Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    澪標(みおつくし)

    @m1otu94_310

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 13

    交流会で出したいお話の進捗!!!!尻叩きです!!!書くぞ書くぞ書くぞ…
    曦澄になるのですがまだ江澄とモブしか出てない。現代AUです。

    #曦澄

    肝試しに行ったら憧れの先輩とお浄めセッ!をしなくてはならなくなった話①やっぱりやめておけばよかった。
    国内でも有名な国立大学三年生の江晚吟は目の前にそびえ立つおどろおどろしい雰囲気を纏う廃墟を、死んだ魚より澱んだ瞳で見つめ今本日何度目か分からない溜息をついた。

    きっかけは、サークル活動中の友人の一言だった。
    「夏だし肝試し行かね?」
    馬鹿か?阿呆か?そんな前時代的な夏の楽しみ方に誰が賛同するもんか、の馬の字を口に出そうとした江晚吟の声を遮るように、周りにいた数人の男女がやだー!いいねいいね!えっこわーい!大丈夫、みんなで行けば怖くないよ~etcetc...
    (これは、確実に行くことが決定する流れ…)
    江晩吟は、自分に話の向きが飛んでくる前に、そっとこの場を離れてすべてを聞かなかったことにしたかった。
    別に心霊スポットや肝試しが怖いわけではない。ただ、幼い頃から父、母、姉、義兄といった家族全員からきつく約束させられていることがある。

    曰く、そういった所には近づいてはいけない。

    幼い自分が何度「どうして?」と尋ねても、両親は難しい顔をして答えをはぐらかすだけだったし、長じてから同じように自分に言い聞かせるようになった姉や義兄も、困ったような顔をするだけで決して江晩吟に明確な答えを与えてはくれなかった。何かを隠されていることは感じていたし、自分だけその理由を知らされないことに除け者にされたような気もして寂しく思うこともあった。それでも家族の皆がそう言い聞かせる時、まっすぐに江晩吟の瞳を見つめるその瞳には純粋な心配の色しかなかったため、釈然としない思いを抱えながらも言いつけを破ることなく今日まで生きてきたのだ。
    しかし、そんな感動的な江家の絆をここにいる連中に話したところで、「怖いの?」と馬鹿にされる未来しかないことは重々承知している。ならば、道連れにされる前に何も聞かなかったことにしてさっさと帰宅して動画検索サイトでころころ転がるかわいい子犬のチャンネルの過去動画を漁った方がよっぽど有意義である。江晩吟のプライドはチョモランマよりも高く、その舌鋒はマッターホルンよりも鋭い。今後の平穏な学生生活のためにも下手にかかわらずにおこうと、確かにそう決意したのだが。
    ぎゅっ、とシャツの裾を掴まれた感触がし思わず身を竦める。自分のシャツを見ているこちらが可哀想に思うほど血の気の引いた手で握りしめていたのは、同学年の女子学生だった。普段は明るく勝ち気な性格な彼女が、真っ青な顔で逃してなるものかと江晚吟の裾を握りしめている。一応目線で「離せ」とは伝えてみたものの、返ってくるのは「死なば諸共」という固い決意である。ここで二人で「行かない」などと言い出せば、次の日にはカップル誕生のニュースが瞬く間に学内を駆け巡るだろう。それは非常に面倒臭い。そして、江晚吟は彼女に一つ借りがある。出席率が考査の重要な要素となる講義で、何度か代わりに出席票を提出してもらったことがある。小さな恩だが恩は恩。
    はぁ…と小さくため息をついてから、盛り上がりつつあるメンバーに、今夜の集合時間と場所を尋ねたのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺☺☺☺☺☺☺☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    澪標(みおつくし)

    SPUR ME進捗進捗進……進まねぇ……
    次のターンから藍曦臣パイセンのご登場です。
    肝試しに行ったら憧れの先輩と以下略④異変はその日の夜から始まった。
    まず、ベッドに入り眠ろうとすると、どこからか声が聞こえてくるようになった。耳鳴りが人の声のように聞こえるのかもしれないと、一応それらしい理由を考えてはみたのだが、やはりどうにも人の話し声でしかない。確かに複数の人間が会話をしているようなのに、何を言っているのかは不思議なことに全く聞き取れない。声に耐えきれなくなり目を開けると、とたんに音が止むものだから質が悪い。静かになったので再び目を閉じると、途端におしゃべりは再開される。俺は修学旅行の夜の見回りの教師か。おかげでその日からだんだんと目の下に居座る隈が濃くなっていった。
    続いて、家の中がだいぶ賑やかになった。朝日が昇りきった部屋から大学へ向かい、日が落ちた時間に部屋に帰ると不思議とすでに電気がついている。誰が電気代を負担するんだ。そして、1人暮らしの1Kの室内でナニかが浴室への扉を開けたり、トイレの扉を開けるのである。開けたなら閉めろ。3歳の阿凌でもきちんと閉めるぞ、賢い良い子なんだ。一晩で何度も扉を開けられるものだから、何度も部屋の中を移動することになり帰宅しても落ち着かない日が続くことになった。
    1411

    澪標(みおつくし)

