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    kyosato_23

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    kyosato_23

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    8章4節前提ソロフォル。まだ途中。
    最後の瞬間に魂が通じてアルスノヴァがうつっていた親友がその後アジトに帰ってきたら…という話。

    #ソロフォル
    solofol

    いちゃいちゃしてます
    8章4節+デカちゃんイベが下地にあります


    *********************************


    フォルネウスが紆余曲折の末に無事に戻ってきた日、ソロモンの高揚はフォカロルどころかバルバトスやウェパル、当のフォルネウスにまで窘められるほどだった。失った宝物が戻ってきたかのように頬を上気させて喜ぶ様は微笑ましく見る者が大半だったが、苦笑や呆れの視線も少なくはない。それでも皆ソロモンの喜びは理解できたし、自分たちが口を挟むものではないと見守る体勢を見せていた。
    その夜はささやかな歓迎会が催されたが、気遣いのある者の提言で宴の席は夜が更ける前にお開きとなった。酒を飲まないソロモンとフォルネウスは長々と祝いの場にいても楽しくないだろう、と。特にフォルネウスは大人数での飲み騒ぎを好まない。久しぶりの再会なら積もる話もあるだろうと、飲み足りない面々が騒ぐのを尻目に早々に二人を部屋へと見送った。


    少し早いもののいつもなら眠りに就いてもおかしくはない時間だが、その日のソロモンはまだ眠りたくなかったし、フォルネウスと離れたくなかった。だから自分の部屋へ来ないかとフォルネウスに誘いをかけた。フォルネウスが断る筈がないと頭の隅では期待していたが、その返事を聞くまでソロモンは息をするのを忘れたような心地だった。
    「いいよ、ボクももっと話したかったんだ」
    そう言ってフォルネウスが微笑んだ瞬間、ソロモンは嬉しさのあまり心が飛び上がりそうになった。

