Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    kei_shi28

    @kei_shi28

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 13

    kei_shi28

    ☆quiet follow

    子供達のシャボン玉遊びを見ながらラーヒュンが話をします。少し切ない話。

    シャボン玉 目の前をフワフワと通り過ぎて行く色々な大きさの泡で出来た球体は子供達が作り出したものだ。
     立ち寄った村の見晴らしのいい土手でラーハルトとヒュンケルは長旅の疲れを癒すため、束の間の休憩を取っていた。
     目の前には川が流れていて、それを挟んだ向こう側では少し離れた所で数人の子供達がシャボン玉遊びに興じている。
     たくさんのシャボン玉は風の吹くまま飛んでいき、どこまでも空高く昇って見えなくなるもの、途中でパチンと割れるもの、澄んだ川の中に落ちて暫く形を保っているものなど、様々な動きを見せていた。
     それをヒュンケルは飽きる事なく微笑みを浮かべながら眺めている。
     彼は目の前にきたシャボン玉を指で突いて割りながら呟いた。
    「綺麗だな。本来は無色透明なのだが周りの景色や光の具合によってどんな色にでも染まる」
    「泡の構造など興味はない。透明だから景色が透けて見えているだけだろう」
    「シャボン玉、オレに似ていると思わないか?」
     突然何を言い出すのかとラーハルトは驚いたが、間髪入れずに答えた。
    「似てない」
    「そうか?オレは生まれた時は何色でもなかったが、周りの環境によって闇に染まったり、光に染まったりしただろう。そして、きっと最後はシャボン玉のように……」
     そこから先は、恋人に唇を塞がれてヒュンケルは言うことが出来なかった。

     数日後。
     また例の土手に行こうとラーハルトが誘ってきたのでヒュンケルは頷いた。確かにあそこは気持ち良かった。土手に着いたが、今日は子供達はおらずこの前と違ってとても静かだ。
    「ほら、吹いてみろ」
     ラーハルトが差し出してきた液体は、透明のガラスの瓶に入っていて太陽の光が反射してキラキラと輝いている。何だろうと首を傾げていると細い管も一緒に渡され、ようやく思い至った。
    「ああ、これはシャボン玉か。入れ物が美しくて見とれてしまった」
     細い管をシャボン液につけると、ヒュンケルは口に咥えて息を吹き込んだ。
     みるみるうちに透明の球体が出来上がり、風に乗ってフワリと飛んでいく。
     ヒュンケルはこの前と同じように、そのうちの一つに指を差し入れた。
     シャボン玉はパチンと弾けるはず……だったのだが。
    「どうなっている?」
     指が刺さっているのにシャボン玉は割れず、第二関節あたりに引っ掛かってフワフワと揺れている。
    「これは改造されたものだ。生半可なことじゃ割れなくなっている。一度作り出したら日が経つにつれて少しずつ小さくなっていき、最後は消えてなくなる。途中で割れるのではなくちゃんと自分の寿命を全うするのだ」
    「割れないシャボン玉か。驚いたな!」
     ラーハルトは真剣な顔をして言った。
    「お前は自分がシャボン玉に似ていると言ったな。どうせならこっちのシャボン玉でいてくれ。闇、光、次にお前が染まる色は……そうだな。オレ色に染めてやる」
     お前でも冗談を言うことがあるのだなとヒュンケルは言おうとしたが、ラーハルトの喉の奥から絞り出すような声を聞いてやめた。
    「頼む……ヒュンケル。勝手に消えないでくれ」
     深く頷き、ヒュンケルは恋人を抱きしめた。
    「わかった。オレはお前が持ってきたシャボン玉になるよ。お前の色に染めてくれ」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👍👏🙏👏💜😭💖😭😭😭🙏💜💜💜💜💜💜😭💖💕🌈💞❤🙏🙏🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈👏💕💕💕😭🙏💞💞💞💖💜💖💜😭😭😭😭🎈🎈🌈🌈🌈💙🌋
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works