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    sangatu_tt5

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    記憶喪失🔮の探占

    #探占
    divination

    なんやかんやあって記憶を失った(試合中と頭部強打)🔮。目を覚ますと荘園の事もそれ以前のことも忘れてしまっていた。しばらくの間試合は免除されることになり、困ったように眉を下げる🔮の面倒を🧲が買ってでた。
    居館での暮らしや試合でのことを丁寧に教える🧲に感謝しつつ何かあると🧲に頼るようになる🔮。
    そんな🔮の左手の薬指には指輪が嵌っていない。鯖たちも🔮に💍のことを言うか悩んだ。
    詳しく🔮から聞いてはいないが、大切な人が外で待っている。しかし、外に出る方法もなければ、💍が🔮を待っている保証もない。
    記憶を失っている間ぐらいは💍のことを待たせていることを忘れてもいいのではないかと誰もが伝えなかった。もちろん、何かあれば世話をかってでた🧲が言うだろうという考えもあった。
    治療時に邪魔であると💉が外した指輪はベッドサイドのチェストに仕舞われている。
    記憶が戻らないまま、🔮は荘園での暮らしになれた。試合にも出るようになり、引率のようについてくる🧲にフォローを貰いながらもそれなりの立ち回りができるようになってきた。その結果か四六時中一緒にいた🧲は少しずつ🔮へと甲斐甲斐しく世話をすることが減った。端的に、🧲が世話をしなくても🔮が自分でできるようになったというのが正しい。
    少しずつ余裕が出てきた🔮が自室を片付けていれば、簡素な銀色の装飾品すらない指輪を見つける。手袋によって焼けていない白い手には指輪の跡がある。その場所は婚約指輪をはめる位置で🔮は大切な人を忘れてしまっていることに気がつく。
    それでも記憶がない🔮は誰のことか分からない。この荘園内で特別親しそうにしていた女性はいない。荘園の外かと思いつつも、出ることが叶うか分からない外の世界に自分は誰かを置いてきてしまったのかと思考を巡らす。
    この荘園内ならば、男女問わず誰が1番可能性が高いのかと🔮が自分自身に問えば、結論は🧲だ。
    面倒でしかないだろうに、甲斐甲斐しく昼夜問わず試合もプライベートも心配してくれたのは🧲だった。もし、自分が彼の恋人で彼のことを忘れてしまっているならこんなに残酷なことはないだろうと🔮は顔を青くする。
    汚れることも構う余裕もなく、床に座り込む。日が陰り、窓から差し込む日差しは真っ赤に染っていた。
    部屋をノックする音が響く。
    🧲「🔮、ご飯だよ。ねぇ……、寝てるの?……入るよ?」
    喉がカラカラで声が出ない🔮を心配してか、🧲が部屋へと入ってくる。散らかったままの部屋を見て、眉をしかめた🧲は雑多に床へと溢れている物たちを避けながら🔮へと近づく。
    首だけを上げて🧲を見る🔮の前でしゃがみ、🔮と目線を合わせる。
    🧲「どうかしたの?」
    🔮「これが出てきたんだ……」
    手のひらに乗せた指輪を🧲に見せれば、🧲は一瞬だけ目を見開き、すぐに表情を戻した。
    🧲「………そう」
    🔮「僕の……、なんだよね」
    🧲「……そうだね、🔮のだよ」
    🧲の肯定の言葉に🔮はこめかみが痛くなる。眉を顰めて、手を当てながら、🧲を見る。
    🔮「これの、相手って…」
    🧲「……誰だと思う?」
    🔮「……わ、かんない。思い出せないんだ……ただ、……」
    🧲「うん、ただ?」
    🔮「……君だとしたら、忘れてしまって申し訳ないと思う反面、……嬉しいって思うんだ」
    かすれる声をしぼりだし、否定を恐れて床を見る🔮を🧲が抱きしめる。
    🧲「………」
    🔮「………その、本当に……君なのかい?」
    🧲は強く抱きしめるだけで何も言わない。🔮が恐る恐ると言った様子で🧲の背中の服をにぎりしめる。
    🔮「………忘れてしまって、ごめんよ」
    目元を隠した布が濡れて、濃く染っていく。🧲はしゃくりをあげる🔮の背中を優しく撫でた。
    🧲「……また、新しく思い出を作ればいいよ」
    その言葉に🔮は救われるような気持ちになった。手のひらから大切に握りしめていた指輪が転がり落ちる。そのまま、床を転がり続け、ベッドの下へと潜り込んでしまった。
    🧲は記憶を失う前の🔮の恋人でもなんでもないです。
    雄弁は銀、沈黙は金という言葉をよく理解している🧲は1度も嘘をつくことなく、何も言わないという手段を使って、🔮の恋人の座を手に入れます。
    記憶が戻った🔮は「なんでっ!」と問い詰めますが、🧲からすれば勝手に勘違いしたのは🔮である為、何も言われる筋合いはない。
    君が君自身の選択で💍を裏切ったんだろう?と伝えます。
    そういう話。
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    💖💖💖
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    related works

    sangatu_tt5

    MEMOこいぬちゃんぐさんの月蝕の元ネタだったやつ
    血族に売り飛ばされた🔮のるろ月(探占)
    売られてなどいない。自分で来たのだと言い聞かせる。
    愛しいあの子よりも自分が犠牲になる方がマシだと脳の中で繰り返す。

