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    Hakuaisan(GWT)

    @Hakuaisan

    二次創作てんこ盛り野郎

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    Hakuaisan(GWT)

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    〈思い付いた『淫魔』の1話目ができたので上げます by作者
    追伸 うちの狐にガトリングで蜂の巣にされたので、しばらく動けません。〉

    次→https://poipiku.com/2688419/9670245.html

    「はぁ、はぁ・・・」
    青年が1人、路地裏で息絶え絶えの状態で壁に寄りかかっていた。
    「・・・食べ、たい」
    ローブのような服を纏い、所々から素肌が見える。そのまま壁を背にして、その場に座り込む。フードを外すと、右耳の上辺りから角が内巻きに伸びているのが見える。
    「おなか、すいた・・・」
    すると青年の身体が小さくなる。正確には若返ったのが正しい。小さくなった身体から、ローブが外れる。
    「あ、あぁ・・・」
    ローブを掴むが、下に着ていた服もサイズが合わなくなり、身体からずり落ちる。
    「うぅぁ・・・」
    青年の身体はどんどん若返り、最終的に赤子へと変わる。
    「うぅ、あぅ・・・」
    小さくなった青年は、赤子になっても空腹により小さく呻く。だがその声は誰にも届かない。赤子は力尽きる様にその場で静かに瞼を閉じた。
    ****
    「あーさびぃ」
    「もう11月だもんね」
    「にしても寒すぎるだろ」
    絵梨佳と二人で並んで歩く。
    「腹減ったからって俺をパシりにするか?」
    「でも私はKKと二人でいるのもいいけど」
    「まあ任務は別だがな、凛子が心配する」
    「それは分かるけど、私は皆の役に立ちたいの」
    「そりゃー助かる」
    「KKはもう少し人の事を考えてよ」
    「はいはい」
    会話をしながら歩いていると、耳に何かの声が届く。それを聞いて立ち止まると、絵梨佳も立ち止まる。
    「KK、何か言った?」
    絵梨佳も聞こえたようで、俺に訪ねてくる。
    「何も言ってないが?」
    「・・・気のせいかな」
    周りを見渡すと、路地裏に入る道を見つけた。俺は立ち止まり、その道を見る。
    「どうしたのKK」
    「あそこからか?」
    「え?何?」
    俺は絵梨佳の疑問を無視して、そのまま歩いた。絵梨佳は心配しながらも俺について来る。その路地を通り過ぎる時、奥から小さな呻き声が聞こえた気がした。
    「ふぇぇ・・・」
    路地へと入ると、そこには裸で布にくるまれていた赤ん坊がいた。
    「KK、どうしたの?」
    遅れて来た絵梨佳が俺に追いつき、赤ん坊を見ると驚きの声を上げた。
    「だ、誰!?この赤ちゃん!?」
    「静かにしろ」
    「・・・まさかKKの!?」
    「俺じゃねぇよ!なんでこの状況で俺になるんだよ!!」
    「ふぇぇ!」
    俺の声に驚いたのか、赤ん坊が泣き出す。俺はすぐに抱き上げてあやした。
    「KK、どうするの?」
    「どうするって・・・これどう見ても捨て子だよな」
    「そうだよね・・・可哀想に」
    「・・・なんで俺の方見てんだよ」
    ****
    急遽、粉ミルクや哺乳瓶を調達し、裸の赤ん坊に与えていた。
    「KK、出来たよ」
    「おう」
    凛子から哺乳瓶を受け取り、赤ん坊に飲ませる。ゴクゴクと飲む姿が可愛らしい。
    「あ、飲んだ」
    哺乳瓶の中のミルクは減りが早く、相当腹を空かせていたことが分かる。そしてミルクがそこをついても吸い続けていた。
    「もうなくなっただろ」
    「・・・うぅぁぁ」
    赤ん坊がうるうると見つめてくる。
    「あーもうそんな目をするな!!」
    「KK頑張って」
    「おめぇらも手伝えよ!!」
    粉ミルクを溶かしては飲ませを何度も繰り返し、最終的に10杯分の粉ミルクを平らげた。
    「うぇ・・・うぇぇ」
    「よしよし、よく食ったな。これでひとまず安心だな」
    赤ん坊を抱きかかえながら、背中を軽くポンポンと叩く。赤ん坊は満腹になったからか、ウトウトし始めていた。
    「むぅ・・・」
    「ん?何だ?」
    「うぅぅ・・・」
    赤ん坊はウトウトしながら、俺の上着をキュッと掴む。それがどこか可愛く見えた。
    「KKって子供に好かれやすいよね」
    「俺がか?」
    「うん、何だかんだ言っても面倒見がいいから」
    絵梨佳は羨ましそうに言う。そんな様子を見ていると、いつの間にか赤ん坊が眠っていた。俺の腕の中ですやすやと眠る姿を見ていると、自然と笑みが溢れてくる。
    「KK、赤ちゃんのお父さんみたい」
    「馬鹿言ってんじゃねぇよ」
    赤ん坊を優しく揺りかごのように揺らすと、赤ん坊が眠ったまま笑う。俺はその姿に癒された。赤ん坊の耳の辺りを見てみると何かの跡がある。
    「KK、この子の角が生えてる」
    絵梨佳が赤ん坊の耳付近を指差す。そこには小さな角が生えていた。
    「うぅ・・・」
    少しつついてみると嫌そうな顔をしてまた眠りにつく。
    「なんか、可愛いね」
    「そうだな・・・」
    俺と絵梨佳が赤ん坊を見つめていると、凛子が別のものに反応を示した。
    「KK、これなんだけど」
    「それか」
    凛子が見せてきたのは赤ん坊と一緒にあった服だ。サイズはどうみても大人で、この赤ん坊からすれば大きすぎる。
    「角といい服といい、どうも人間じゃねぇな」
    「じゃあ妖怪?」
    「こんな妖怪俺は知らん」
    「ぶわぁ~あ~」
    赤ん坊は急に欠伸をし始める。起きるのかと身構えていたが、赤ん坊はそのまま眠りについた。
    「赤ちゃんすんごい可愛い」
    絵梨佳は完全に赤ん坊の虜になっていた。
    「A、K、I、T、O・・・」
    「どうした?」
    「服に書いてあったのよ」
    赤ん坊と一緒にあった服の内側に文字が書いてあった。
    「多分ローマ字で、アキト」
    「アキト?」
    この赤ん坊の名前なのか?
    「アキト」
    寝ているアキトに呼んでみると、微かに口元が吊り上がる。どうやら自分の名前が分かっているらしい。
    「うえぇぇぇ・・・」
    まだ眠たかったのか、アキトは突然不機嫌になり泣き出した。こりゃしばらく眠らねぇな。俺はアキトが泣き止むまで、抱っこし続けた。
    「それで、この赤ちゃんどうするの?」
    「どうするって・・・」
    凛子の言葉に少し困惑する。本当の親を探すのが普通なのだが・・・その親の素性も分からないのだ。それに何の妖怪かも分かっていない現状では、見つけ出すのは非常に困難だろう。だからと言って放っておくわけにもいかないしな・・・。
    「KK育てる?」
    「何で俺なんだよ」
    「だって学校あるし」
    「子育ての経験ないし」
    《僕も遠慮しておくよ》
    「お前らな」
    絵梨佳や凛子に続きエドまでもが言ってくる。俺はため息しか出なかった。
    「んぅ・・・」
    話していると、アキトが目を覚ましぐずり始める。
    「ほら、赤ちゃん起きてるわよKK」
    「・・・お前らも少しは手伝えよ?」
    絵梨佳と凛子は苦笑しているが手伝う様子はなかった。俺は仕方なくアキトを抱きかかえてあやすことにしす。するとすぐに泣き止み、笑い始めた。
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    リキュール

