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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジ
    クロ+リン/あの日見た茜色/Ⅳ後

    「あんま変わってなかったな」
    「まだ俺が卒業してから一年経っていないんだぞ。そうそう変わらないだろ」
    「まあ、それもそうか」
     僅かに埃の被った机をクロウの指がなぞる。茜色で縁取られたその横顔が、リィンには寂しそうに映った。
     今日はクロウとふたり、トールズ士官学院のある帝都近郊都市、トリスタに来ていた。リィンが卒業してからは閉鎖されているままの第三学生寮や、互いによく出入りしていた生徒会室のある学生会館。それから灰の騎神、ヴァリマールと出会った旧校舎を外から眺め、最後に夕焼けで染まる校舎を思い出話に花を咲かせながら散策した。
     最後に行き着いたⅦ組の教室で、お互いが使っていた席に腰を下ろす。頬杖をつき、外を眺める姿が以前見た光景と重なった。
     まだ、クロウが帝国解放戦線のリーダーを務めていたことも、蒼の騎神、オルディーネの起動者であることも知らなかったあの頃、彼はどんな思いでこの窓から夕焼け空を眺めていたのだろう。
    「そういや、寮の部屋に置いていった俺の荷物、やっぱりなくなってたな。さすがに残っているとも思っていなかったが」
    「あるぞ。あの部屋にあったクロウの荷物、俺の部屋に」
    「へ?」
     頬杖をついていた彼が勢いよく振り返る。解けない問題の答えを探しているような、眉間に皺を寄せた小難しい顔につい笑ってしまった。
    「だから、クロウが部屋に残していった荷物。今は俺が持っている。俺が退寮するとき、一緒にリーヴスへ送ったんだ。向かいの部屋にも荷物が残っているが、どうするのかと聞かれて。それでつい、な」
     そのまま処分してくれなんて言えないだろうと付け加える。彼はますます難しい顔になった。
    「お前ってヤツは、本当に」
    「きっと、クロウにとっては処分されてもいいような物だったんだよな。でも、それでも俺には捨てられなくて」
    「――リィン。ありがとな」
     つよくつよく抱きしめられる。クロウの肩越しに見た夕日が、妙に目に染みた。
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