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    kyosato_23

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    kyosato_23

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    9章までの展開を下地にしたソロフォルです。
    メンタル弱りまくりモンモンとモンモンに甘すぎる親友なので注意。
    モンモンの弱音を親友に聞いてもらいたい。

    #ソロフォル
    solofol

    ソロモンの心が摩耗しているのは一目でわかった。
    何があったのか、行動を共にしていなかったフォルネウスにはわからない。
    これまでソロモンはヴィータのか弱い心身では背負いきれないような大きな責任や戦いを潜り抜けてきた。だがどんなに頑強な物質にも永遠はない。いつかは朽ち果てる。限界が来るのだ。

    「……フォルネウス、」
    「うん」

    名を呼ばれる。許容の意志を問う色がある。許容の色を返す。
    それだけでソロモンはホッとした様子で、フォルネウスの手を引いて椅子へ座らせ、その横に自分も腰掛けた。
    座った後もソロモンは繋いだ手を離さなかったので、フォルネウスの方も手を引っ込めずそのままにさせた。フォルネウスの膝の上で二人の手がしばらくの間重なり合う。いつもより体温が低い気がした。

    「……王ってさ、しんどいな。いや、王というより……指輪を持つ者がさ」

    アスモデウスはかつて言った。自分が愛したヴィータは遥か昔のペルペトゥムの民たちだけだと。王になる為に切磋琢磨し、競い合った、多くの民たち。
    彼らはきっと自分よりも強い意志を持ってソロモン王を志したのだろう。
    ソロモンのその言葉にフォルネウスは緩く手を握り返す力を強める。

    「キミと彼らでは何もかも状況が違うよ。同じソロモン王の名を冠しているというだけで、成そうとしている志だって別の物だ。キミは立派だよ。賞賛されるに値する努力をキミはしているさ。それは確かにヴィータであるキミにとってとても苦しいことだけれど」
    「……うん」

    ソロモンの顔がふにゃりと泣きそうにふやける。

    「……わかってる。わかってるんだよ。でもその頃のソロモン王にはさ、同じ状況の仲間が他にもたくさんいたんだろうなって。それも少し羨ましくなるんだ……」
    「……ソロモン王を呼ぼうか?」

    フォルネウスの言葉にソロモンは膝に顔を埋めんばかりに俯く。斜め上の角度から見えるその頭がためらいがちに横に振られた。ソロモンが更に手を強く握ってくる。引き続きフォルネウスを所望するらしい。

    メギドラルのソロモン王。ソロモンと同じ指輪を持つヴィータ。陣営は違えど、似た存在であるという点ではソロモン王以上の相手はいないだろう。

    シバの女王は指輪の重圧のよき理解者ではあるが、長く共にはいられない。彼女が使役するのはメギドではなくハルマだ。王都の守護を軸とする彼女らとは指輪の保持者としての精神性にどうしてもズレがあるし、世襲制で生まれた頃から指輪を継ぐことを決定づけられていたシバの女王の義務感はダイアモンドのように強くて美しく、それはソロモンを励ましもするが、子供のような弱音を吐きたい時には眩しすぎるのかもしれない。

    とは言え、それはメギドラルのソロモン王とて同じではある。彼の場合は義務感というよりも、サタンや議会への恐怖、及び無知という理由が大きいが。自分が持つべき多くの権利や自由を彼はそもそも知らないし、与えてもらえる状況にはない。つまりソロモンの弱音を聞いたところでそれに同調したり慰められる権利は彼には許されていないのだ。

    聞いたところではデカラビアも同じく指輪を扱えるアルスノヴァ血統であるとか。偽悪的な態度ではあるがソロモンには好意的なメギドだった。デカラビアが画策していた騒動が起こって以降フォルネウスは全て話の上でしか彼の現状について知らないが、今現状の話し相手としては悪くないのかもしれない。居場所がメギドラルとヴァイガルドという物理的な距離さえなければ。

    色々考えを巡らせたものの、何よりソロモンがフォルネウスに話を聞いてもらうのを望んでいるようなので、やはりここは自分が一番ふさわしいだろうと思った。
    フォルネウスは指輪を持つ者でもなければ当然アルスノヴァ血統でもないが、話を聞いて彼の心が元気になる手助けくらいは可能だ。何せフォルネウスは天才だったし、過去の英才教育で人の心の機微については叩き込まれている。

    「……こんなこと、言っていいのかな」
    「なんだい?」
    「……」
    「言いたくないなら無理強いはしないけど」
    「……他の誰かにバラさないでくれよ」
    「もちろん」

    「……お前が、アルスノヴァ血統になってくれたらなぁって、思うんだ。何回も、何回も、それじゃ解決にならないって自分に言い聞かせてる。でも、お前が俺と同じ指輪を扱える存在になってくれたら、俺はどんなに心強いだろうって」

    ふむ、とフォルネウスは何てこともない風に頷く。
    「なるほど、そういう選択肢も確かにあるね」
    「……デカラビアはずっとフルカネリっていう協力者と一緒にいて、アルスノヴァ血統がフルカネリにうつったらしいんだ」

    それがさ、とても、羨ましくて。
    だって、自分の一番の理解者が自分と同じ存在になるんだぜ。

    フォルネウスは今までヴィータのそういう欲望を何度も見てきた。
    持たざる者が持つ者を羨むのだ。
    そうしていつしか羨望は肥大化し、ヴィータの身には抱えきれない欲望となり、暴走して、自滅する。自滅ですめばまだやさしい。周囲を巻き込んで破滅することもある。