    SPUR ME尻叩きその②

    江澄が所属しているのは映画観賞同好会(好きな時に好きな映画を見て好きな時に感想を言い合う)です
    肝試しに行ったら憧れの先輩とお清めセックスをすることになった話②時刻は21:00。大学のキャンパスのある市街地から車で約30分の郊外。参加メンバーのSUVでやってきたその廃墟は、遠目に見た瞬間から「ヤバイ」の一言に尽きた。
    そこはかつてそれなりに繁盛していたが、数年前に突然廃業した元病院なのだという。建物の外観は、壁が崩れているとか蔦が生い茂っているとか、そこまで激しく朽ちている訳ではなく、むしろつい最近まで使用されていたもののように見えるのだが、纏う雰囲気が尋常ではなく「ヤバイ」。人の出入りもなくなって久しいというが、やけに生々しい空気が建物にまとわりついているようで、それがなんとも言えない不気味さを醸し出している。江晩吟は声にこそ出さなかったが、その類まれなる美貌の顔面を、「うげぇ」という正直な感情を抑えることなく思いっきりしかめていたのだが、どうやらこの場の空気の異常さを感じているのは江晩吟と、件の同級生だけであるようだ。ほかのメンバーは、「思ったよりもきれいじゃん」だの、「ちょっと雰囲気足りなかったかなー?」だの、「やだ―虫たくさん飛んでる~」だの、まったく周囲の空気の異様さには気が付いていないようだった。
    1607

    related works

    takami180

    PROGRESS恋綴3-5(旧続々長編曦澄)
    月はまだ出ない夜
     一度、二度、三度と、触れ合うたびに口付けは深くなった。
     江澄は藍曦臣の衣の背を握りしめた。
     差し込まれた舌に、自分の舌をからませる。
     いつも翻弄されてばかりだが、今日はそれでは足りない。自然に体が動いていた。
     藍曦臣の腕に力がこもる。
     口を吸いあいながら、江澄は押されるままに後退った。
     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
     そのうちに舌は首筋を下りて、鎖骨に至る。
     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
    1437

    takami180

    PROGRESS恋綴3-2(旧続々長編曦澄)
    転んでもただでは起きない兄上
     その日は各々の牀榻で休んだ。
     締め切った帳子の向こう、衝立のさらに向こう側で藍曦臣は眠っている。
     暗闇の中で江澄は何度も寝返りを打った。
     いつかの夜も、藍曦臣が隣にいてくれればいいのに、と思った。せっかく同じ部屋に泊まっているのに、今晩も同じことを思う。
     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

    takami180

    PROGRESS長編曦澄17
    兄上、頑丈(いったん終わり)
     江澄は目を剥いた。
     視線の先には牀榻に身を起こす、藍曦臣がいた。彼は背中を強打し、一昼夜寝たきりだったのに。
    「何をしている!」
     江澄は鋭い声を飛ばした。ずかずかと房室に入り、傍の小円卓に水差しを置いた。
    「晩吟……」
    「あなたは怪我人なんだぞ、勝手に動くな」
     かくいう江澄もまだ左手を吊ったままだ。負傷した者は他にもいたが、大怪我を負ったのは藍曦臣と江澄だけである。
     魏無羨と藍忘機は、二人を宿の二階から動かさないことを決めた。各世家の総意でもある。
     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
    「とりあえず、水を」
     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
    「ど、どうした」
    「怪我はありませんでしたか」
    「見ての通りだ。もう左腕も痛みはない」
     江澄は呆れた。どう見ても藍曦臣のほうがひどい怪我だというのに、真っ先に尋ねることがそれか。
    「よかった、あなたをお守りできて」
     藍曦臣は目を細めた。その拍子に目尻から涙が流れ落ちる。
     江澄は眉間にしわを寄せた。
    「おかげさまで、俺は無事だったが。しかし、あなたがそ 1337

    recommended works

    takami180

    PROGRESS続長編曦澄6
    思いがけない出来事
     午後は二人で楽を合わせて楽しんだ。裂氷の奏でる音は軽やかで、江澄の慣れない古琴もそれなりに聞こえた。
     夕刻からは碁を打ち、勝負がつかないまま夕食を取った。
     夜になるとさすがに冷え込む。今夜の月はわずかに欠けた十四夜である。
    「今年の清談会は姑蘇だったな」
     江澄は盃を傾けた。酒精が喉を焼く。
    「あなたはこれからますます忙しくなるな」
    「そうですね、この時期に来られてよかった」
     隣に座る藍曦臣は雪菊茶を含む。
     江澄は月から視線を外し、隣の男を見た。
     月光に照らされた姑蘇の仙師は月神の化身のような美しさをまとう。
     黒い瞳に映る輝きが、真実をとらえるのはいつになるか。
    「江澄」
     江澄に気づいた藍曦臣が手を伸ばして頬をなでる。江澄はうっとりとまぶたを落とし、口付けを受けた。
     二度、三度と触れ合った唇が突然角度を変えて強く押し付けられた。
     びっくりして目を開けると、やけに真剣なまなざしとぶつかった。
    「江澄」
     低い声に呼ばれて肩が震えた。
     なに、と問う間もなく腰を引き寄せられて、再び口を合わせられる。ぬるりと口の中に入ってくるものがあった。思わず頭を引こうとすると、ぐらり 1582