Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    あらうみ

    れんごくさんが好きな腐った字書き。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 24

    あらうみ

    ☆quiet follow

    小説。現パロで、記憶あり猗窩煉のピロートーク。杏さんがえっちです。旅先ですがワンドロに参加したくてiPhoneのメモ帳にぽちぽち書いてみました。やはりキーボードのほうが圧倒的に書きやすいですね。クオリティは薄目で見てください。

    #猗窩煉

    ピロートーク 前世というものがもしあったとして、今と同じ「杏寿郎」という名前で呼ばれていたのはおかしな話で、実際家系図を見ると自分のひいひい爺さんだかの世代に杏寿郎は存在しないらしい。俺はこの記憶は前世というよりもパラレルワールドを生きていた自分から混入したもののような気がしている。俺の覚えている大正と、小説や資料から伺える大正時代とでは、言葉遣いなどが少し違っているようだし。そもそも鬼が実在した記録も残っていないし。

     だから、前世があるかどうかはどうだっていいんだ。

     大切なのは、自分の中にはもうひとつの人生の記憶があり、その記憶のおかげでこうしてまた君を見つけられたということ。そして、出逢うべき相手と、今度こそ相応しい時と場所で出逢えたという、この感覚なんだ。

    「つまり……おまえは俺を見つけたかったのか?」

     ゆっくりとまたたく、羽根のようにふさふさとした桃色の睫毛。息で撫でるような優しい囁き。艶のある声でこうして低めに話されると、俺は少しだけ眠たくなる。深く交わったあとだからというだけではなく。

    「ああ。君は違うのか? 猗窩座」

    「俺は見つけたかった、もちろん。だからおまえに声をかけ、口説き落としたんだ。パラレルワールドだか何だかしらんが、黎明のときだって、しつこくおまえを誘ったじゃないか」

    「ふふ。うん……」

     お、に、に、な、れ。呟きつつ、手を彼の顔に伸ばして、指で記憶の通りにたどってみる。正中線を、生え際から鼻先まで。首に二本の横線を描いて、そこから臍までまた中央をまっすぐに。

     あのときは人とは明らかに違う色をしていた彼の肌は、今は色白ではあるものの、健康的な人間のものだ。すべすべとして触り心地がいい。

    「たしか、こうだった。違ったか?」

    「違わない。よく覚えているな。一瞬の邂逅だったのに」

     菜の花蜜のような金瞳がとろりと優しくなる。おまえと違って俺には思い出したくもないことばかりだと、もうひとつの記憶の話を嫌がるくせに、こうして俺が詳細に覚えていると、彼は嬉しそうな表情をする。

    「なあ、猗窩座。……ここにも線は入っていたのか?」

     臍までなぞり下ろした指をそのままシーツの下に潜り込ませて、茎をやわく握る。こら、とますます瞳を優しく細めて、かつての鬼は、肘枕を解いて俺を抱き寄せた。裸の胸と胸が合わさり、冷めかけた肌にぬくもりが灯る。

    「やんちゃな奴だな。まだ足りないか?」

    「純粋に知りたいんだ。どうだったのかなって」

    「さあて……」

     教える気のなさそうな顔。せっかくだから、指を握って開いて、揉んでみる。再び芯の通ってきたそれを、下から上へ、上から下へ。先頭をさすり、茎を撫で、長さと太さ、形の隅々を指でたしかめる。よくもまあ、窄まった部分にこれが入っていくものだ。ずしりと立派で、ひるむほどの量感がある。

    「……杏寿郎」

     俺の大好きな声が余裕をなくす。上擦った響き。目の前の白い肩に軽く歯を当てると、猗窩座はそれを合図に俺に乗り上げ、膝をつかんでグイと開いた。普段はとても優しい彼が、こういうときにだけ見せる、ぞんざいな仕草。そう、その調子で二回戦は乱暴にしてほしい。期待がぞくぞくと背筋を震わせる。
     今の俺は淫蕩な顔をしているのだろうな。その証拠に、ほら、金の視線が俺に釘付けだ。あ、喉がこくりと上下した。

