三回目の正直 一回目のセックスは、緊張しすぎてよく覚えていない。
二回目のセックスは、気負いすぎて空回りした。
では、三回目は――?
簓と空却が付き合い始めたのは二ヶ月前だ。互いに好き合っていると理解したのは随分前なので、我ながらモジモジしている期間が長すぎてキモいなと思う。結局なんだかんだとくっつくことになったわけだが、簓はともかく空却は恋愛だのお付き合いだのという経験に乏しく……いや皆無で、恋人同士が踏むだろう手順というやつがよくわからなかった。なので、付き合って一ヶ月の記念日に簓にホテルに連れて行かれたときはカチンコチンに緊張してしまい、よくわからないまま行為は終わった。完遂と言えるのかどうかもよく覚えていない。ケガはしなかったが痛かったこと、ひたすら恥ずかしかったこと、簓がやたら優しかったことは覚えている。断片的にでも思い出すだけで顔から火が出そうになって、変な呻き声を上げて頭を掻き毟りたくなる衝動に駆られるのは、ただただ恥ずかしいからだ。自分の体がコントロールできなくなるのも、誰かの眼前にすべてを曝け出すのも、何もかも初めてだったのだから。
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