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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジ/ロマンティックが聴こえる
    リの心の声が聞こえるク/クロリン

    ――好きだ。
    「えっ」
     つよい声だった。頭をがつんと殴られたような衝撃に思わずそこをさする。目の前にいる相棒、リィンが心配なのか眉を下げてこちらを見上げていた。
     背後や周囲に人はいない。ここはリィンの部屋だ。
    「どうしたんだクロウ」
    「あー、いや。なんでもねえ」
     安心させるためにへらりと笑ってみせれば、今度は眉間にぐぐっと皺が寄った。
    ――心配だ。どうしたんだろう。言えないのかな。クロウ、クロウ、クロウ。
     また、頭のなかに声が響く。よくよく聞けばリィンの声だった。表情からそんなことを言いそうな顔はしているが、彼の口は一リジュも動いていない。
    「んー……」
     指で己の顎を撫で、今の状況を分析する。そのうえで、いくつか試してみることにした。
    「リィン、」
     わざと耳朶を舌で嬲り、情事を連想させるような甘い声で囁く。
    「ぅ、……あ……」
    ――び、びっくりした、びっくりした。クロウ、の声。夜の声。
     夜、というのはセックスを指すのだろうか。リィンらしい慎ましい表現に頬が緩んだ。耳への愛撫を続けながら彼の身体を弄っていく。
    ――キス、したい、のに。どうしよう、恥ずかしい。言えない。キス、言えない。
     まただ。また声がする。しかしリィンは人差し指を食んでクロウからの愛撫に耐えていた。はだけさせたシャツの隙間から肩口に顔を埋めていたクロウは、頭に響く声のまま、彼の手を退けて唇を重ねる。触れるだけ、擦り付けるだけ。それからだんだん口付けを深くしていく。
    ――嬉しい。キス。嬉しい。クロウ。クロウ。クロウ。
    「んぅ、は、……ん」
     息を混ぜ返し、角度を変えつつリィンの唇を味わう。その度に頭に響く声は歓喜の色をみせた。
     恐らく、この頭に響く声の原因はリィンが身につけている腕輪だ。どんな効果があるのか、調査依頼を受けて身につけていると先程聞いたばかりなので、これが終わってから教えてやろう。
     そうしてクロウは、普段ならなかなか聞いてやれない相棒兼、恋人のかわいいわがままを聞いてやるためほくそ笑んだ。
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