あなたに夢中『あなたに夢中』
陽が沈み、黒い空に覆われた頃、アジト内は静まり返っていた。アジトを自宅に等しい状態になっているKKは今日も帰るつもりはないようで、ソファに座り、膝の上にノートパソコン置き、作業をしている。テーブルは書類の山に支配されている為、使うことが出来ない。
「……」
一人分間隔を空け、ソファに座っている暁人は横目でチラチラと盗み見ている。どうしても、気になってしまう。それもそのはず、KKが眼鏡をかけているのだ。黒縁フレームの細身の眼鏡がKKにマッチしている。初めて見た姿に思わず、口を開け、呆けてしまったのがKKに見られていなくて良かったと、何も進んでいないレポートに目を向ける。
「……」
カタカタとキーボードをたたく音が室内に響く。余程、集中しているのか、頻繁に盗み見している暁人に気付く様子がない。
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