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    kidd_mmm

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    ノスクラともクラノスともつかないやつ14

    #吸血鬼すぐ死ぬ
    vampiresDieQuickly.
    #吸死
    Kyuushi
    #ノースディン
    northDinh
    #クラージィ
    clergy

    C-7C-7

     風の音がする。
    「ん……」
     クラージィが身じろぎすると、すぐ耳元で声がした。
    「起きたのか?」
    「ノースディ……うわ?」
     四方に暗い空が広がっている。足元に地面の感触がない。
    「あまり動くなよ、バランスを崩すと危ない」
    「飛んで、いるのか……?」
     向かい風が顔に吹き付ける。クラージィが下を見ると、夜の街が輝いていた。
     大きな駅ビルと、バス乗り場の街灯。その周囲では無数の小さなビルが看板を煌々とさせてひしめいている。合間を縫うのは車のライトが続く道路だ。特徴的な円い陸橋が見える。少し離れて、集合住宅の通路の灯り、家々の窓。遠くの暗いのは川の方角か。
    「灯りが、あんなにたくさん」
     眩しい。クラージィは目を細めた。ノースディンは言った。
    「人間の街だ。夜を昼にしたいのさ」
     クラージィはノースディンの肩にぶら下がったまま、街の灯りを見つめていた。
    「人間と吸血鬼の街だ、ノースディン。あの中に、ドラルクやロナルド君、ヒナイチ嬢、ヨセフ、ケン、ラーメンヘッド……人間と吸血鬼の暮らしがある。夜と昼のあわい。たそがれの街だ」
    「お前には、そう見えるのか」
     ノースディンはため息をついた。
    「ノースディン」
    「何だ」
    「あの時、助けてくれて、ありがとう」
     ノースディンはしばらく黙っていた。 
    「……少し、飛ばすぞ」
     言うが早いか、ノースディンは飛行速度を上げる。クラージィは風を切る音を聞いた。
    「帰ったらお前、まず風呂に入れ。ニンニクくさくてかなわん」
    「それはすまないな」
     シンヨコの灯りが後方に去っていく。近くの別の街の灯りと比べると、シンヨコの灯りは少し暗い。それがかえってクラージィには愛おしかった。
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    kidd_mmm

    TRAININGノスクラともクラノスとのつかないやつ16
    アカジャというか再会したやつ見る前の構想そのままで終わりまで書く予定なので嫌だったらゴメンね
    C-8C-8

     いくつかのドアの前を通り過ぎて、教えられた部屋に入る。壁際にクローゼットと整えられたベッド、それから正面の書き物机をはさんで、本棚、姿見。掃除の行き届いた居心地の良い部屋だ。ベッドの上には新品のパジャマまで用意されている。
     クラージィは柔らかいベッドに腰を降ろし、行儀悪く仰向けに倒れた。指で唇に触れる。まだ血と体温の味が口の中に残っている。なかなか牙の入らない肌の弾力も。
     意外なことに――いや当然なのか、その味と感触は不快なものではなかった。自分で予想していたほどの抵抗も忌避もなく、かえって困惑するほど円滑にことは済んだ。
    (いや、円滑……ではなかったな)
     ノースディンは何も言わなかったが、かなり痛かったのではないだろうか。元から青白い顔が真っ白になっていた。その場に残してきてしまったのはまずかったように思う。心配だったが、棺までついていくのはさらにまずかろうとクラージィは思った。ドラルクからは、棺のありかは吸血鬼の社会において大変繊細な話題と聞いている。
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