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    ☆quiet follow

    久しぶりにイヴで1本
    Kおじ「なんだ!?作者の中でベビーブームでも流行ってるのか!?」
    アキイヴ「前々から考えてたって」

    『懐妊』「KK~元気してる~?」
    「お前のせいで健康診断オールA判定になるほどには」
    「やっぱ食べさせといて正解だったぁ♡」
    「お前の辞書に倫理観って言葉はなさそうだな」
    暁人が久しぶりに会った友人のように、馴れ馴れしく話しかけてくる。バレンタインの一件で完全に人間を卒業した俺は定期的にエドの診療所に通うようになった。エドが言うには暁人のミトコンドリアとは違う進化を辿っているという。
    「ねえねえKK、なんか気付いた?」
    「何にだよ」
    「見てて分かんない?」
    「わからん」
    「じゃあお腹触ってみて」
    「なんで・・・」
    「いいから!」
    言われるままに手を伸ばす。服越しに触れた腹部からは微かに鼓動を感じた。
    「どう? 何か感じた?」
    「いや・・・別に何も」
    「えぇ~KKって鈍感だから前の奥さんに逃げられたんじゃないの~?」
    「それは関係ないだろ!!」
    「でもちゃんと感じてくれないと、寂しいなぁ・・・」
    そう言いながら俺の手を取ってまた腹にさわらせると今度はピクリと反応した。
    「ねっ? 分かるでしょ?」
    「まさか・・・子供か!?」
    「せいかーい! やっと出来たんだよぉ! これでKKもパパになれるねぇ♡」
    「待ってくれ、お前妊娠できるのか?」
    「できるよ、僕をなんだと思ってるのさ」
    「確かにお前は人間やめてたな・・・」
    「ぶっちゃけ生理痛の方が酷かった。女性ってあんな辛い痛みにずっと耐えてるんだな~って」
    「女じゃないから分からん」
    「今度体験させてあげるよ」
    「遠慮しておく」
    「もう、つれないなぁ」
    頬を膨らませている暁人だが、正直可愛いとか思ってしまった自分がいる。
    「とりあえず今何ヵ月だ?」
    「5ヶ月目だよ、もう性別も分かってるし」
    「どっちだ?」
    「女の子。それでKKに名前をつけてほしいなって思って」
    「なんで俺に?」
    「この子が大きくなったときにパパがつけたんだよ~って言いたいからさ」
    「なるほど・・・まあ考えとくよ」
    「いーやっ!今すぐ考えて!」
    「はぁ!?」
    いきなり今すぐ考えろと言われてもパッも思い付くものじゃない。前に子供を持ったときは妻がつけていたのだが、あの時は男の子の名前だったが、今回は女の子、しかも自分が名付け親になるのだ。一体どんな名前がいいだろうか。そんなことを考えているうちにふとある名前が浮かんできた。
    「愛(まな)・・・?」
    無意識のうちにその名前を口にしていた。すると暁人は少し驚いたような顔をしたがすぐに微笑みを浮かべた。
    「へぇ~良いじゃん。どうしてその名前にしたの?」
    「いや、なんとなく・・・俺や暁人以外からも愛されて欲しいと思ったからだ」
    「そっかぁ~うん、いいと思う。愛ちゃんきっと喜んでくれるよ」
    暁人は腹をさすりながら微笑む、ゆったりとした服を着ててわからなかったが、よく見ると腹が膨れていた。
    「だと嬉しいけどな」
    「それにしても、愛ちゃんが産まれたら僕はママにになるわけかぁ・・・となると麻里は叔母さんかぁ」
    「麻里にこの事は伝えたか?」
    「伝えたよ、けど」
    「けど?」
    「麻里にこっちくんなGウイルスって言われた」
    「あ、まあ、ドンマイ・・・」
    その日の夜、俺は夢を見た。夢の中の妻はいつも通り優しく笑っていた。そしてお腹の子供に話しかけている。まだ家庭を持ち始めた頃は、妻や子供とも上手く話せなかった。しかし妻の方は慣れたもので俺の顔を見ると笑顔で出迎えてくれた。
    しかし子供が産まれ、年が過ぎるごとに家庭を顧みず仕事に打ち込むようになった。その頃から少しずつ妻と子供に話す機会が減っていきいつしか会話すらなくなっていた。そんなある日のことだった。珍しく早く帰れた日、テーブルには一枚の紙が置かれていた。そこには今までの言葉が綴られており、最後に離婚届の文字があった。そこで目が覚めた。スマホの画面には午前3時と表示されていた。
    「こんな時間に起きたの久しぶりだ・・・」
    もう一度寝ようとしたが、不思議と目は冴えてしまい眠れなかった。これから暁人と俺の子供が産まれてくる。ちゃんと父親としてやっていけるのだろうか。不安ばかりが募っていく。
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    32honeymoon

    MENUジューンブライド小説、後編。
    初夜後から式を挙げるまでの話になります。
    直接的な描写はありませんが、凛子と恵梨佳、エドとデイルが恋仲のように書かれる部分があります。また、デイルの性格(セリフ)にある程度の捏造がありますのでその辺注意。
    雨が連れてきたはじまり<後編>新たなる決意、そして始まり【第四夜◇◆◇ 重(かさね)】

    「ん・・・・・」
    優しい重みで暁人は目を覚ました。身じろぎしてほんの少しだけ重いまぶたをひらけば、目の前に裸のまま自分を抱きしめて眠るKKの姿がある。
    途端に昨日のことを思い出して、暁人は思わずもう一度ぎゅっと眼を閉じた。

    (・・・・あんなの反則だろ・・・!)

    昨晩ーいや正確にはつい先刻まで。散々啼かされて喘がされて、身体の奥の奥まで何度も穿たれて。
    思い出せばそれだけで、また身体が反応してしまう。待って待って待ち焦がれて、やっと得たものは、愛されているという実感そのもので、そして何よりも。

    (・・・こんなに、気持ちいいなんて)

    ほう、と思わず吐息が漏れる。本当なら昨日はまずは「お試し」であって、またこれから少しづつ何度も身体を重ねて気持ち良くなって行ければいい、なんて思っていたし、そうKKにも言われていたから安心していたのに。
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    32honeymoon

    DONE #2023年初めK暁ワンライ
    (盛大に遅刻遅刻ゥ~!!!)
    もうすっかり専売特許になりつつある、あの夜を超えて戻ってきた二心同体K暁でお送りいたします。
    しかし結局今回もワンライどころか3時間かかってしまいました・・・これがポンコツたる所以・・・!
    でも書くのは楽しかったのでこれで良しとしてくださいませ!
    白雀さま、いつも素敵な機会を作ってくださりありがとうございます😊
    雪と兎とおみくじと。ーちらちらと舞い散る、白い雪。
    窓の外、視界を覆うその白さにほう、と息を吐けば、まだ温まり切っていない部屋の空気が暁人の吐いた息のかたちを煙のように可視化してみせた。

    『ー今日は都内でもそれなりに積もるらしいぜ』
    今日が休みでよかったな、と呟くその声にそうだね、と返して、そっと揺れるカーテンを閉める。ぺたぺたとスリッパの足音が、ちいさなワンルームの部屋に響いた。

    「・・・KKはさ、雪って・・・好き?」
    『あ?・・・・まあ、雨よかはマシだな』
    「・・・そうなんだ」

    どこか浮かない顔で、誰にともなく呟くその表情。
    もしKKが目の前に居たなら、きっと「オマエなんて顔してんだ」とでも言われただろうが、暁人の表情を映すものがない今、彼の体の中に居るKKがその顔色を知ることは叶わない。
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