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    kei_shi28

    @kei_shi28

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    kei_shi28

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    ・すでに恋人同士のラーヒュンとポくんが三人で洞窟の探索をします。
    ・ラーがインパスを使えます。

    裏切り「次の階が一番下の層だな」
    「ああ、下へ降りるぞ。さっさとしろ」
    「待て、ラーハルト。この階を無視して進むのか?」
    「用がなければ探索する必要もなかろう」
    「一応見ておいたほうが良いかもしれんぞ。何かアイテムがあるかもしれない。ポップ、行くぞ」
    「必要ない。魔法使い、オレと地下へ降りるぞ」
     はぁ……。ポップは目の前で言い争う二人の前で盛大に溜息をついた。
    「あんたらよぉ、おれは一人しかいないっつーの。どちらかにしてくれよな。今回はヒュンケルの言う通りにしようぜ」
     最下層へと降りようとしたラーハルトはチッと舌打ちして、ヒュンケルとポップの前へ出るとスタスタと歩き始めた。ポップは慌ててそれを追いかける。
    「なあ、ラーハルト。なんでヒュンケルと喧嘩してるんだよ?」
    「別に喧嘩などしていない」
    「でも絶対あんたに怒りを向けてるだろ、アレは」
    「知らん。今朝からずっとこうだ」
     はぁ……。ポップは今日何度目かわからない溜息をついた。
     レオナ姫に頼まれ、とある洞窟を探索することになったポップは同じく彼女に命じられた二人と合流したが、すぐにその違和感を感じ取った。
     表面上は普通にしているラーハルトとヒュンケルだったが、二人のまとう空気がいつもと違う。
    (なんつーか、いつもは見た目はクールに振舞っていても、隠しきれないお互い大好きオーラが滲み出ている感じだよな。でも、今日はヒャダルコみたいな空気じゃん。こりゃ、何かあるぞ)
     最初はいつも通りだった二人だが、案の定ギスギスして意見が食い違い、先ほどのようにわかりやすく喧嘩をし始めたのだ。
     ポップは今度は後ろのほうからついてくるヒュンケルの所へ向かった。
    「なんでラーハルトと喧嘩してんだよ」
    「別に喧嘩などしていない」
    「全く同じセリフいうなよ。仲良しかよ」
     そのままヒュンケルの隣に並んで歩いていると、ふと大きめの宝箱が目に入った。先を歩くラーハルトは開けずに無視したようだ。
    「開けてみようぜ」
    「ああ」
     頷いたヒュンケルがギィイと音と立てて蓋を持ち上げる。
    「中身は……木のこん棒と布の服か。ふむ」
     そのまま蓋を閉めようとするヒュンケルに待ったをかけて、ポップは宝箱の中身を外に出した。この大きさなら、大人一人が無理なく入れそうだ。
    「ヒュンケル、この中に入ってくれよ」
    「なぜだ」
    「いいからさ。可愛い弟弟子のお願い!」
     ポップがウインクしてみせると、兄弟子は仕方ないという表情で宝箱の中に入り、しゃがんでみせる。
    「これで良いか」
    「ああ!ありがとよ。一応聞くけど暗かったり、狭いとこ平気だよな?」
    「問題ない」
    「オッケー!今から蓋を閉めるけど、すぐ開けるからな」
     言い終わるやいなや、ヒュンケルが入った宝箱の蓋をしたポップは呪文を唱えた。
    「インパス」
     宝箱は青く光り、中身が安全なことを示している。インパスとは宝箱の中身を知るためのそう難しくない初期呪文で、青く光ればアイテム、黄色く光ればゴールド、赤く光ればモンスター、すなわち危険な生き物が潜んでいるのがわかるのだ。
    「ラーハルト!ちょっと来てくれ」
    「何だ!?貴様ら遅すぎるぞ」
     いつもよりピンと耳をとがらせたラーハルトが不機嫌そうにこちらへやってきた。
    「インパスしてみてくれよ」
    「貴様がやればよかろう」
    「オレはもうやった。青色だったぜ」
    「じゃあアイテムが入っているのか?どうぜ布の服とか役に立たないものだろうよ」
     ラーハルトの勘の良さに苦笑いしつつ、ポップはしつこくインパスをやれと半魔に迫った。
    「クソッ。やればいいのだろう。インパス!」
     呪文の効果で宝箱はあっという間に真っ赤に染まった。
    「あちゃー。真っ赤じゃん。ヒュンケル、かなりおめーに腹立ててるわ。敵と見なされてるじゃん」
    「何だと!?この中身はヒュンケルなのか?」
    「ああ、もう出してやろうっと。ヒュンケル、出てきていいぜ」
     ポップが宝箱に手をかけると、ラーハルトがそれを押さえた。
    「ヒュンケル。中にいるのか」
     宝箱はシーンとして、答えない。
    「やはりお前に嫌われると辛い。宝箱の中身がお前だと知って、オレにとっての宝はお前だと改めて思い知った。オレは何か怒らせるような事をしたのだな。せめて訳を教えてくれ」
     宝箱の蓋が開いて、ヒュンケルが顔を出した。
    「昨日の夜……お前はこなかった。オレを裏切ったな」
    「昨晩、ダイ様に頼まれた調べものをしていてあまり寝ていないのだ。……アッ」
     ラーハルトは頭を抱えた。
    「お前、まさかベッドで待っていたのか?」
    「昨日オレが今晩どうだ?と誘っただろう。お前はいいな、ヤろうと即答した」
    「あれは酒を一杯やろうという意味かと!お前と酒場に寄って少し飲んだ後すぐに帰って自室で仕事にとりかかった」
    「オレはセックスしようと誘ったつもりだった。だから酒もほどほどにしたのかと。自分で解して準備もしたのに……」
     ヒュンケルの顔が話しながら段々赤く染まっていく。
    「おい、解す楽しみを奪うな。少しずつ開いて、オレを受け入れる準備をするのも楽しみの一つなのだから。すまなかった。今夜、死ぬほど抱いてやる」
    「いや、オレこそ一人で期待して浅ましい。恥ずかしく思う」
     ラーハルトはヒュンケルを宝箱から抱き上げた。
    「さっさと地下にいるらしいモンスターを倒して家に帰ろう」
    「そうしよう」
    (オレもいるんですけど……まあ、二人をまとう空気がいつものお互い大好きオーラに戻ったので良しとするか!)
     二人がさっさと地下への階段へと走り出したのを追いかけながら、最下層にいるであろうモンスターを気の毒に思うポップであった。
     後で、今夜はお楽しみでしたねって絶対言ってやるからな!



    ※人間が中身の宝箱にインパスをしたら色が変わるかは不明ですが、このお話では変わることにしました。
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