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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

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    なりひさ

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    マトを元気付けるガンガさん

    #ガンマト
    cyprinid

    元気の在庫「ガンガディア」
     マトリフは言って両手を広げた。ガンガディアはマトリフを見下ろして首を傾げる。
     マトリフは突然にやってきたと思えば、ガンガディアの目の前に立った。何やら思い詰めた顔をしており、どうしたのかと思っていたら、突然にガンガディアに向かって両手を広げてみせた。
    「……何かね?」
     ガンガディアはマトリフの行動が何を意味するのかわからず首を傾げる。ガンガディアを見上げながら両手を広げるマトリフの姿が、おおありくいの威嚇のポーズのように見えた。
     はて、私はマトリフを怒らせることをしたのだろうか。ガンガディアは昨日のマトリフの様子を思い返してみたが、特段変わったことは無かったはずだ。
    「……ハグだよハグ。抱きしめろ」
     マトリフは口を曲げながら言う。どうやら威嚇ではなく、機嫌が悪かったのだろう。
    「気が付かなくてすまない。おいで」
     ガンガディアは身を屈めてマトリフを受け入れるように腕を広げる。マトリフはいつもなら問答無用で呪文で飛び上がってくるのに、今は両手を広げたまま待っていた。ガンガディアは屈んで床に膝をつくと、そっとマトリフを抱きしめる。小さな身体を傷つけないように、しかし大事に思う気持ちが伝わるように、その身体を抱きしめた。
     しばらくそうしていたら、マトリフがぽつりと言った。
    「……何があったか聞かねえのかよ」
    「あなたが話したいなら聞くよ」
    「いい。これで充分だ」
     マトリフはガンガディアの胸に顔を埋めて目を閉じる。マトリフが存外に不器用であると知ったのは最近のことだった。
     マトリフは甘え下手であった。高い知能のせいか、あるいは性格のせいなのか、マトリフは自らの弱い部分を見せたがらない。強くあることを強いられてきた環境がそうさせるのだとガンガディアは思う。それはガンガディアにも覚えがあるからだ。
     だがマトリフは不器用ながらもガンガディアにその弱さを晒している。それが信用の証のように思えた。
    「私はいつでもあなたを待っている」
     だから、何かに傷付いたり、明日を信じられなくなったら来てほしい。ガンガディアの真摯な言葉がマトリフに囁かれた。


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    kisaragi_hotaru

    MAIKINGガンマトとハドポプが混在している世界線のお話の続きです。マトポプは師弟愛です。ひたすらしゃべってるだけです。
    ダイ大原作と獄炎のネタバレを含んでおりますので、閲覧の際には十分にご注意くださいませ。
    捏造と妄想がかなり激しいです。いわゆる、何でも許せる人向け、となっております。
    このシリーズは一旦ここで完結という形を取らせていただこうと思います。続きを待ってくれておりましたなら申し訳ないです……。
    大魔道士のカミングアウト 5 「――ハドラー様は10年前の大戦にて亡くなられたと聞き及んでいたのだが」

     本日二度目のガラスの割れる音を聞いた後、ガンガディアから至って冷静に尋ねられたポップは一瞬逡巡して、ゆっくりと頷いた。

     「ああ、死んだよ。跡形もなく消えちまった」

     さすがにこのまま放置しておくのは危ないからと、二人が割ってしまったコップの残骸を箒で一箇所に掻き集めたポップは片方の指先にメラを、もう片方の指先にヒャドを作り出し、ちょんと両方を突き合わせた。途端にスパークしたそれは眩い閃光を放ち、ガラスの残骸は一瞬で消滅した。

     「そうか……ハドラー様は君のメドローアで……」

     なんともいえない顔でガンガディアはそう言ったが、ポップは「は?」と怪訝な顔をして振り返った。
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    kisaragi_hotaru

    DONE無自覚のままであろうとした両片想いガンマトが自覚させられるお話。欠損描写がありますが最終的には治りますけれど苦手な方はご注意くださいませ。謎時空なので深く突っ込んではいけない系です。魔王は祈りの間にて引きこもり中です。
     乱戦状態だった。一人ずつ探して回復していったのでは間に合わない。マトリフは冷静さを保ちながら素早く周囲を見回して、次いで傍らでモンスターを殴り飛ばしたブロキーナに視線を向ける。最近習得したばかりの回復呪文を使うにしても発動中は無防備になってしまう。詠唱のための時間稼ぎも必要だ。
     「よお大将! 全員を一気に回復させてやっからちょっくらザコどもの相手を頼むぜ」
     「いいよん」
     モンスターの大群相手にしながらもブロキーナは軽いノリで請け負った。
     そんな二人の会話を聞いていた一体のモンスターが不満をありありと孕んだ声色でもって割り込んだ。
     「ほう。君の言うザコとは私のことも含まれているのかな?」
     トロルの群れの向こう側から青色の肌をしたさらに巨大な体躯が現れた。眼鏡を中指の鋭利な爪で押し込んで歩み寄ってくるその理知的な動作とは裏腹に額には幾つもの血管が盛り上がっていた。
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