    そうして二人で連れ立ってソロモンの自室へと戻る。
    メギドたちから贈られた物程度にしか装飾品も小物もない、殺風景な、しかし見慣れた部屋だった。その見慣れた部屋の中にフォルネウスがいる。以前は当たり前だったはずのその光景が一度は失われ、そして再び取り戻せたのだと実感して、ソロモンは急に感極まってしまった。
    「っ…フォルネウス……」
    「なんだい?親友」
    「…っ……っ!」
    鼻の奥がツンと痛むのをソロモンは必死に耐えた。ここで泣いたらフォルネウスを困らせてしまう。せり上がってくる涙を唇を噛んで何とか押しとどめた。
    「……」
    聡いフォルネウスがそんな痩せ我慢に気付かないはずがなく、やはり少し困ったように首を傾げた。
    「困ったな、キミのことを泣かせてしまった」
    「っごめん…俺っ、本当にっ嬉しくて…!」
    「……ありがとう、キミがそう言ってくれるとボクも嬉しい」
    「…っ!フォルネウス……!」
    自分の傍にフォルネウスがいて、自分に向かってフォルネウスが笑って語りかけてくれることが今のソロモンには嬉しくて嬉しくて堪らない。その喜びはソロモンの体を満たしてなお余りあるもので、自分の中だけに抑え込んでおけず、咄嗟にソロモンはフォルネウスの体を抱擁した。子供のような不格好な抱擁に、それでもフォルネウスは優しく背中に手を回して応えてくれる。
    「……」
    「……」
    「……親友」
    そうしてしばらく二人で互いの体がそこにあることを確かめ合っていたが、おもむろにフォルネウスがソロモンを呼んだ。呼びかけられて少し体を離し、返事をしようと顔を上げると、すぐ目の前にフォルネウスの端正な顔があってソロモンは心臓が跳ねあがった。
    「二人になった時に話そうと思ってたんだけど…見てもらいたいものがあるんだ」
    「えっ?」
    フォルネウスの表情は真剣だったが、瞳には以前のような輝きが微かに宿っていた。
    一歩下がるとフォルネウスは自分の手袋に手をかけた。左手で右手の手袋をそっと引き抜く。
    「あっ…!?」
    目を見開くソロモンの前でフォルネウスがその白い右手を宙にかざした。そこにははっきりとソロモンと同じアルスノヴァの刺青が浮き出ていた。
    それを見た途端、ソロモンの顔は紅潮し、心臓がドクドクとうるさく脈打った。
    「メギドラルで別れた後、少ししてから浮き出てきたんだ」
    それが浮き出るということは、ソロモンとフォルネウスの魂が通じ合ったという証明だ。深く結びついた証明だ。
    実のところ期待していない訳ではなかった。メギドラルでの別れ際、自分のところへ戻ってきてくれと提案した時、戻ったらまた自分を親友と呼んでくれと求めた時、フォルネウスはそのどちらも快く承諾してくれた。
    あの時、自分たちは改めて親友になったのだと思った。
    「どうしたんだい?」
    まじまじと自分の手を見つめるソロモンにフォルネウスは特段気を悪くした様子もなく、少し首を傾げた。
    「それって……やっぱり全身に浮き出てるんだよな……?」
    「そうだよ」
    メギドラルでは隠すのに苦労したと、フォルネウスがもう片方の手袋も外す。そちらの手にもやはりソロモンと同じ刺青がある。恐らくはそこから腕、肩、胸、フォルネウスが普段晒すことのない服の下にもびっしりと、自分の物と瓜二つのその黒い紋章が肌の上に走っている。
    忙しなく動いて、ぎゅうと苦しい音を立てる心臓に手を当てる。
    今の正直な気持ちを言えば、見たい。以前であればそこまでは求めなかっただろう。あるいは袖を捲って腕を見る程度に留めた。何よりもアルスノヴァ血統が伝播したという事実は軍団を揺るがしかねないことなのだ。
    それなのに今ソロモンはとても個人的な欲望を満たしたいと思っている。フォルネウスの肌に自分が刻んだも同然なその刺青があるのを見たい。腕だけではない、胴体も、足も、全身余すことなく見たいと訴えてくる何かが胸の内にある。
    メギドラルのソロモン王はフォルネウスに対して「俺の物」だと言った。自分が召喚したのだと子供のように素直な独占欲を露わにした。すぐにサタンやメギドへの怯えからか言い直してしまったが、あれは本心だったとソロモンは思っている。
