高いところに上るだけの話。

    #K暁

    ずっと避けていた。

    渋谷スクランブル交差点。

    もう彼がこの世にいない事は僕が一番知っている。
    それでも行き交う人の波間に彼の姿を探してしまう。これが未練か。

    (やっぱり辛いな。)

    なるべく足元を見るように心掛け、早足で歩く。人混みを避け裏道に入ると独特の湿った匂いが鼻につく。あぁ、駄目だ。こんなところにも彼との思い出が残っている。このまま僕はどこへ向かえば良い?

    (あれ…)

    路地を抜けると満開の桜。いたずらに吹いた春の風が桜の花びらを舞い上げる。こんなところに桜の木があっただろうかと、彼と歩いた記憶をたどる。

    突然小さな旋風。思わずかざした左手が何者かに引き上げら僕の身体は風となり、宙を翔ける。

    彼と渋谷の街を駆け巡ったあの夜。一等高いビルの上から霧に包まれた渋谷の街を見下ろし、彼はこういった。

    「お前がこの街を守るんだ。」


    気がつくとあの夜と同じビルの上。眼下に渋谷の街が広がる。行き交う人々のざわめき、自動車のクラクション、駅のアナウンス…あぁ今まさにこの街は生きている。脈々と続く人々の営み。彼が守りたかったもの。
    あぁ、彼はもうこの街にはいないんだ。

    「KK、また一緒にここに来たかったよ」
    二人で守った街を見下ろして、笑い合いたかった。
    「ホントはもっと、一緒にいたかったんだ」
    明るい渋谷を駆け回りたかった。

    最後に「好きだ」と言えばよかった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited

    related works

    recommended works

    りんご

    DONEK暁デー 『いたずら』 そして表題に戻る系。
    そんなつもりなかった二人がその気になる話です。
    せめて飴くらいは手元に置いとけばよかった!「ご飯? お風呂? それとも僕?」
    「オマエ」

    というわけでこの話は終わった。
    「そんな訳ないでしょ! 何考えてんだよKK!!」
    「いや何なんだよオマエ」
    「こっちが何なんだよ だよ!」
    「なんなんなんだよだよだよ」
    「あああ呪文にするなよ…」
    状況を整理するにしても、普通の生活を詳細に描写する程度のことしかできない。今回の依頼はKK単独の小さなものだったので、資料をまとめることで一日を過ごした暁人は、せめて疲れて帰ってくる相棒のためにと彼の自宅にてご飯や風呂の準備をしていた。合鍵を使って堂々と入り、勝手知ったる様子で冷蔵庫を確認し、風呂の栓を抜いておく。暁人があれこれ始めたことで多少は解消されたが、KKのズボラさは相変わらずだ。買うものの算段を付けて、流しに残っていた食器を洗い、一度外へ出る。必要なものを買い足して再び家へ戻り、手早く下ごしらえを始める。疲れている時はとにかく手軽さ手早さを重視したほうがいいだろう。あの面倒くさがりは手の込んだものを食べるくらいなら、そのまま寝かねない。炊飯器のスイッチを押して、玉ねぎと牛肉を切って皿に移しておく。冷蔵庫へいったん入れて、掃除するべく浴室へ向かった。そこからは家主の帰宅まで散らかったものを拾っておく作業だった。
    2601