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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

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    なりひさ

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    初夜後の気まずいガンマト

    #ガンマト
    cyprinid

    はじめての後で「もう起きていたのかね」
     背後から声をかけられて、マトリフはびくりと肩を跳ねさせた。まだ夜が明けきっていない海辺に、マトリフは一人で座り込んでいた。
    「……おぅ」
     マトリフは振り返らなかった。顔を合わせるのが気まずかったからだ。
     ガンガディアは屈むとマトリフの背にそっと手を当てた。
    「身体は大丈夫かね。昨夜はあなたに無理をさせてしまって……随分と辛そうだったが」
    「言うな言うな。夜の話を朝にするのは野暮だぜ」
     マトリフはガンガディアの手を避けるように立ち上がった。回復呪文をかけた身体は傷ひとつない。だがガンガディアに触れられた感触は消えていなかった。囁かれた言葉も耳に残っている。眼差し力強さもそこに籠った熱も、全てが目を瞑っても思い出されてしまって、マトリフは羞恥で肌を赤くさせた。
    「どうしたのかねマトリフ」
     ガンガディアは不思議そうにマトリフを見ている。マトリフも昨夜は熱に浮かされて睦言の一つも言ったが、朝になれば冷静になってしまった。ガンガディアは急に素っ気なくなったマトリフに困惑してしまう。
    「やはり嫌だったのかね。私に抱かれるのは」
    「嫌だったわけじゃねえが……」
    「ではなぜ私を避けるのかね」
    「言わねえとわかんねえのかよ唐変木」
     ガンガディアを見ているとマトリフは昨夜の己の痴態をありありと思い出してしまう。それがどうにも居心地が悪くて仕方がなかった。まさか自分があんなに甘ったれた声で行為をねだるだなんて、ガンガディアに抱かれるまで知らなかったのだ。
     マトリフは熱くなったうなじを撫でる。どんな顔をしてガンガディアを見ればいいかわからなかった。
    「……言ってくれないとわからないよ」
     ガンガディアの気落ちした声にマトリフは急に罪悪感を覚えた。マトリフはそろりと振り返る。ガンガディアは悲しそうに視線を落としていた。
    「いや、おめえのことが嫌だってわけじゃねえよ。ただ……」
    「ただ、何かね」
     ガンガディアはマトリフと目線を合わせて顔を寄せてきた。
    「だから……は、はず……」
     ガンガディアはマトリフの言葉を一言も聞き逃すまいと真剣に見つめてくる。起きたばかりで眼鏡をかけていないせいか、その表情を見ているとやはり昨夜の情景が思い出してしまう。意外にも手慣れた手つきで口付けてきたガンガディアの唇の体温が、今まさに触れられているかのように思い出されてしまう。
    「ああッ! おめえはこっち見るな!!」
     マトリフは両手でガンガディアの顔を押し除けるとルーラで飛び立った。
     後にこのことが原因で二人は拗れるのだが、それはまた別のお話。

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    recommended works

    kisaragi_hotaru

    MAIKINGガンマトとハドポプが混在している世界線のお話の続きです。マトポプは師弟愛です。ひたすらしゃべってるだけです。
    ダイ大原作と獄炎のネタバレを含んでおりますので、閲覧の際には十分にご注意くださいませ。
    捏造と妄想がかなり激しいです。いわゆる、何でも許せる人向け、となっております。
    このシリーズは一旦ここで完結という形を取らせていただこうと思います。続きを待ってくれておりましたなら申し訳ないです……。
    大魔道士のカミングアウト 5 「――ハドラー様は10年前の大戦にて亡くなられたと聞き及んでいたのだが」

     本日二度目のガラスの割れる音を聞いた後、ガンガディアから至って冷静に尋ねられたポップは一瞬逡巡して、ゆっくりと頷いた。

     「ああ、死んだよ。跡形もなく消えちまった」

     さすがにこのまま放置しておくのは危ないからと、二人が割ってしまったコップの残骸を箒で一箇所に掻き集めたポップは片方の指先にメラを、もう片方の指先にヒャドを作り出し、ちょんと両方を突き合わせた。途端にスパークしたそれは眩い閃光を放ち、ガラスの残骸は一瞬で消滅した。

     「そうか……ハドラー様は君のメドローアで……」

     なんともいえない顔でガンガディアはそう言ったが、ポップは「は?」と怪訝な顔をして振り返った。
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    kisaragi_hotaru

    DONE無自覚のままであろうとした両片想いガンマトが自覚させられるお話。欠損描写がありますが最終的には治りますけれど苦手な方はご注意くださいませ。謎時空なので深く突っ込んではいけない系です。魔王は祈りの間にて引きこもり中です。
     乱戦状態だった。一人ずつ探して回復していったのでは間に合わない。マトリフは冷静さを保ちながら素早く周囲を見回して、次いで傍らでモンスターを殴り飛ばしたブロキーナに視線を向ける。最近習得したばかりの回復呪文を使うにしても発動中は無防備になってしまう。詠唱のための時間稼ぎも必要だ。
     「よお大将! 全員を一気に回復させてやっからちょっくらザコどもの相手を頼むぜ」
     「いいよん」
     モンスターの大群相手にしながらもブロキーナは軽いノリで請け負った。
     そんな二人の会話を聞いていた一体のモンスターが不満をありありと孕んだ声色でもって割り込んだ。
     「ほう。君の言うザコとは私のことも含まれているのかな?」
     トロルの群れの向こう側から青色の肌をしたさらに巨大な体躯が現れた。眼鏡を中指の鋭利な爪で押し込んで歩み寄ってくるその理知的な動作とは裏腹に額には幾つもの血管が盛り上がっていた。
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