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    kyosato_23

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    kyosato_23

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    ソロフォルのキス話です。
    既にくっついている設定の2人。

    普段はモンモンはこういった望みは言わないと思うのですが、フォルネウスには少しわがままを言うところが見たいという気持ちで書きました。
    タイトルに受粉って入れようとしてやめました。

    #ソロフォル
    solofol

    「春のめばえ」



    その日のソロモンは決意を秘めた目をしていた。それでいて少し浮ついているようにも見えて、ぼんやりとした春先に芽吹く葉を想起させる。
    何を言おうとしているのだろう。フォルネウスはその思考を先読みしようとしたが、すぐに止めた。数秒後にはソロモン自身の口から答えが提示されるのだから素直にそれを待つのが早い。

    「あのさ、……」
    「うん」
    「……お前からもらいたいお返しのことなんだけど」

    相槌を打って促すと、少しの沈黙の末にソロモンの目の中の決意が強まる。それにフォルネウスも口元を綻ばせて返す。
    感謝の気持ちを込めてソロモンがフォルネウスに渡した菓子に対して、あまりに凝った作りの品だったので礼をしないのも悪いからと何がいいか先日尋ねたのだ。ソロモンは当初は謝辞だけで十分だと断ろうとしたがフォルネウスももらうばかりでは収まりが悪い。
    思えばフォルネウスはこれまでもソロモンからいくつも贈り物をもらってはいたがその返礼は主に軍団への助力ばかりで、形のある贈り物をしたことがなかった。フォルネウス自身はそういった形あるものに価値を見出さないがソロモンは恐らくそうではないし、喜んでもらえるならそれに越したことはない。
    フォルネウスが退かないものだからソロモンは申し訳なさと嬉しさのない交ぜになった表情でその提案を了承した。その場では思いつかないと頭を悩ませていたので次に会う機会までに考えておくという約束を交わし、それから数日経って今に至る。
    その種がようやく芽を出したのだ。

    「ああ、ボクに渡せるものなら何でもいいよ。遠慮なく言ってくれ」
    「……その、」
    「……」

    芽吹いた決意が急に春の嵐に吹かれたように恥ずかしそうに揺れる。フォルネウスはいつも通りにその目を見据えたが、ソロモンは少しだけちらちらと斜めへ目線をやったりして落ち着かない。もう一度促そうかと口を開きかけた時、それよりほんの一瞬だけ早くソロモンの口から詰まり気味の声が飛び出した。

    「っキス、してもらいたいんだけど……!お前から、俺に……!」

    その瞬間、ソロモンの顔が春の花が花開いたように赤くなった。これまでの付き合いでこんなにソロモンの顔色が急激に変わったのをフォルネウスは初めて見たので呆気に取られてしまう。フォルネウスのその反応にソロモンはますます頬の赤さを深くした。

    「だ、だって……お前いつも自分からはしてくれなくて、俺からばかりだから……」

    照れ隠しなのだろうか、普段なら決して見せないような子供じみた表情で目を伏せる。珍しく理不尽な拗ね方をするソロモンのそのおねだりにフォルネウスは内心で首を傾げた。

    (……どっちからするかってそんなに大事かなぁ)

    最終的に唇が触れるのに変わりないのだし、勝ち負けがあるでもないのだから、フォルネウスには今のソロモンの要求の本意を測りかねるところがあった。けれど特段難しいこともない。むしろあまりに簡単で拍子抜けしそうなほどだ。それを表には出さずソロモンを宥めるように柔らかく笑う。

    「いいとも、それがキミの願いなら断る理由もない」

    そう言うが早いかフォルネウスはソロモンとの距離を詰め、少しだけ顔を傾けて自分の唇をソロモンのそこへ押し付けた。柔らかく膨らんだ部位同士が触れる感触はいつもと変わりなく思えた。

    「へっ!?う、うわ…ちょっと……!?」
    「?」

    突然ソロモンが慌ててフォルネウスを押し返す。どうしたのかと尋ねるとあまりにいきなりだったからと顔を覆って恥ずかしがられ、フォルネウスは少し眉が下がってしまった。するのはフォルネウスの側からでも、そのタイミングはソロモンに合わせる必要があるらしい。もしかしたらキスというのは他者とする場合は思ったより難しい行為なのかもしれない。

    「だって、そんなすぐにされたらあっという間に終わっちゃうじゃないか……」
    「……もう一度ゆっくりやり直した方がいいかい?」
    「……ん、」

    ソロモンが再び照れ隠しの拗ねた表情で頷く。今度はそこへそうっと顔を近付けた。
    息を潜めてソロモンの様子を伺う。緊張した面持ちで一秒だけきつく目を閉じたソロモンがそろそろと瞼を開く。その間から見えた瞳に当初の決意の芽が再び萌芽したのを感じとって、フォルネウスは了承の合図とした。緑こそないが肥沃な恵みを抱き込んだ冬の大地のような色のソロモンの目はフォルネウスの目の中の海をじっと見つめてくる。
    たかが唇が触れるだけなのに、ソロモンのこの決意と緊張はなんなのだろう。以前初めて夜を共にしたときのソロモンの様子によく似ている。フォルネウスが知らないだけでこの行為にそこまでの意味があるのだろうか。もしかして今自分はとんでもないことをしようとしているのではないか。

