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    あらうみ

    腐った字書き。

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    あらうみ

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    小説。現パロで、記憶あり猗窩煉のピロートーク。杏さんがえっちです。旅先ですがワンドロに参加したくてiPhoneのメモ帳にぽちぽち書いてみました。やはりキーボードのほうが圧倒的に書きやすいですね。クオリティは薄目で見てください。

    #猗窩煉

    ピロートーク 前世というものがもしあったとして、今と同じ「杏寿郎」という名前で呼ばれていたのはおかしな話で、実際家系図を見ると自分のひいひい爺さんだかの世代に杏寿郎は存在しないらしい。俺はこの記憶は前世というよりもパラレルワールドを生きていた自分から混入したもののような気がしている。俺の覚えている大正と、小説や資料から伺える大正時代とでは、言葉遣いなどが少し違っているようだし。そもそも鬼が実在した記録も残っていないし。

     だから、前世があるかどうかはどうだっていいんだ。

     大切なのは、自分の中にはもうひとつの人生の記憶があり、その記憶のおかげでこうしてまた君を見つけられたということ。そして、出逢うべき相手と、今度こそ相応しい時と場所で出逢えたという、この感覚なんだ。

    「つまり……おまえは俺を見つけたかったのか?」

     ゆっくりとまたたく、羽根のようにふさふさとした桃色の睫毛。息で撫でるような優しい囁き。艶のある声でこうして低めに話されると、俺は少しだけ眠たくなる。深く交わったあとだからというだけではなく。

    「ああ。君は違うのか? 猗窩座」

    「俺は見つけたかった、もちろん。だからおまえに声をかけ、口説き落としたんだ。パラレルワールドだか何だかしらんが、黎明のときだって、しつこくおまえを誘ったじゃないか」

    「ふふ。うん……」

     お、に、に、な、れ。呟きつつ、手を彼の顔に伸ばして、指で記憶の通りにたどってみる。正中線を、生え際から鼻先まで。首に二本の横線を描いて、そこから臍までまた中央をまっすぐに。

     あのときは人とは明らかに違う色をしていた彼の肌は、今は色白ではあるものの、健康的な人間のものだ。すべすべとして触り心地がいい。

    「たしか、こうだった。違ったか?」

    「違わない。よく覚えているな。一瞬の邂逅だったのに」

     菜の花蜜のような金瞳がとろりと優しくなる。おまえと違って俺には思い出したくもないことばかりだと、もうひとつの記憶の話を嫌がるくせに、こうして俺が詳細に覚えていると、彼は嬉しそうな表情をする。

    「なあ、猗窩座。……ここにも線は入っていたのか?」

     臍までなぞり下ろした指をそのままシーツの下に潜り込ませて、茎をやわく握る。こら、とますます瞳を優しく細めて、かつての鬼は、肘枕を解いて俺を抱き寄せた。裸の胸と胸が合わさり、冷めかけた肌にぬくもりが灯る。

    「やんちゃな奴だな。まだ足りないか?」

    「純粋に知りたいんだ。どうだったのかなって」

    「さあて……」

     教える気のなさそうな顔。せっかくだから、指を握って開いて、揉んでみる。再び芯の通ってきたそれを、下から上へ、上から下へ。先頭をさすり、茎を撫で、長さと太さ、形の隅々を指でたしかめる。よくもまあ、窄まった部分にこれが入っていくものだ。ずしりと立派で、ひるむほどの量感がある。

    「……杏寿郎」

     俺の大好きな声が余裕をなくす。上擦った響き。目の前の白い肩に軽く歯を当てると、猗窩座はそれを合図に俺に乗り上げ、膝をつかんでグイと開いた。普段はとても優しい彼が、こういうときにだけ見せる、ぞんざいな仕草。そう、その調子で二回戦は乱暴にしてほしい。期待がぞくぞくと背筋を震わせる。
     今の俺は淫蕩な顔をしているのだろうな。その証拠に、ほら、金の視線が俺に釘付けだ。あ、喉がこくりと上下した。