     サイドデスクのローションに手を伸ばし、猗窩座が微笑む。片頬を上げる独特の笑顔。鬼のときにはしなかった笑い方を、今世で出逢った当初は、クールで皮肉っぽいと思った。照れ隠しだったり、呆れていたり、今ではそのときそのときの細かな表情の違いがわかる。ちなみに今の微笑みは「困ったやつだ」「でも可愛い」と思っているときの顔。

    「欲しがり屋め……」

    「君が悪いんだ」

    「なんだと?」

    「俺のここに、穴を開けただろう」

     鳩尾をトンと親指で突いてみせる。猗窩座の顔が苦しげに歪む。

    「……もう、それは」

     何度も謝っただろう、という言葉は言わせない。首に腕を回し、唇を唇で塞いで黙らせる。謝罪が欲しいと思ったことは一度もない。あれこそが運命のはじまりだったと思うから。

    「悪かったと言ってくれるのなら、注いでくれ、俺に。もっと」

    「…………杏寿郎」

    「君の開けた穴は、君にしか塞げない」

     普段は朗らかだと評される声を絞って、かすれさせる。こうすれば彼が一言も聞き逃すまいと真剣に俺に集中することを知っている。

    「君だけを求め続ける欠如を、俺はここに持っている……」

     白い手を取り、鳩尾に当てる。彼がわずかに緊張したことがわかる。

     大丈夫。君はもう俺を傷つけない。前回とは何もかもが違うから。先に見つけたのも、君の視界に割り込んだのも、君が俺に話しかけるよう仕向けたのも、今世では俺のほうなんだよ、猗窩座。教えてやる気はないけれど。

     彼の屹立を握り込む右手に力を込める。あ。小さな吐息が彼の紅い唇を震わせ、桃色の眉の間に切なげなしわが寄る。あの頃と変わらず美しい。俺は最後の一押しに、親指で裏筋を強めにこすった。

    「だから、君のこれで」

    「………………」

    「埋めてくれ」

     君を絶対に離さないと、あの夜に叫んだ名残の、疼き続ける熱い欠如を。
     腹にぽかりと空いたままの小暗い孤独の穴を。


     今度こそ、俺が、いいと言うまで。
     
     
     君で、満たして。




    ーー 終 ーー
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💯💯💘💘☺💞💖❤😭💖🍌🍑💘🇪🇱🇴ℹ👏👏👏💒💒💒💒💒👏😭😭😭😭❤❤💖💖💖💖😍💖💖💖😍👏👏👏🙏💖💖💘💘💘😍😍😍💖👏💯😍🙏💯
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    あらうみ

    DOODLEキメステ(遊郭潜入)について思ったことをつらつらと😊
    解釈違いはスルーしてくださいませ。
    キメステ(遊郭潜入)感想キメステ今回もおもしろかったので、備忘録的に感想など。七千字を超えたのでお時間あるときにどうぞ。

    ※TOKYO DOME CITY HALLで生観劇1回、映画館でのライビュ1回行っただけなので抜けやらなんやらあると思います。すべて個人の感想&解釈なので、合わないところはスルーしてください。

    ※これを書いた人間は普段、100人も客が入らない箱で当たり外れの激しい小劇場演劇ばかり見ていて、大型の商業舞台をよく知りません。的はずれなこと言ってたらごめんなさい。


     * * *


     本番前から舞台上を役者さんがウロウロしているのすごく楽しかったです。ワクワク感が高まる!

     開演直前、アンサンブルの俳優さんから「スマートフォンを切ってね」などのアナウンスがあったのですが、その人がはけていくとき「ヒロさん!」と男性のツレに呼ばれていて、ああああなたがあの堕姫ちゃんの帯に建物ごとすっぱりやられて「ギャアアッ、ひ、弘さん、嫌ァァ!」と遊女に叫ばれていた、あのヒロさん! まだお元気そうで……案内までしてくださって、ウッ、頑張ってください(?)という気持ちになりました。
    7500

    related works

    recommended works

    ほしいも

    DONE■女子高生の猗窩座♀ちゃんと教師の煉獄さん。ひとつ前の話しと同じ世界です。
    ■男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす。(俵/万/智)
    バレンタイン・デーになると思い出す歌です。こちらを女子高生の猗窩座♀ちゃんに贈りたくて書きました。
    ■猗窩煉のオタクが書いています。
    革命とは、いつも弱者が強者に向けて行うものだ。

