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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    本日の800文字チャレンジ
    Ⅳ後/クロリン/覚悟の結末

    巨イナル黄昏の終幕とともに世界大戦も終わりを告げた。今はまだ、トールズ関係者や大戦に関わった者たちはその後始末に奔走していた。
     クロスベル市の南、エリム湖畔に建てられた聖ウルスラ医科大学は、そんな喧騒を忘れさせるような静けさに包まれている。至宝の力によりふたたび肉体を得たクロウは、一時的にその一室へ滞在させられていた。
     検査室から指定の病室へ戻ってくると、廊下に見知った顔を見つけて肩をすくめた。
     贄の影響が抜け、濡羽色の髪と紫黒の瞳へ戻ったリィンが心ここに在らずといった調子で立ち尽くしている。その肩を叩き、病室へ招き入れた。
    「ったく、検査結果が分かったらすぐにARCUSで連絡してやるって言っただろ」
    「その、ユウナたちから邪魔だからここにいるようにと言われて」
     ベッドに座るクロウの傍ら、勧めた椅子に腰掛け、頬をかく彼は弱り果てているようだった。生徒らにけしかけられる光景がありありと見える。
    「それで、その」
     口ごもり、視線を彷徨わせる姿にすぐさま合点がいく。そんな彼へ愛嬌たっぷりにウインクを送った。
    「ああ。結果な。異常なし。健康そのものだとよ。明日からはお前らに合流するからよろしくな」
     胸に飛び込んできたリィンの背を撫で、そっと腕を回す。胸元に縋りつく指先は冷たく、震える身体に愛おしさが募った。
    「よか、よかった……」
    「お前が諦めないでいてくれたおかげだ」
     しばらく髪を梳くように撫でていると、肩口に埋まっていた顔が離れていく。目尻を濡らす涙を指の腹で拭った。
    「ありがとな」
    「クロウも諦めないでいてくれたからだ」
     クロウの手のひらを頬へ当て、自身の手も重ねたリィンが眩しそうに目を細めている。触れたところからお互いの体温が馴染んでいく感覚が懐かしい。距離を詰め、目蓋を閉じたリィンの唇へキスを贈った。
    「あたたかい……」
    「そりゃ、生きてるからな」
     そうして、お互いの熱を確かめ合うように口付けを繰り返すのだった。
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