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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    本日の800文字チャレンジ
    クロ→リン/鈍い鈍いも好きのうち

    「だから、俺だってリィンのことが好きだって」
     ようやく見つけた背中が吠えた。あがった息を整え、その肩を叩く。
    「俺もクロウのこと好きだぞ。相棒、だからな」
     振り返り、なぜか硬直しているクロウに向かって、気恥ずかしげにはにかんだ。
     放課後の第二分校食堂に、不自然な静寂が訪れる。
    「すまない。クロウが来ていると聞いて、探していたんだ」
     あれからクロウの周りに集まっていた女生徒らは散っていき、ふたり残った食堂で並んで珈琲を飲んでいた。
     リィンが顔を出した途端、満面に喜色を浮かべた彼女らの顔に、落胆の色が広がっていく光景にはうろたえた。口々に気にしなくていいと聞かされても、気にしないで済むような性格でもない。
    「で、結局みんな集まってなんの話をしていたんだ」
    「あー。ほら、もうすぐあいつらも卒業だろ」
     卒業。クロウのその言葉にぎこちなく頷く。
     今月の末には、もう二年生になって一年経つ彼らを見送るのだ。初めてリィンが受け持った生徒の卒業でもある。同級生らの一年早い卒業を見送ったときに似た物悲しさに包まれていた。
    「お前さんも、難儀な職業を選んだもんだよなあ」
     テーブルに頬杖をつき、しどけない様にどきりとした。その目があんまり優しい色をしていたので、見てはいけない気持ちにさせられる。
    「まあ、あれだ。卒業前の告白相談会ってやつだな。これ以上は守秘義務だから教えらんねえが、リィンが心配するようなことはないから安心しな」
    「分かった」
    「んで、話の流れでああいうことになっただけだ」
     クロウにしては珍しく、歯切れの悪い言いようだった。
    「クロウが俺を好きっていうあれか? 相棒でも、好きだと言われると嬉しいものだな」
     思い出すだけで頬が緩んでしまう。ふわふわした心持ちのまま、ありがとうと告げた。
    「ホッとしていいのか、落ち込めばいいのか分からなくてつらい」
     それきり両手で顔を覆ってしまったクロウに、てんやわんやするのだった。
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