    DONE日本ゲーム大賞優秀賞おめでとうございます!(遅刻)
    おめでたいと祝われるK暁です。本編後KK生存if、『黒猫』より少し前。
    愛したくて仕方がないが我慢していたKK×子供扱いされたくない暁人のお話。
    吉事あれば腹の内を晒せ「(おや、ちょうどいいところに)」

    ふわりと浮かぶ猫又が調査帰りの僕たちの元にやってきて尻尾を揺らした。暗い路地裏、夜も遅いこともあって人通りはないため、周囲を気にせずに堂々と触れる。耳元を撫でると、顔を擦り寄せうっとりとした表情でにゃぁんと鳴いた。これを人がいるところでやると虚無を撫でるヤバい人になってしまうので注意しなくてはならない。あれは結構恥ずかしい。

    あの夜が明け、消えていた人たちが帰ってきた。街の活気が戻り再び多くの人が行き交う渋谷になってからというもの、気がついた時には既に猫又たちはコンビニや屋台から姿を消していた。まあ人間がいなくなりこれ幸いと店を乗っ取っていただけなので、人が帰ってきてしまえば返さざるを得ず仕方がないと言えばそれまでで。だからもう会うことは無いのかと寂しく思っていたら、人気のない夜道や路地裏でひょこっと顔を出すようになったのだ。驚いたが、またあの可愛らしい鼻歌が聞けると思うと自然と顔が緩んでしまう。彼らはいつも見つけられるわけではない。気紛れに現れて、たまに撫でさせてくれて、掘り出し物を売買する。この気分屋な感じ、猫はいつだって可愛いのだ。
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