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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

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    なりひさ

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    ガンマト。カラー表紙のプールにいる目隠し束縛マトリフとガンガディア

    #ガンマト
    cyprinid

    プール 若者のはしゃぐ声が聞こえる。跳ねる水音は軽やかだった。陽射しはさんさんと降り注ぎ、夏の匂いが漂っていた。
     だがマトリフの視界は真っ暗に閉ざされていた。腕は胴体ごと縛られている。その姿は楽しげなプールサイドには似つかわしくないものだったが、自業自得でもあった。
     アバンたちは揃ってプールに来ていた。知り合いからオープン前に誘われて、貸切状態で遊んでいたのだ。マトリフも水着を着て遊ぶのかと思いきや、プールサイドに陣取って、目の保養とばかりににやけて若者たちの水着姿を眺めていた。だがその視線だけでも御用となった。マトリフは目隠しをされた上にチェアに縛り付けられてしまった。
    「ちぇっ……」
     せっかくの楽しみを奪われてマトリフは不貞腐れた。そのマトリフに影が差す。マトリフも気配に気づいて顔を上げた。
    「どうしたのかね、大魔道士」
     その声に来たのがガンガディアだとわかる。マトリフは肩をすくめてみせた。ガンガディアも大体の察しはつく。
    「かき氷を貰ってきた。食べるかね」
    「縄を解いてくれるならな」
    「それは君の行動次第だが」
    「わかったよ。お行儀良くすりゃいいんだろ」
     マトリフがそう言うと体を縛っていた縄が解かれた。次に目隠しも取られる。マトリフは眩しさに手で目を覆った。するとガンガディアが太陽を遮るように立った。
    「イチゴ味とブルーハワイだが、どちらがいい?」
     ガンガディアも水着を着ていた。両手には大きなかき氷を持っている。
    「ブルーハワイ」
     手渡された大きなかき氷にスプーンを立てた。ガンガディアはマトリフの隣に座ってかき氷を食べ始める。
    「おまえも泳ぐのか?」
    「客目線で感想が欲しいと言われたのでね。これも仕事の一環だ」
     このリゾート地を手がけたのはハドラーの会社だ。そこの社員であるガンガディアに誘われてマトリフは来ていた。
    「じゃあこれ食ったらあのスライダーに乗ろうぜ」
     マトリフはすぐそばにあるドラゴンの姿を模したスライダーをスプーンで指し示した。先ほどアバンとロカが乗っていたものだ。派手な水飛沫を上げてる音と、はしゃぐ声が聞こえていた。
    「君は泳げたかね?」
    「だから一緒にやろうって言ってんだろ」
     口を開けて笑うマトリフの舌が青く染まっていた。手に持ったかき氷はじわりと溶けていく。



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    kisaragi_hotaru

    DONE無自覚のままであろうとした両片想いガンマトが自覚させられるお話。欠損描写がありますが最終的には治りますけれど苦手な方はご注意くださいませ。謎時空なので深く突っ込んではいけない系です。魔王は祈りの間にて引きこもり中です。
     乱戦状態だった。一人ずつ探して回復していったのでは間に合わない。マトリフは冷静さを保ちながら素早く周囲を見回して、次いで傍らでモンスターを殴り飛ばしたブロキーナに視線を向ける。最近習得したばかりの回復呪文を使うにしても発動中は無防備になってしまう。詠唱のための時間稼ぎも必要だ。
     「よお大将! 全員を一気に回復させてやっからちょっくらザコどもの相手を頼むぜ」
     「いいよん」
     モンスターの大群相手にしながらもブロキーナは軽いノリで請け負った。
     そんな二人の会話を聞いていた一体のモンスターが不満をありありと孕んだ声色でもって割り込んだ。
     「ほう。君の言うザコとは私のことも含まれているのかな?」
     トロルの群れの向こう側から青色の肌をしたさらに巨大な体躯が現れた。眼鏡を中指の鋭利な爪で押し込んで歩み寄ってくるその理知的な動作とは裏腹に額には幾つもの血管が盛り上がっていた。
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