    ソロモンは今まで召喚したメギドを自分の所有物だという意識で見たことはなかった。彼らは一個人であり、対等な仲間であり、ソロモンがその権利を侵すことのできない存在だと。
    けれど「俺の物」だと主張したもう一人のソロモン王の率直な物言いはソロモンの心にも一石を投じた。
    誰に憚ることもないのであれば言いたい。フォルネウスは俺の物だと、言いたかった。その肌に自分の所有の証のような刺青が刻まれているのを見せて欲しい。確かめさせて欲しい。フォルネウスがそれを拒まないのであれば、だが。
    「……フォルネウス」
    「うん、」
    「見せて、くれないか。その、無理強いはしないんだけど…お前の体に俺の刺青が浮き出ているのを、俺は見たいんだ…」
    「ああ、構わないよ」
    緊張しきっていつもより低く掠れるソロモンの声と違い、フォルネウスの声色は普段となんら変わりなかった。いつもの穏やかな口調で何もおかしいことはないのだと言わんばかりにイエスと言う。
    「…裸になってくれって言ってるんだぞ……?」
    「いいよ、ボクもキミに確認してもらえたら嬉しい」
    相変わらず動じない様子でフォルネウスはあっさりと豪奢で重そうな装飾品を外しにかかった。それがなくなるとフォルネウスの背丈の割に細い首がよく目立った。続いて腰のチェーンや細々とした装飾品を外し、上着を脱いで、その下の足首付近まで隠れる法衣を足元から捲り上げてばさりと頭から抜き取る。
    フォルネウスが服を脱ぐところは以前も見たが、今日は訳が違う。フォルネウスは今、ソロモンのために服を脱いでいる。その意味を思うととんでもないことをさせているという後ろめたさと、それに負けないほどの嬉しさで頭がくらくらした。
    上半身に身につけていた最後の黒い衣服の裾に手をかけ、捲り上げるとその下の腹部には白い肌とのコントラストで一層強烈に見える刺青があった。薄い腹筋の上に刻まれたその刺青を見てソロモンの心臓が飛び上がった。フォルネウスはそれを意に介さず躊躇いも見せないで脱ぎ捨てた。胸元、肩、腕、上半身が一気に露わになる。どの部位にも同じく刺青があった。
    恐る恐るソロモンはその腕に自分の手を寄せる。ソロモンの右腕とフォルネウスの左腕、肌の色こそ違えどそこには鏡写しのように同じ模様が描かれていた。吸い寄せられるようにソロモンの指はフォルネウスの腕の模様をなぞる。一目で自分のそれと同じだとわかるはずなのにそれだけでは足りないとばかりに腕のなだらかな筋肉の線に沿って確かめるように。
    「同じ、だね」
    「……」
    「ふふ、実のところボク自身もまだしっかりと見てはいないんだ。向こうは鏡がなかったし、サタンに見つかったら面倒だから着替えも入浴も隙を見計らってだったからね」
    フォルネウスは自分の肌の上を遠慮がちに、けれど確かに触れる少年の指先を目で追う。その目線に拒絶の色はない。フォルネウスが自分の身に刻まれたそれをじっと見つめているのがソロモンの彼への好意の発露を見られているような気分になって少し気恥ずかしい。
    斜め下を向いているその顔から直線上に目線を移すと鎖骨の下にも黒い円が描かれている。更に躊躇いがちにそこへ指を当てる。ぐるりと円をなぞった。その下にはもう一回り小さな円がある。それも同様になぞる。心臓に程近いその位置の円形はさながら魂の表出であるかのような錯覚が起こる。魂に、触れている。
    フォルネウスは拒絶どころか身動ぎもしない。ただ静かにソロモンの指を受け入れ、見守っている。元々遊び半分でくすぐっても反応の鈍い体だった。けれどくすぐったさではなくソロモンとの戯れに喜んで笑うことが多かった。その時と変わらない笑顔をフォルネウスは今も浮かべている、と思う。
    薄く筋肉のついた腹の刺青にまで手を伸ばした時、ソロモンはそこで終わりにしたくないと訴える自分の感情に気付いてしまったが、同時に納得もした。明確なその欲望をソロモンは意外なほど冷静に受け止めていた。
    足の先まで、見たい。全ての衣服を纏わない姿が見たい。
    上半身までならまだ確認と戯れの段階で終われる。この先は恐らく生半可な気持ちで超えてはいけない一線だ。魂だけの強くも清らかな接触ではない、ソロモンにとってはまだ未知のなにか。ソロモンはこの日初めてフォルネウスと共にそれを超えたいと思った。