    🔮の住む集落の近くには血族の住まう森があった。不干渉。互いに見て見ぬふりをすることで薄氷の上を歩くような危うい均衡を保っていた。
    しかし、それは血族の気まぐれによってあっさりと瓦解した。
    血族の要求は簡単だった。村の中から誰でもいい。男でも女でも構わない。ただ、若者の方が良いが、生贄を出せ。
    身体を作り替えて、餌として飼う。
    もし出さないようであれば、ここに住まうものを皆殺す。
    理不尽な要求に村人は頭を抱え、村で1番美人な娘という意見が出たが、その女は村で1番の権力をもつ者の娘だった。
    娘を出す訳には行かない父親は、娘の恋人に白羽を立てた。
    親族のいない🔮は都合が良かったのだ。誰もが同意し、🔮は着たことのないほど豪奢な、まるで花嫁衣装のような白い服を着せられ、追い出された。
    血族の餌になる恐怖と見捨てられた悲しみ。🔮は震える手を祈るように握りしめて、古く草臥れた館の中に入る。
    🔮「…ご、めん下さい。要求の通り、参りました。」
    震える声で呼びかけるが、しんっと 1738

    recommended works

    kawauso_gtgt

    DOODLE探占続き。それぞれの価値観とは。それ故にか荘園には定期的にメンテナンス日が設けられる。
    イライはどうやら同世代の女性陣に捕まっているらしい。
    元来そういった性格なのか。小さなものではあれをとって欲しいだの何を探しているだの、大きな物なら代わりに試合に出てはくれまいかと。余程の事でなければイライは大抵の頼み事を請け負っていた。
    ノートンにはわからない感性だ。なんの見返りもなしに誰かに奉仕するだなんて理解ができない。正直にそう告げたとしても、きっとイライは困ったように笑うだけなのだろうが。
    今日はエマとトレイシーに捕まったようで庭の片隅にある花壇の手入れを手伝っているようだった。庭師である彼女が丹精込めて育てた花は色とりどりで、どれもが活力に満ちた鮮やかな色を纏っている。
    「……不細工な笑顔」
    窓の外。エマに腕を引かれながらイライは及び腰で彼女の跡をついていく。柔らかな日差しの中で色鮮やかな花々に囲まれるその姿はまるで一枚の絵画のようで。
    ノートンはそうした芸術には明るくないから分からないが。
    似たような絵画が館のどこかに飾ってあったのを見たことがあった気がした。
    ***
    コンコンと軽いノックの後、「ノートン、入るよ」と 1329

    kawauso_gtgt

    PROGRESSここからすけべに発展するなんて誰が思っただろうかの探占今日のハンターはどうにもやる気がなかったらしい。
    一人黙々と暗号機を回していれば無線越しに聞こえてきたのはなんとも気の抜けた鼻唄とその向こうできゃっきゃと騒ぐ味方の声。ハンターと馴れ合う気などさらさらないがそれならそれで都合がいいと次から次へと暗号機を解読して脱出を果たしたのが今朝のことだった。朝一番の試合がそんなだったおかげでまだ昼前だというのにどうにも小腹が空いて仕方がない。見つかれば叱言を言われるだろうと思いつつも腹の虫を放って置くこともできない。出来ることならば誰にも会いたくないと思いつつも、ノートンの足は自然と食堂へ向かっていた。
    「イライさんの婚約者さんってどんな人なの?」
    食堂の扉を開けた瞬間聞こえてきた声に、ノートンはぴたりと一瞬足を止めた。それから声のする方へと視線を向けて、再び歩き出す。
    「え、ええと。私の話なんて別段面白くないと思うよ」
    「そんなことないよ! ボクも聞きたいなぁ、あ、話したくなければ無理にとは言わないけど!」
    どうやらノートンの予想は大外れだったようで、食堂には既に幾人かの先客がいたようだった。ノートンと同じように小腹を満たしにきたのか、個別で席に 1465

    kawauso_gtgt

    PROGRESSどこにも行けないセ探占ノートンの自室のベッドの上。腕の中の男は目に見えて身体を強張らせていた。手は出さない、と言ったのにな。ふうと小さく息を吐けばますます力の入った後ろ姿になんとも言えない気持ちになった。困らせている、と言う自覚はある。けれどそういう方法以外で穏やかな眠りを提供する方法など、ノートンには皆目見当もつかなかった。
    「どう、眠れそう」
    「……さあ、どうかな」
    ぐるりと腹部にかけて回された腕の中でイライが呟く。生憎背中を向けられているせいで彼が今どんな表情を浮かべているのかは窺い知ることは出来ない。
    「君って、酷い男だ」
    酷い。だなんて、どの口が言うのだろうか。
    「知らなかったの? 君が手を伸ばしたのはそういう男だよ」
    トランプでいうところのジョーカーを引き当ててしまったこの男には同情の念しか思い浮かばない。自分で言うようなことではないが、きっとこの人は最も引くべきでないカードを引き当ててしまった。しかも、普通の人であれば捨ててしまうようなそれを、お人好しを極めた男は後生大事にしてしまっている。
    「言ったでしょう、誰もがみんな、善人じゃないって」
    お人好しな貴方はとっくに忘れてしまったかもしれない 1341