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    ねこまんま

    @GWT60624633

    GW:T K暁
    ねこが自分の食べたいものを自炊するところ🍙

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    ねこまんま

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    暁人が高いところに上るだけの話。

    #K暁

    ずっと避けていた。

    渋谷スクランブル交差点。

    もう彼がこの世にいない事は僕が一番知っている。
    それでも行き交う人の波間に彼の姿を探してしまう。これが未練か。

    (やっぱり辛いな。)

    なるべく足元を見るように心掛け、早足で歩く。人混みを避け裏道に入ると独特の湿った匂いが鼻につく。あぁ、駄目だ。こんなところにも彼との思い出が残っている。このまま僕はどこへ向かえば良い?

    (あれ…)

    路地を抜けると満開の桜。いたずらに吹いた春の風が桜の花びらを舞い上げる。こんなところに桜の木があっただろうかと、彼と歩いた記憶をたどる。

    突然小さな旋風。思わずかざした左手が何者かに引き上げら僕の身体は風となり、宙を翔ける。

    彼と渋谷の街を駆け巡ったあの夜。一等高いビルの上から霧に包まれた渋谷の街を見下ろし、彼はこういった。

    「お前がこの街を守るんだ。」


    気がつくとあの夜と同じビルの上。眼下に渋谷の街が広がる。行き交う人々のざわめき、自動車のクラクション、駅のアナウンス…あぁ今まさにこの街は生きている。脈々と続く人々の営み。彼が守りたかったもの。
    あぁ、彼はもうこの街にはいないんだ。

    「KK、また一緒にここに来たかったよ」
    二人で守った街を見下ろして、笑い合いたかった。
    「ホントはもっと、一緒にいたかったんだ」
    明るい渋谷を駆け回りたかった。

    最後に「好きだ」と言えばよかった。
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    りんご

    DONEK暁デー、初デート。K←暁のようでK→〈超えられない壁〉←暁です。
    理想のデート像を黙って実行するおじと、訳も分からず振り回されるあっきーの話。
    過去それなりに色んな話を書いてきましたが、ぶっちぎりで砂糖吐きそうな話になったと思います。けけは所々横暴だしあっきーはちょっと暴走気味です。そんな二人の初めてなんて、絶対事件になるに決まってるじゃないですか(笑)
    閻魔帳のきれはしには(1)


    待ち合わせは、やっぱり駅前かなあ
    ベタなのは分かってるよ! でも後に来る僕が気になって、その後ろ姿がどこかそわそわしてるの、きっとかわいいなって思うんだろうな


    ◆◆◆◆◆


    『KK

    今日午前11時。渋谷駅北側に集合。』


    凝り固まった肩を回しながら、ネオンが薄まりゆく都会の路地を暁人はゆったりと歩いていた。長期の仕事が終わって漸くまともな寝食にありつけると思えば、心も穏やかになる。
    こんな職業なので、どうしても一日の行動が普通のそれとは大きくずれ込む時がある。今日はそういった日で、数日掛かりの依頼を何とか終わらせたときには、すっかり空が白み始めていたのだ。

    自分の名前をした空を背にしながら、暁人は連絡のためにスリープモードにしていたスマホを起動させた。そこに表示される、送り主と簡素な一文。暁人が首をひねるのも無理はない。めったに文字でのやり取りを行わない人物から突然こんなものが来たら、誰だって困惑するだろう。自分がいない間に向こうで何かあったのかもしれない。それにしても……メッセージ? 凪いでいた心情の波が僅かに揺れて―――まあいいか、と持ち直した。暁人が暁人たるゆえんは、この微妙な状況に対しての構えがやたら大きいことである。波乱万丈な生い立ちのせいで大概のことは受け流せるようになった結果だった。
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