    「……フォルネウス」
    「うん」
    フォルネウスの腰骨に触れる。そこはまだ服に包まれている。
    ふ、と詰まった息を短く吐き、何とか声を出すために息を吸い込む。意を決してフォルネウスの顔を真っ直ぐ見た。輪郭が熱を持っている。きっと今赤面しているだろうとソロモンは思ったが、それはブレーキにはならなかった。
    「……俺、お前が好きだよ」
    「……うん、嬉しいよ。ボクも同じさ」
    「あ、ありがとう。いや…お前ならそう言ってくれると思ってたけどさ…」
    「ハハ、親友だからね」
    紅潮するソロモンと対象的に普段通りの白い顔でフォルネウスは笑う。自分たちの状況をわかっているのか、いないのか。理解した上でこうして平然としているというのならそれが返答ではないかとソロモンの頭を過ぎるが、どんなに恥ずかしくとも言葉で確かめたかった。
    「……これはあくまで俺の願望だ。だからお前が嫌なら断ってくれていいんだけど…俺はお前の…全部が見たい。俺と同じ刺青のある部分、全てを見て、触れて確かめさせて欲しい」
    緊張と羞恥心で目を伏せたくなるなのを下腹部に力を入れて堪える。真っ直ぐ見つめるとフォルネウスの目の青色とぶつかる。いつ見ても淡く澄んでいて、それでいて陽が差しても底の見えないような深い海のようだった。あまりに吸い込まれそうで怖い、と誰かが言っていたのを思い出す。その青い瞳は凪いだまま、静かにソロモンを映していた。
    「構わないよ。キミが望むことをボクが断るはずないだろう?」
    「……!」
    ソロモンは思わずその腰を引き寄せ、再びフォルネウスを抱き締めた。露わになった皮膚同士が、刺青同士が触れ合う。
    以前であればソロモンは少し躊躇っただろう。無理強いをしていないか、自分が望むからしたくないことを受け入れてくれているのではないかと。
    けれど魂が触れ合うほどフォルネウスのことを知った今では違う。
    フォルネウスの気質が冷淡なのは確かだ。それは生まれ持ったものか、これまで過ごしてきた環境によるものかはわからないが、フォルネウスにとっては自分の周囲にある物のほとんどがただの現象であり、自分と違う次元にあるものでしかない。だからフォルネウスの口から何度も聞いたどちらでもいいという言葉は素直な本音なのだろう。けれどそれは突き放したり投げやりな気持ちからではない。フォルネウスは本当にどちらを選ぶことになっても構わないし、どちらであっても全力を尽くす。その冷淡さ故に平等であり、許容するものは広く、自分の命さえ何てことのないように投げ打ってしまうその献身をソロモンは爆ぜた血と肉の匂いでもって思い知っている。
    同様にこの一見受動的な返答、ソロモンが望むならそうするという言葉も恐らく自分の決定権を相手に明け渡している訳ではないのだ。フォルネウスは心の底からソロモンが望むことを受け入れたいと思っている。そもそも特別な相手にしかフォルネウスはそういう態度を取らないし、何より嘘をつかない。
    「…ありがとう、フォルネウス!」
    一度ぎゅうと強く抱き締めて、ソロモンはフォルネウスの服に手をかけた。
    「えっと…俺が脱がせたいんだけど……」
    「ああ、いいよ」
    他人に下半身を裸にされるというのは珍しい状況だと思うのだが、フォルネウスはやはり動じない。完全に自分に心身を委ねている態度に何度目かわからない気恥ずかしさと嬉しさがこみ上げる。こんなことを自分以外にさせないだろうという程度の自信はソロモンにもあった。
    ボタンを外しチャックを下ろして、プレゼントの箱を開ける時の何倍もの丁寧さでズボンをそっと下ろした。超然とした雰囲気のフォルネウスも下着を履くし、下半身があるのだという当然の認識を目の前にして、生々しさに背中が震える。
    「ベッドに座ろうか?」
    「あ、ああ…そうだな。靴も脱がないと……」
    フォルネウスがベッドに腰を下ろした。ソロモンはその前に跪き、ズボンから足を引き抜く前に靴を脱がせる。