    「……」
    「……」

    一度目とは違い、羽が舞い落ちるような軽さで唇が触れ合った。この柔らかい肉を強く押し付けてもいいのかどうか、フォルネウスは少し迷ったのだ。
    どうしたものかと探るように目線があったままのソロモンの目を覗き込む。
    ソロモンはそれに息を詰めたかと思うと、今度は口元がゆるゆると緩んで、紅潮していた顔は更に真っ赤になった。けれど拗ねていた先ほどとは違い、今度は嬉しさを噛み殺しきれていないといった様子だ。

    「……ありがとうな、フォルネウス」

    心の底から嬉しそうに、宝物をしまい込むように自分の口元に大事そうに触れる。
    ソロモンが菓子を作るのにかけた手間と時間に比べれば取るに足らないような、自分からのほんの一秒の接触がそんなに大事なのだろうか。フォルネウスにはそれがわからない。
    わからない、けれど。
    ソロモンがあまりに顔を赤くして顔中を喜色で満開にするものだから、やはり自分はなにかとてもすごいことをしたのではないかという思考がにわかに心の中で大きくなって、少しだけ顔が熱くなった。
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    kyosato_23

    DONEソロフォルのキス話です。
    既にくっついている設定の2人。

    普段はモンモンはこういった望みは言わないと思うのですが、フォルネウスには少しわがままを言うところが見たいという気持ちで書きました。
    タイトルに受粉って入れようとしてやめました。
    「春のめばえ」



    その日のソロモンは決意を秘めた目をしていた。それでいて少し浮ついているようにも見えて、ぼんやりとした春先に芽吹く葉を想起させる。
    何を言おうとしているのだろう。フォルネウスはその思考を先読みしようとしたが、すぐに止めた。数秒後にはソロモン自身の口から答えが提示されるのだから素直にそれを待つのが早い。

    「あのさ、……」
    「うん」
    「……お前からもらいたいお返しのことなんだけど」

    相槌を打って促すと、少しの沈黙の末にソロモンの目の中の決意が強まる。それにフォルネウスも口元を綻ばせて返す。
    感謝の気持ちを込めてソロモンがフォルネウスに渡した菓子に対して、あまりに凝った作りの品だったので礼をしないのも悪いからと何がいいか先日尋ねたのだ。ソロモンは当初は謝辞だけで十分だと断ろうとしたがフォルネウスももらうばかりでは収まりが悪い。
    思えばフォルネウスはこれまでもソロモンからいくつも贈り物をもらってはいたがその返礼は主に軍団への助力ばかりで、形のある贈り物をしたことがなかった。フォルネウス自身はそういった形あるものに価値を見出さないがソロモンは恐らくそうではないし、喜んでも 2424

    kyosato_23

    MAIKING8章4節前提ソロフォル。まだ途中。
    一つ前の作品の続きです。1万字以上入力不可だったので新規で投稿。
    4節ラストにアルスノヴァがうつっていた親友が戻ってきてからの話。いちゃいちゃしてます。
    露わになったソロモンの足をフォルネウスは一度だけ瞬きをして、それからじっと見つめてくる。それは観察眼に近い。フォルネウスがあまりに恥じらわないので一人で恥じらっている方が余計に恥ずかしいと気付き、ソロモンは躊躇いを振り切って自分の片膝をフォルネウスの足の間に押し込める。フォルネウスの左足を跨ぐようにして再び膝立ちになった。
    「やっぱり、同じだ。キミの刺青と寸分も違わない」
    フォルネウスが嬉しそうにソロモンの足と見比べながら自分の左の太腿の模様を撫でる。その声には心からの喜びの色があった。これまでどこか淡々としていたフォルネウスが初めて感情を覗かせた。ソロモンと魂が繋がっているという事実を認めて、笑ったのだ。
    「ああ、同じだな、俺たち……」
    その喜色にソロモンも嬉しさと愛しさがこみ上げて、フォルネウスの手に自分のそれを重ねた。フォルネウスの手を握り、手の甲に浮き出た刺青を自分の掌の中に閉じ込めるように包む。同時に自分の太腿をフォルネウスの太腿へ擦り付けた。自分の内腿とフォルネウスの外腿が触れ合う。体は二つあるのに刻まれた刺青はまるきり同じで、それを見比べていると不思議な一体感が湧き起こっ 3557

    kyosato_23

    MAIKING8章4節前提ソロフォル。まだ途中。
    最後の瞬間に魂が通じてアルスノヴァがうつっていた親友がその後アジトに帰ってきたら…という話。
    いちゃいちゃしてます
    8章4節+デカちゃんイベが下地にあります


    *********************************


    フォルネウスが紆余曲折の末に無事に戻ってきた日、ソロモンの高揚はフォカロルどころかバルバトスやウェパル、当のフォルネウスにまで窘められるほどだった。失った宝物が戻ってきたかのように頬を上気させて喜ぶ様は微笑ましく見る者が大半だったが、苦笑や呆れの視線も少なくはない。それでも皆ソロモンの喜びは理解できたし、自分たちが口を挟むものではないと見守る体勢を見せていた。
    その夜はささやかな歓迎会が催されたが、気遣いのある者の提言で宴の席は夜が更ける前にお開きとなった。酒を飲まないソロモンとフォルネウスは長々と祝いの場にいても楽しくないだろう、と。特にフォルネウスは大人数での飲み騒ぎを好まない。久しぶりの再会なら積もる話もあるだろうと、飲み足りない面々が騒ぐのを尻目に早々に二人を部屋へと見送った。


    少し早いもののいつもなら眠りに就いてもおかしくはない時間だが、その日のソロモンはまだ眠りたくなかったし、フォルネウスと離れたくなかった。だから自分の部屋へ来ない 7574

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