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    ねこまんま

    @GWT60624633

    GW:T K暁
    ねこが自分の食べたいものを自炊するところ🍙

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    ねこまんま

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    初めてのキスはタバコのflavorがするだけの話

    #K暁

    「あんまり吸うと身体に悪いよ」
    夕暮れ時、ベランダで一服しているKKに暁人が声を掛ける。
    「こうやって身体に溜まった穢れを祓ってんだよ、お前も吸うか?」暁人は煙草を勧めてくる手を払い除けながらKKの隣に立ち、人が行き交う街を見下ろす。煙草にそんな効果があったなんて知らなかったな。それにしても。
    「…KKってさ、そうやってまめに祓ってた割には悪霊じみてたよね」
    そう言ってKKの目の前で暁人が右手をひらひらさせると、KKが暁人の脇腹を肘でどつく。あんときは仕方なかったんだよ。
    「マレビトのコアってのは穢れの塊みたいなもんだ。あんまり触ると穢れがこっちにも伝染っちまうんだよ」

    しばらく自分の左手を矯めつ眇めつ眺めていた暁人がKKの横顔を見てポツリとつぶやく。
    「それで、穢れを溜め続けるとどうなるの」
    あの夜を超えて幾日か。暁人の左手には今もコアの手触りが残っている。
    「そうだな…普通はせいぜいマレビトになれる程度だが、頑張って溜めれば悪霊になれるぞ」KKがそう答えれば「…悪霊ってポイント制なんだ」と暁人は思わず吹き出す。
    そのまま紫煙を燻らせ続けるKKと暁人の間にゆるりとした時間が流れていく。

    「…やっぱり一本頂戴」
    「吸わないんじゃなかったのか」
    「吸ったことはないけど、マレビトにはなりたくないしね」暁人はそう言いながらKKに火の点け方を教えてもらうと、そのまま大きく吸い込み、盛大に咽せる。
    「ま、お暁人くんはお子ちゃまだからな」お約束通りの展開に満足したKKは涙目の暁人の顔を覗き込み、声を潜める。
    「大丈夫だ、オレがお前の穢れを吸ってやる」
    そう囁くと暁人の柔らかい唇に自分の唇を重ねた。


    「…ん…なんか苦い」
    「…大人の味だろ?」
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    ☺💖💯🙏🙏☺👏💘☺👍👍💒💞🍑💕🙏👍❤😊💕☺☺☺
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    takeke_919

    DONE #毎月25日はK暁デー
    素敵タグにギリギリ間に合いました💦
    お題は「おはよう」
    Kは成仏したのではなく、暁の中で眠りに付いたという説を添えて。
    毛色の違う話が書きたいなぁと思い至ったまでは良いものの、毎度のことながらお題に添えているかは迷走してます🤣
    目醒めの言の葉 東京の街を覆っていた濃く暗い霧は晴れ、東の空からは眩い光を放つ日輪が顔を覗かせている。

     幾重にも連立する朱鳥居を潜り、石燈籠の淡く揺らめく灯りに照らされた石階段を登る暁人の胸中には全てを終わらせた事による達成感と、追い求めた者を失ってしまった喪失感。そして、自身の中に宿る男への寂寥感が入り混じっていた。男の悲願は達成され、その魂が刻一刻と眠りに就こうとしているのを肌身に感じる。

     本当に独りぼっちになってしまう。

     そうは思うものの、妹に、両親に誓った。泣いても、みっともなくても生きていくのだと。次に会うのは、最後の最後まで生き抜いた、その後なのだと。

     一歩一歩、階段を登る最中にKKから彼の妻子に向けての言伝を預かった。『最後まで、あきらめずに生き抜いた』と、そう語られた言葉は、彼の想いが沢山、たくさん詰まった大切なモノだ。何があっても絶対に伝えなくてはと、しかと心に刻み込んだ。
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    na2me84

    DOODLE #毎月25日はK暁デー
    参加させていただきました。お題は『匂い』
    厭世的で嫌煙家の暁人くんのお話。
    sensory adaptation 雨の夜が明け家族とも一夜の相棒とも別れて、僕は日常に戻ってきた。妹を取り戻すことは出来なかったから、今までと全く同じという訳にはいかないだろうけれど、とにかく僕は一人生き残ったわけだ。それに意味があるかはまだ分からない。それでも、とりあえず僕がやらなければいけない事がまだ残っている。向こうで両親と共に旅立つのを見送った妹の現世での抜け殻に病院で対面し、身体も両親の元へと送り出した。その日は青空にふわりと薄い雲が浮かぶ、良く晴れた日だった。この世のしがらみを全て捨てて軽くなった妹は、きっと両親と共に穏やかに笑っているだろう。そうであって欲しい。

     追われるように過ごした日々が終わってふと気が付くと、これからどう生きていけばいいのかすら何も考えつかなくて、自分が空っぽになったように感じた。ほとんど物の無い空虚な部屋を見回して、置きっぱなしになっていたパスケースに目が止まる。すっかり忘れていた。あの夜の相棒の形見、最期に託された家族への伝言。これを片付けなくては。彼とは出会いから最悪で途中も色々あったが、最終的にはその関係は悪くなかったと思う。結局のところ、僕にとっても彼にとっても失うものばかりで、得るものの少ない結果だったとしても。
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