    裸足になったフォルネウスの足をベッドに上げ、横向きに座っていたのを体勢を変えさせる。自分以外の体の重みでベッドが軋むのにドキドキと胸が高鳴った。ソロモンは自分も靴を脱いでベッドに上がると膝立ちでフォルネウスに向き合った。半端に脱がされて下着が見えるようなしどけない姿でフォルネウスが自分のベッドに座っているのを見下ろすと、普段の端正な佇まいとの差に目がくらみそうだ。以前と違い服が黒いのが余計にシーツの上で浮き上がって見える。
    投げ出されたフォルネウスの足に再び触れる。ソロモンはかつてない緊張と興奮と背徳の感情に襲われていた。フォルネウスの足を覆うズボンを引きずり下ろすと引き締まった太腿が現れ、そこにびっしりと黒い刺青が刻まれてるのが目に入って思わず手を止める。自分の足の刺青など見慣れていて、裸の足が目に入ったところで変な意識を持つことなどなかったのに、フォルネウスの白い太腿が自分の伝播させた刺青で染められているのが凄まじく官能的に見えた。厚く重ねた服で隠し、さながらソロモンの物でさえないと擬態しているその姿の内側にソロモンの印が所有の証のように余すことなく刻まれているのに腹に重い一撃を食らったような錯覚を覚えた。
    「……」
    手が止まったソロモンを内心訝しんでいるかもしれないが、フォルネウスは無理に促さずにじっと待っている。フォルネウスの静かさを見て少し冷静さを取り戻したソロモンは、膝上あたりで止まっていた手を再び動かした。
    骨のしっかりした膝、続いて脛、やはり刺青で黒い。くしゃりとわだかまったズボンをフォルネウスの足から抜き去ると、何の布にも覆われていない足がベッドの上に投げ出された。
    きれいだ、と思った。ソロモンには絵心がないし、絵画など馴染みのない村で育った故に興味は薄いが、バールゼフォンがあれだけ美女を描きたがる気持ちが少しわかった。絵が描けたならソロモンは今この瞬間のフォルネウスの絵を描きたいと筆を取ったかもしれない。
    シーツの上で体を隠すこともなく、けれど自分の体を見せつけるでもなく、静物のような空気でそこにあるフォルネウスの存在と、その白い肌や清涼な雰囲気と真逆の印象を醸し出す刺青。そのアンバランスさが均整の取れたフォルネウスの体と相まって、きれいだ。
    今から自分はこの体に触れて、魂の繋がりを確かめる。息を呑んだままフォルネウスの太腿へ指を這わせた。自分よりも体温の低いフォルネウスの皮膚は少し生ぬるい。
    指を遠慮がちに動かしていたがもっと触れたい気持ちを我慢できなくなって、掌で腿の外側の表面を撫でた。他人のこんな部分に直接触れたのは初めてだった。アルスノヴァの紋を確かめるように掌が腿の外側から内側へと動いていく。少し力を入れると指に押された肉が窪む。当たり前のことなのにそれが嬉しい。
    「…キミは脱がないのかい?」
    「っえ…!?」
    突然のその疑問にソロモンは上擦った声を押し殺せなかった。
    「だって、キミが服を着たままだとキミの刺青と同じだって確かめられないじゃないか」
    平静だった。波のない海のような平坦な声と表情でフォルネウスは言ってのけた。日用品を買う時に値段を尋ねる時のような気軽さだった。フォルネウスが戻ってきてからずっと取り乱すのはソロモンばかりだった。
    その指摘は最もだったが、それはつまりソロモンにも裸になれということだ。フォルネウスだけ裸にするのは卑怯かもしれないが、ベッドの上で互いに裸になって肌を触れ合わせる意味を理解しているのだろうか。もちろんそういった行為について考えていないわけではなかったが先にフォルネウスから脱ぐように言われるとは思っていなかった。メフィストやカスピエルが聞けばそういう口実の誘い文句だと囃し立てただろう。
    「あぁ、うん…そうだよな…俺も脱ぐよ…」
    自分の足の刺青など見慣れすぎて逆にどの位置にどんな柄があったか記憶があやふやだ。確かに実物を比較するのが手っ取り早い。合理的な判断と熱情が混ざり合う。
    重厚なフォルネウスの衣服に対してソロモンの服装はシンプルだ。上半身はほんの一枚を脱げば終わりだし、下半身だって腰に巻きつけた布を解いてすぐ下ろせばいいだけだ。フォルネウスを裸にする時は緊張のせいで時間がかかったが、逆に自分の服は脱ぐのを躊躇うと余計に羞恥心が増しそうで、ソロモンは勢いのままズボンを足から引き抜いた。
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    kyosato_23

