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    scenaria0420

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    scenaria0420

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    第一話:おまじない第一話:おまじない

    類「何事にもおまじないってあるけれど、学校という枠組みで絞れば一番有名なのはやっぱり消しゴムのおまじないかな?」
    司「………消しゴムのおまじない?」
    類「おや、知らないかい?新品の消しゴムに好きな人の名前を書いて、誰にも気付かれずに使い切るとその恋が実るっていうおまじないなんだけど…………」
    司「あー………昔咲希や一歌たちがなにやら話していたな………。それがどうかしたのか?」
    類「小学生の頃さ、そのおまじないが本当に有効なのか気になって、実際に試してみたんだよね」
    司「何をやっているんだ、お前は」
    類「具体的には、新品の消しゴムそれぞれにクラスメイトの名前を書いて、同時に使い切ったらどうなるのかなって試してみたんだけど」
    司「………何をやってるんだ、お前は」
    類「その結果、恋人になるならない以前に、僕には友人すらいないことに気が付いただけだった」
    司「………何でそんな悲しいことをしようと思ったんだ、お前は。おまじないとかなら他にも色々あっただろう。何故、自ら心を傷付けに行くんだ」
    類「…………あの頃の僕は若かった」
    司「……………………」
    類「………?どうかしたのかい、司くん」
    司「いや、類の実験の成功失敗はどうでもいいのだが」
    類「さらりと酷いことを言うね」
    司「大抵の場合、新品の消しゴムに書くのは自分の名前だろ?」
    類「まあ、そうだね」
    司「そうなると、ほとんどの学生は自分のことが好きになってしまうのではないのか、オレみたいに」
    類「いや、このおまじないを聞いてそんな反応するのは多分キミくらいだと思うよ。なにそのナルシスト製造機。怖すぎるでしょ」
    司「自分を好きになることは大事なことだぞ‼……それに、名前を書いただけで恋人に出来てしまうのも十分怖いと思うが………」
    類「そういう話じゃないんだけどなー………。一応補足しておくと、これは想いを込めなければ無効らしいから、自分大好きな人が増えることはないんじゃないかな?」
    司「………そうかー」
    類「なんでそんな残念そうなんだよ。本当に自分大好きだね、キミは」
    司「嫌いよりはいいんじゃないか。ちなみにオレは今でもちゃんと消しゴムには名前を書いているぞ!」
    類「…………おまじないが効くと良いね」
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    scenaria0420

    DONEI/bパロディ小説(2)
    注意書きは前回を参照してください。
    I/bパロディ(2)例えるなら、プールで泳いでいるとき唐突に足がつってしまったかのような……或いは、海を漂っているとき徐に浮輪を取られてしまったかのような……そんな息苦しく、浮遊感に対する恐怖と目の前に広がった暗晦たる風景の絶望………。上へと手を伸ばし、藻掻き、何とか地上へ戻ろうとしてもズシリと重たい絵の具のような水はツカサを下へ下へと引きずり込む。ゴポリッと必死に呼吸をする度に、数個の泡が哀れに足掻きそれでも沈みゆく自分を嘲笑うかのように水面へと上って行った。
    (………何とかこの深海の中から抜けなければ………そろそろ息が続かなくなってしまう……!)
     すり抜けていく数多の魚(魚……と形容してもいいものか微妙な謎の生物も多々いるのだけれど)を横目に、ツカサは必死に手足を動かす。傍から見ればそれは随分と滑稽に映ったことだろう。……しかしながら、絶体絶命な状況に遭遇してしまったときこそ諦めず行動し続ければ案外道は開けるものだ。乱雑に動かしていた足に、何か当たる感覚が脳に伝わってくる。その感覚を頼りにそのまま足を進めて行けば、足に当たった何かは下へと続いているようだった。
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