     サイドデスクのローションに手を伸ばし、猗窩座が微笑む。片頬を上げる独特の笑顔。鬼のときにはしなかった笑い方を、今世で出逢った当初は、クールで皮肉っぽいと思った。照れ隠しだったり、呆れていたり、今ではそのときそのときの細かな表情の違いがわかる。ちなみに今の微笑みは「困ったやつだ」「でも可愛い」と思っているときの顔。

    「欲しがり屋め……」

    「君が悪いんだ」

    「なんだと?」

    「俺のここに、穴を開けただろう」

     鳩尾をトンと親指で突いてみせる。猗窩座の顔が苦しげに歪む。

    「……もう、それは」

     何度も謝っただろう、という言葉は言わせない。首に腕を回し、唇を唇で塞いで黙らせる。謝罪が欲しいと思ったことは一度もない。あれこそが運命のはじまりだったと思うから。

    「悪かったと言ってくれるのなら、注いでくれ、俺に。もっと」

    「…………杏寿郎」

    「君の開けた穴は、君にしか塞げない」

     普段は朗らかだと評される声を絞って、かすれさせる。こうすれば彼が一言も聞き逃すまいと真剣に俺に集中することを知っている。

    「君だけを求め続ける欠如を、俺はここに持っている……」

     白い手を取り、鳩尾に当てる。彼がわずかに緊張したことがわかる。

     大丈夫。君はもう俺を傷つけない。前回とは何もかもが違うから。先に見つけたのも、君の視界に割り込んだのも、君が俺に話しかけるよう仕向けたのも、今世では俺のほうなんだよ、猗窩座。教えてやる気はないけれど。

     彼の屹立を握り込む右手に力を込める。あ。小さな吐息が彼の紅い唇を震わせ、桃色の眉の間に切なげなしわが寄る。あの頃と変わらず美しい。俺は最後の一押しに、親指で裏筋を強めにこすった。

    「だから、君のこれで」

    「………………」

    「埋めてくれ」

     君を絶対に離さないと、あの夜に叫んだ名残の、疼き続ける熱い欠如を。
     腹にぽかりと空いたままの小暗い孤独の穴を。


     今度こそ、俺が、いいと言うまで。
     
     
     君で、満たして。




    ーー 終 ーー
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    Replies from the creator

    あらうみ

    MOURNING「14話の狂児さんに思うことが、その人の年齢によって違うっぽい」……みたいな投稿をえっくすで見かけまして。
    私は、狂児さんと歳が近いからこそ、狂児さんの言動をまるっと誠実だとは思えない派なので、ちょっと自分の中のものを言語化したくなって書いてみました。
    あくまで個人の感想です。怒らないでね。
    14話のきょうじさんに思うことなど ツイッターのほうで、「14話の狂児さんに思うことが、その人の年齢によって違うっぽい」みたいな投稿を見かけまして。
     私は、狂児さんと歳が近いからこそ狂児さんの言動をまるっと誠実だとは思えない派なので、ちょっと自分の中のものを言語化したくなって書いてみました。

     * 前置き *

     私が言葉にするのは、あくまで私の感じたことのみ。
     誰かを否定する意図はまったくありません。
     いつも支部の小説キャプションに書いているように「みんなにみんなの狂聡あり」だと思ってます。

     解釈は人それぞれ。感想も感じ方も人それぞれ。
     お互い、自他境界を引いた上で、妄想と解釈を楽しみましょうということで……。

    (あと、あくまで現時点での感想なので、次の話が岡田回だったりしたら、手のひらクルーして狂児さんを絶賛してる予感がする)
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    あらうみ

    DOODLEキメステ(遊郭潜入)について思ったことをつらつらと😊
    解釈違いはスルーしてくださいませ。
    キメステ(遊郭潜入)感想キメステ今回もおもしろかったので、備忘録的に感想など。七千字を超えたのでお時間あるときにどうぞ。

    ※TOKYO DOME CITY HALLで生観劇1回、映画館でのライビュ1回行っただけなので抜けやらなんやらあると思います。すべて個人の感想&解釈なので、合わないところはスルーしてください。

    ※これを書いた人間は普段、100人も客が入らない箱で当たり外れの激しい小劇場演劇ばかり見ていて、大型の商業舞台をよく知りません。的はずれなこと言ってたらごめんなさい。


     * * *


     本番前から舞台上を役者さんがウロウロしているのすごく楽しかったです。ワクワク感が高まる!

