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    kidd_mmm

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    kidd_mmm

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    ノスクラともクラノスともつかないやつ8
    うーん。

    #吸血鬼すぐ死ぬ
    vampiresDieQuickly.
    #吸死
    Kyuushi
    #クラージィ
    clergy

    C-4 C-4

     ケンを起点に、『親』の居ない新米吸血鬼の話は街の吸血鬼たちの知るところとなった。吸血鬼は目新しいものが大好きだ。年末年始の休業期間中、ロナルドの事務所は夜ごと吸血鬼たちの訪問を受けた。
     クラージィは吸血鬼たちに取り囲まれ、質問攻めにあった。
    「誰に噛まれたかわかんないの? まじで?」
    「いつシンヨコに? 街には慣れた?」
    「身体細いなー、血ちゃんと飲んでる?」
    「能力とかは?」
    「バイト探してるんだったらウチに来いよ!」
     日本語勉強中のクラージィにとってはかなりハードな時間だ。
    「シンヨコに来たの、一ヶ月? くらい? 能力はワカラナイ……無い、たぶん」
     新顔の同胞と思う存分雑談に興じた吸血鬼たちは、帰り際
    に口を揃えて言うのだった。
    「『親』、見つかるといいね」
     
     もてなしの後の皿やグラスを集めてドラルクは言う。
    「気のいい連中ですよ」
    「ええ、いいひとたち」
     クラージィも片付けを手伝うことにする。ロナルドは残り物の菓子をつまんだ。
    「でも野球拳みたいなのも居るから。気をつけて下さいね」
    「ケンさん。変なひとでした」
     ロナルドは菓子を食べながら説明した。
    「えーっと、畏怖欲……自分の力を示すためだったり、自分の楽しみのためだったり……それで街のひとを巻き込んじゃう。シンヨコはそういう事件が多くて。野球拳もそういうタイプですね」
    「フム……」
     吸血以外にも吸血鬼が人を襲う理由があることを、クラージィは初めて知った。
    「その点、私はいつだって最高に畏怖いからね!」
    「ヌー!」
     ドラルクはジョンを隣に従えて、流しで皿を洗っている。
    「言ってろ砂おじさん。ま、そういうときのために俺たち退治人がいるんで」
    「ロナルドくんはゴリラだからね、グーで殴って解決しちゃうのさ」
    「うっせー!」
     
     新年最初の週が終わる頃、今度は退治人たちがクラージィに興味を持った。吸血鬼たちの中には、退治人と親しくしている者もいる。そこから伝わった話だろうか。
     ロナルドと、ジョンを抱えたドラルクによって退治人ギルドに連れて来られたクラージィは、ここでも一斉に取り囲まれた。
    「取って食うわけじゃないからさ、ゆっくりしてってよ」
    「悪いことしてねーのに捕まえたりしないって」
    「シンヨコは来たばっかりなんだろ? 困ったこととか無いか?」
    「退治人やってたんですって? ギルドは常に人手不足でして……」
     こうして会話を始めてしまうと、吸血鬼にも退治人にも以外と馴染めてしまうものだ。
    「あらアタシ好みのスレンダーボディーちゃん!」
    「シーニャ! クラージィさんは一般吸血鬼のかただから!」
     すごい格好の人が来た。驚くクラージィにドラルクが解説した。
    「退治人という仕事は目立ってなんぼなんですよ。街の吸血鬼退治は娯楽としての要素もあるんです。専門誌だってある」
     異性装、目のやり場に困るシスター、信仰を伴わない十字のシンボル。服装と当人の宗教は必ずしも一致しないようだ。
     吸血鬼が人間からの直接吸血を棄てて血液パックに移行したように、人間の側にも手放したものがあるのだろう。そう考えると、クラージィには少しさびしいものが感じられた。
    「そういや、あんた誰に噛まれたかわかんないんだって?」
     クラージィの近くに座っていた青年が言った。
    「やっぱ会いたいもんなの、噛んだ吸血鬼……『親』って」
     クラージィは少し考えた。
    「『子供』としては、ちょっとわからない。そんなに、気にしてないです。それより、この街をもっと見たい」
    「おいおい、寂しいことを言うんじゃないよ」
     不意にギルドの入り口で声がした。その場にいた全員が声の方向を見て、退治人たちは一斉に立ち上がった。
     戸口に立っているのは、杖を持った黄色いスーツの紳士。
    「Y談おじさん!」
     ギルド内に緊迫した空気が満ちた。紳士は退治人たちに両手を掲げて見せた。
    「今夜は君たちで遊ぶ気は無いよ! そこの彼を見に来たんだ」
     殺気立った空気の中、紳士は杖でクラージィを指した。クラージィは立ち上がった。この顔を覚えている。
    「ヨセフ……?」
    「そう名乗ったこともあったねえ。懐かしい」
    「そうか、無事だったのか、よかった」
    「最初に言うことがそれかい、あんなになっておいて。相変わらず馬鹿な旅人だよ」
     ヨセフが笑う。牙のあいだから長い舌がのぞいた。
    「え、知り合い?」
    「何語? これ」
     周囲では退治人たちがヨセフとクラージィを交互に見て、日本語で言い合っている。
     クラージィはあの春の夜の記憶を辿る。
    「あの時そばに居たのは君か。君が私を――」
    「違うよ! でも『死ねない』と言わせたのは私」
     ロナルドが日本語で口を挟んだ。
    「『親』ってまさかY……」
     ヨセフはロナルドには目もくれず、くるりと背を向けた。
    「元気そうな顔を見られてよかったよ、旅人くん」
     退治人たちに見張られながら、ヨセフは路上に出る。
    「せっかくの新たな生だ、楽しみたまえ!」
     ヨセフは笑顔で杖を掲げた。
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    kidd_mmm

    TRAININGノスクラともクラノスとのつかないやつ16
    アカジャというか再会したやつ見る前の構想そのままで終わりまで書く予定なので嫌だったらゴメンね
    C-8C-8

     いくつかのドアの前を通り過ぎて、教えられた部屋に入る。壁際にクローゼットと整えられたベッド、それから正面の書き物机をはさんで、本棚、姿見。掃除の行き届いた居心地の良い部屋だ。ベッドの上には新品のパジャマまで用意されている。
     クラージィは柔らかいベッドに腰を降ろし、行儀悪く仰向けに倒れた。指で唇に触れる。まだ血と体温の味が口の中に残っている。なかなか牙の入らない肌の弾力も。
     意外なことに――いや当然なのか、その味と感触は不快なものではなかった。自分で予想していたほどの抵抗も忌避もなく、かえって困惑するほど円滑にことは済んだ。
    (いや、円滑……ではなかったな)
     ノースディンは何も言わなかったが、かなり痛かったのではないだろうか。元から青白い顔が真っ白になっていた。その場に残してきてしまったのはまずかったように思う。心配だったが、棺までついていくのはさらにまずかろうとクラージィは思った。ドラルクからは、棺のありかは吸血鬼の社会において大変繊細な話題と聞いている。
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