ほかほか焼き芋、サツマイモ 子どもの頃のKKにとって、秋と言えばサツマイモ、サツマイモと言えば焼き芋だった。
うろこ雲が彩る夕焼け空と、落葉し地肌を覗かせる山間の木々。赤に黄色に茶色に灰色。色とりどりの落ち葉をかき集めて畑に持って行けば、熊手を片手に待ち受けていた爺さんが、剪定した枝や雑草とともに焚き火にくべてゆく。そして、新聞紙にくるんだ生のサツマイモを、落ち葉の奥にそっと押しこむのだ。
パチパチと音を立てて燃えあがる赤い炎と、天高く立ちのぼる白い煙。うっかり風下に立ってしまうと、あっという間に舞いあがる灰の餌食だ。いがらっぽい喉と、ゴロゴロと違和感を訴える目玉。子どもの手伝いとはいえ畑仕事は重労働で、すっかり重怠くなった身体に、そのきな臭さはひどく堪えた。だが、その疲労感と痛みこそが、これ以上ないほど食欲の秋を満喫できる合図でもあった。
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