     開演直前、アンサンブルの俳優さんから「スマートフォンを切ってね」などのアナウンスがあったのですが、その人がはけていくとき「ヒロさん!」と男性のツレに呼ばれていて、ああああなたがあの堕姫ちゃんの帯に建物ごとすっぱりやられて「ギャアアッ、ひ、弘さん、嫌ァァ!」と遊女に叫ばれていた、あのヒロさん! まだお元気そうで……案内までしてくださって、ウッ、頑張ってください(?)という気持ちになりました。
    7500

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    ほしいも

    DONE猫カフェの猗窩煉
    ■現代パロディ
    ■猫カフェの猫の煉獄と常連客の猗窩座っていうとんでもパロディです
    大きな光取りの窓から午後の柔らかな日差しが差し込んでいる。青空に浮かぶ雲の動きは穏やかで、時折窓の外を飛んでいく野鳥の羽音までが聞こえてきそうなほど、静かで、平和な一日だ。
     窓枠へ肘を付き、眼下の路地をあくせくと行き交う人の姿を見下ろす金髪の青年の胸には、猫の顔を象った朱色の名札に「きょうじゅろう」と丸い癖の付いたひらがなが記されている。ここ、ねこカフェ藤屋敷の看板猫の一匹だ。

    🐈

     入店は完全予約制、手荷物は入口横のロッカーに預け、手指の消毒をしながらスタッフからキャストの猫との触れ合いかたのレクチャーを受ける。きまぐれな猫たちと効率よく戯れるためのおもちゃ各種は有料オプション、一日数量限定で販売されているおやつもまた、猫を近くに呼び寄せたい時に重宝する有料課金アイテムだ。
     陽が差し込み、ほかほかと陽光のぬくもりを蓄えたソファーの一角、微睡み半分に寛ぐきょうじゅろうの尻尾が不規則にしなり、尾先でクッションをたしたしと叩いている。目と鼻の先には、有料オプション品である、ふわふわのモールで出来たねこじゃらしが揺れている。

    「きょうじゅろう、お前うちの子にならないか。」
    「なら 2372

    LFjIort6SiZnaMm

    1111狂聡ワンドロワンライ 紅葉 額
    葉枯れのころ 中学最後の秋に修学旅行で東京に行った。
     大阪から東京は想像以上に遠くて、兄が住んでいるのはこんなにも遠い場所なのかと驚いたのを覚えている。スケジュール通り各地の観光名所を巡り、最終日前日の自由時間には流行っているというよく分からない食べ物や飲み物を持って大きな公園に連れて行かれ、女子が写真を撮り続けるのに付き合わされた。と言っても、聡実は邪魔が入らないように周囲を見ながらただ彼女たちを横目にぼーっと風景を眺めてるだけだった。30枚、40枚近く撮影しそろそろ終わりかという頃に動画を撮り始めた。またなん十回とリテイクするのでとっくに胃袋に収まった食べ物のごみと、楽しそうにしている女子にも声をかけて不要なゴミを回収し、近くのゴミ箱へ捨てに行った。人工物と自然のちょうど真ん中のような、計算され管理されている植物たちはちょうど紅葉し始めた季節で、青い空に映えた赤や黄色がとても美しく聡実はスマホを取り出して写真にその風景を収めた。空とビルと紅葉、SNSでよく見るその構図は実際に目にすると確かに写真に撮りたい衝動に駆られるものであった。親と兄に写真を送り、スマホをしまおうと思ったその時、ふと成田狂児のトークを開いて写真を送ろうかと思った。今まで何かを送ろうと思っても言葉が浮かばなくて何度も入力しては消し、あの日以来トークを進められずにいる。ふと、間違ったフリでもすれば良い会話のきっかけになるかなと思ったが、友人に声をかけられて送れないままスマホをカバンにしまった。
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