    MAIKING8章4節前提ソロフォル。まだ途中。
    最後の瞬間に魂が通じてアルスノヴァがうつっていた親友がその後アジトに帰ってきたら…という話。
    いちゃいちゃしてます
    8章4節+デカちゃんイベが下地にあります


    *********************************


    フォルネウスが紆余曲折の末に無事に戻ってきた日、ソロモンの高揚はフォカロルどころかバルバトスやウェパル、当のフォルネウスにまで窘められるほどだった。失った宝物が戻ってきたかのように頬を上気させて喜ぶ様は微笑ましく見る者が大半だったが、苦笑や呆れの視線も少なくはない。それでも皆ソロモンの喜びは理解できたし、自分たちが口を挟むものではないと見守る体勢を見せていた。
    その夜はささやかな歓迎会が催されたが、気遣いのある者の提言で宴の席は夜が更ける前にお開きとなった。酒を飲まないソロモンとフォルネウスは長々と祝いの場にいても楽しくないだろう、と。特にフォルネウスは大人数での飲み騒ぎを好まない。久しぶりの再会なら積もる話もあるだろうと、飲み足りない面々が騒ぐのを尻目に早々に二人を部屋へと見送った。


    少し早いもののいつもなら眠りに就いてもおかしくはない時間だが、その日のソロモンはまだ眠りたくなかったし、フォルネウスと離れたくなかった。だから自分の部屋へ来ない 7574

    kyosato_23

    DONEソロフォルのキス話です。
    既にくっついている設定の2人。

    普段はモンモンはこういった望みは言わないと思うのですが、フォルネウスには少しわがままを言うところが見たいという気持ちで書きました。
    タイトルに受粉って入れようとしてやめました。
    「春のめばえ」



    その日のソロモンは決意を秘めた目をしていた。それでいて少し浮ついているようにも見えて、ぼんやりとした春先に芽吹く葉を想起させる。
    何を言おうとしているのだろう。フォルネウスはその思考を先読みしようとしたが、すぐに止めた。数秒後にはソロモン自身の口から答えが提示されるのだから素直にそれを待つのが早い。

    「あのさ、……」
    「うん」
    「……お前からもらいたいお返しのことなんだけど」

    相槌を打って促すと、少しの沈黙の末にソロモンの目の中の決意が強まる。それにフォルネウスも口元を綻ばせて返す。
    感謝の気持ちを込めてソロモンがフォルネウスに渡した菓子に対して、あまりに凝った作りの品だったので礼をしないのも悪いからと何がいいか先日尋ねたのだ。ソロモンは当初は謝辞だけで十分だと断ろうとしたがフォルネウスももらうばかりでは収まりが悪い。
    思えばフォルネウスはこれまでもソロモンからいくつも贈り物をもらってはいたがその返礼は主に軍団への助力ばかりで、形のある贈り物をしたことがなかった。フォルネウス自身はそういった形あるものに価値を見出さないがソロモンは恐らくそうではないし、喜んでも 2424

    kyosato_23

    MAIKING8章4節前提ソロフォル。まだ途中。
    一つ前の作品の続きです。1万字以上入力不可だったので新規で投稿。
    4節ラストにアルスノヴァがうつっていた親友が戻ってきてからの話。いちゃいちゃしてます。
    露わになったソロモンの足をフォルネウスは一度だけ瞬きをして、それからじっと見つめてくる。それは観察眼に近い。フォルネウスがあまりに恥じらわないので一人で恥じらっている方が余計に恥ずかしいと気付き、ソロモンは躊躇いを振り切って自分の片膝をフォルネウスの足の間に押し込める。フォルネウスの左足を跨ぐようにして再び膝立ちになった。
    「やっぱり、同じだ。キミの刺青と寸分も違わない」
    フォルネウスが嬉しそうにソロモンの足と見比べながら自分の左の太腿の模様を撫でる。その声には心からの喜びの色があった。これまでどこか淡々としていたフォルネウスが初めて感情を覗かせた。ソロモンと魂が繋がっているという事実を認めて、笑ったのだ。
    「ああ、同じだな、俺たち……」
    その喜色にソロモンも嬉しさと愛しさがこみ上げて、フォルネウスの手に自分のそれを重ねた。フォルネウスの手を握り、手の甲に浮き出た刺青を自分の掌の中に閉じ込めるように包む。同時に自分の太腿をフォルネウスの太腿へ擦り付けた。自分の内腿とフォルネウスの外腿が触れ合う。体は二つあるのに刻まれた刺青はまるきり同じで、それを見比べていると不思議な一体感が湧き起こっ 3557