    けれど今目の前で自分の重責と凄惨な現実に潰されそうになっている少年がそれから逃げようとするのではなく、共に背負ってくれる相手が欲しい、それがお前であって欲しいと願う弱さがフォルネウスには好ましいと思える。
    誰でもいいから自分を助けてくれと泣くのではなく、他ならぬ親友であるフォルネウスにそうして欲しいと、二人だけのその秘密が欲しいと。

    ささやかな願いだ、と思う。
    実際にフォルネウスがアルスノヴァ血統になったとして、きっとソロモンは自分に倣ってフォルネウスに指輪を持って戦えとは言わないだろうということは予知できた。
    ただ少し自分の辛さを同じ目線で聞いてくれる相手がいて欲しいだけ。
    そのささやかな、周囲にとっては実際にはささやかですまないかもしれないが、フォルネウスにとってはささやかな、親友の願いを前に答える言葉は決まっている。


    「他ならぬキミがそう望むのなら」
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    kyosato_23

    DONEソロフォルのキス話です。
    既にくっついている設定の2人。

    普段はモンモンはこういった望みは言わないと思うのですが、フォルネウスには少しわがままを言うところが見たいという気持ちで書きました。
    タイトルに受粉って入れようとしてやめました。
    「春のめばえ」



    その日のソロモンは決意を秘めた目をしていた。それでいて少し浮ついているようにも見えて、ぼんやりとした春先に芽吹く葉を想起させる。
    何を言おうとしているのだろう。フォルネウスはその思考を先読みしようとしたが、すぐに止めた。数秒後にはソロモン自身の口から答えが提示されるのだから素直にそれを待つのが早い。

    「あのさ、……」
    「うん」
    「……お前からもらいたいお返しのことなんだけど」

    相槌を打って促すと、少しの沈黙の末にソロモンの目の中の決意が強まる。それにフォルネウスも口元を綻ばせて返す。
    感謝の気持ちを込めてソロモンがフォルネウスに渡した菓子に対して、あまりに凝った作りの品だったので礼をしないのも悪いからと何がいいか先日尋ねたのだ。ソロモンは当初は謝辞だけで十分だと断ろうとしたがフォルネウスももらうばかりでは収まりが悪い。
    思えばフォルネウスはこれまでもソロモンからいくつも贈り物をもらってはいたがその返礼は主に軍団への助力ばかりで、形のある贈り物をしたことがなかった。フォルネウス自身はそういった形あるものに価値を見出さないがソロモンは恐らくそうではないし、喜んでも 2424

    kyosato_23

    MAIKING8章4節前提ソロフォル。まだ途中。
    一つ前の作品の続きです。1万字以上入力不可だったので新規で投稿。
    4節ラストにアルスノヴァがうつっていた親友が戻ってきてからの話。いちゃいちゃしてます。
    露わになったソロモンの足をフォルネウスは一度だけ瞬きをして、それからじっと見つめてくる。それは観察眼に近い。フォルネウスがあまりに恥じらわないので一人で恥じらっている方が余計に恥ずかしいと気付き、ソロモンは躊躇いを振り切って自分の片膝をフォルネウスの足の間に押し込める。フォルネウスの左足を跨ぐようにして再び膝立ちになった。
    「やっぱり、同じだ。キミの刺青と寸分も違わない」
    フォルネウスが嬉しそうにソロモンの足と見比べながら自分の左の太腿の模様を撫でる。その声には心からの喜びの色があった。これまでどこか淡々としていたフォルネウスが初めて感情を覗かせた。ソロモンと魂が繋がっているという事実を認めて、笑ったのだ。
    「ああ、同じだな、俺たち……」
    その喜色にソロモンも嬉しさと愛しさがこみ上げて、フォルネウスの手に自分のそれを重ねた。フォルネウスの手を握り、手の甲に浮き出た刺青を自分の掌の中に閉じ込めるように包む。同時に自分の太腿をフォルネウスの太腿へ擦り付けた。自分の内腿とフォルネウスの外腿が触れ合う。体は二つあるのに刻まれた刺青はまるきり同じで、それを見比べていると不思議な一体感が湧き起こっ 3557

    kyosato_23

    MAIKING8章4節前提ソロフォル。まだ途中。
    最後の瞬間に魂が通じてアルスノヴァがうつっていた親友がその後アジトに帰ってきたら…という話。
    いちゃいちゃしてます
    8章4節+デカちゃんイベが下地にあります


    *********************************


    フォルネウスが紆余曲折の末に無事に戻ってきた日、ソロモンの高揚はフォカロルどころかバルバトスやウェパル、当のフォルネウスにまで窘められるほどだった。失った宝物が戻ってきたかのように頬を上気させて喜ぶ様は微笑ましく見る者が大半だったが、苦笑や呆れの視線も少なくはない。それでも皆ソロモンの喜びは理解できたし、自分たちが口を挟むものではないと見守る体勢を見せていた。
    その夜はささやかな歓迎会が催されたが、気遣いのある者の提言で宴の席は夜が更ける前にお開きとなった。酒を飲まないソロモンとフォルネウスは長々と祝いの場にいても楽しくないだろう、と。特にフォルネウスは大人数での飲み騒ぎを好まない。久しぶりの再会なら積もる話もあるだろうと、飲み足りない面々が騒ぐのを尻目に早々に二人を部屋へと見送った。


    少し早いもののいつもなら眠りに就いてもおかしくはない時間だが、その日のソロモンはまだ眠りたくなかったし、フォルネウスと離れたくなかった。だから自分の部屋へ来ない 7574

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