    *

    「杏寿郎。」
    「どうした、素山。」
    「…、猗窩座だ。」
    「?知っている。」
    「猗窩座と呼べ!」
    「なぜ!」
    「…名前で呼んで欲しいから。」
    「断る。生徒は名字で呼ぶことに統一している。それから君は、せめて呼称に先生と付けるように!」
     それじゃあ、と片手を上げてさっさと職員室へ向かう煉獄杏寿郎の背中は暗にこの話はこれでおしまいだ!と言っているものだった。

     素山猗窩座、良くも悪くも学内で彼女の存在は知れ渡っていた。偏差値がそれなりに高く、中高一貫でほとんどの生徒が顔見知りという狭いコミュニティの当校に、二年生の秋口という中途半端な時期に編入をしてきた転校生。手足が長く、目鼻立ちの整った生徒であると言うこと以上に、全校生徒揃いのブレザーに身を包む中で一人だけこの辺では見掛けない真っ黒のセーラー服に真紅のタイを結った出立ちなのも目を引く要因だった。
     何をしていても自然と目に着いてしまう素山の動向は、当人の意識よりもずっと広く知れ渡っていた。両親が居ないということ、前の学校では暴行事件を起こしたということ、噂の域を出ないあれこれから 4128

    ほしいも

    DONEポメガバースの猗窩煉

    ■現代パロ、同棲
    目が覚めると、恋人がポメラニアンになっていた。
     ──ポメラニアン、ドイツ原産の犬種。ポメラニアンという名称は、ドイツとポーランドにまたがる、バルド海峡に面したポメラニア地方にちなんでいる。性格は友好的で活発。飼い主とともにいることを喜び、仲間の保護意識も旺盛である。(wiki参照)…そんな、小さくてふわふわでちょっぴり香ばしい匂いがするポメラニアンになっていた。
     昨夜、「今日は遅くなるから先に休むように。」と恋人からのメッセージが入ったのは20時を過ぎた頃だった。それから夜食を用意して、風呂に入って、一人で見てもつまらないバラエティー番組を垂れ流し、日付けが変わる頃に「おやすみ。」とだけ返信して、言い付け通り先に休んだのだった。ふわふわの綿毛のような恋人が、俺の腕に小さな小さな顎を乗せてすぴすぴと寝息を立てている。

    「おはよう、杏寿郎。」
     小さな耳が震えるように微かに動く、俺の声に反応して無意識で動いているのだろう。柔らかい毛に覆われた目蓋は閉じられたままだ。俺の鼻息でそよそよと綿毛のような毛がそよぐのが面白くて、三角形の小さな耳に向かって細く息を吹き掛ける。恋人は、くすぐった 2462

    ほしいも

    DONE春の猗窩煉
    ■現代パロディ
    ■高校生と教員
    >https://poipiku.com/IllustViewPcV.jsp?ID=1360874&TD=3688620 のちょっと続きっぽい
    「─こうして思い返すと在学中の三年間、私たちは沢山の選択をしてきました。先生、家族、沢山の仲間たち…本当に、様々な人に導いて頂きました。皆さんに支えられて、留まる事なく自らを律し、正しいと信じる道を選び続けたという自負があります。そして今日、私たち第59期卒業生はこの学び舎を離れ、それぞれの夢を目指して一歩を踏み出します。辿り着くまでには、一万歩あるかもしれません。きっと、長い道のりになるでしょう。どうか、もう少しだけ私たちの背中を見守って頂けますと幸いです。─学園の益々の発展を祈念して、答辞とさせて頂きます。」
     卒業生を代表して、壇上に立つ煉󠄁獄杏寿郎がそのよく通る声で答辞を読み上げる。原稿作成から手をかけて、リハーサルの時にも同じ内容を聞いているというのに教員席からも目元を拭う姿が見られた。壇上を去る堂々としたその姿に、広い天井へ反響する拍手が手向けられる。

    *

     最後のホームルームを終えた卒業生たちが、クラスを越えて級友たちと別れを惜しんでいる。手に手に卒業アルバムと証書の入ったケースを抱え、制服の胸につけたままの花飾りがその鮮やかな赤色を揺らしていた。
     級友や後輩と談 2252