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    星明かりの交響曲展示物置き場。
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    【浮葉御門×朝日奈唯】
    7章が終わってカッとなって書いた浮唯。
    柚木様とはまた違うけど一筋縄ではいかない浮葉様…
    あの後半PUガチャが無かったときの絶望感と言ったらなかったですね。
    でもホーム台詞だと割といつも唯ちゃん傍に置きたがってるし、何でもやってあげたい系なので実装が楽しみです!

    #浮唯
    material
    #御門浮葉
    gomenUkiyoe
    #朝日奈唯
    asahiNayoi

    さしも知らじな 燃ゆる思ひを浮葉御門×朝日奈唯



    お願いだから、そんな顔で私を見つめないで
    何もかもを捨てて、貴女を攫ってしまいたくなるではないですか。
    「おやおや、名高いスターライトオーケストラのコンサートミストレスが、こんな遅くに独りでそぞろ歩きとは感心しませんね」
     ええ、知っていますよ、貴女が随分前からこの門の前に立って居た事は。
    泡沫の夢を奏でるその手が、可哀想な程真っ赤になっている。
    「あ、えっと……」
    「すみません、意地悪な物言いでしたね……少し暖まって行きませんか、京の夜は冷えますから」
     私の言葉にホッとしたような表情を浮かべる貴女は、出会った頃と少しも変わらない。

     彼女を客間に通して、二人分の茶を淹れる。
    火鉢の炭が赤く弾けて崩れると、彼女は湯飲みに口を付けて湯気の立つ緑茶を啜った。
    「今日は使用人達が皆用向きに出ていまして、大したもてなしも出来ず申し訳ありません」
    「そんな、こっちが勝手に押し掛けただけなのでお構いなく」
    「ふふ、やはり貴女はお優しい……こう言う時、源一郎が居れば茶菓子の一つも用意できたのですが」
     ああ、どうにもいけない、やはり貴女と居ると
    ほろり、ほろりと、内に秘めたものが零れてしまいそうだ。
    「源一郎は、元気でやっていますか」
    「はい、皆ともすぐに馴染んで……もうスタオケになくてはならいメンバーです」
    「そうですか……それは何より」

     ああ、そんな顔をしないで
    ほんの僅かな、あまりにも細い縁が、千切れぬ様に、解けぬ様に、懸命に言葉を選ぶその姿は、まるで幼子が親とはぐれまいと必死に縋る様で、
    お願いだから、そんな顔で私を見ないで。
    「ほら見てください、今宵は月が美しい」
     丸窓障子にはめられた硝子越しに、凍てつく月が中庭の池に揺れている。
    「貴女も、もう少し近くでご覧になっては如何ですか?」
     そう言って誘えば、遠慮がちに貴女は私の隣に座りなおした。
    「お寒いのですか、可哀想にこんなに震えてしまって……」
     底冷えする寒さに小さく肩を震わす彼女に、頭からすっぽりと羽織っていた着物を被せた。
    「あの、浮葉さん?」
    「そんな顔をしてはいけませんよ」
     今だけは、この一瞬だけは、星も、月も、どうか誰も、私達を見ないでおくれ。
    重ねた唇は存外に柔らかくて、驚きのあまりに私を見上げるその瞳は、まるで零れ落ちてしまいそうで、ほんの一瞬、触れただけの温もりはすぐに離れてしまう。
    「そんな顔をされては、全てを捨てて貴女を攫ってしまいたくなる」

    かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを

     貴女は知る由もないでしょう、私がどれ程この胸の内に貴方への想いを滾らせているのか
    今はまだ、口に出せぬこの想いを知った時、貴女はどんな顔をするのでしょうか。
     お願いだから、そんな顔で私を見つめないで
    何もかもを捨てて、貴女を攫ってしまいたくなるではないですか。
    「おやおや、名高いスターライトオーケストラのコンサートミストレスが、こんな遅くに独りでそぞろ歩きとは感心しませんね」
     ええ、知っていますよ、貴女が随分前からこの門の前に立って居た事は。
    泡沫の夢を奏でるその手が、可哀想な程真っ赤になっている。
    「あ、えっと……」
    「すみません、意地悪な物言いでしたね……少し暖まって行きませんか、京の夜は冷えますから」
     私の言葉にホッとしたような表情を浮かべる貴女は、出会った頃と少しも変わらない。

     彼女を客間に通して、二人分の茶を淹れる。
    火鉢の炭が赤く弾けて崩れると、彼女は湯飲みに口を付けて湯気の立つ緑茶を啜った。
    「今日は使用人達が皆用向きに出ていまして、大したもてなしも出来ず申し訳ありません」
    「そんな、こっちが勝手に押し掛けただけなのでお構いなく」
    「ふふ、やはり貴女はお優しい……こう言う時、源一郎が居れば茶菓子の一つも用意できたのですが」
     ああ、どうにもいけない、やはり貴女と居ると
    ほろり、ほろりと、内に秘めたものが零れてしまいそうだ。
    「源一郎は、元気でやっていますか」
    「はい、皆ともすぐに馴染んで……もうスタオケになくてはならいメンバーです」
    「そうですか……それは何より」

     ああ、そんな顔をしないで
    ほんの僅かな、あまりにも細い縁が、千切れぬ様に、解けぬ様に、懸命に言葉を選ぶその姿は、まるで幼子が親とはぐれまいと必死に縋る様で、
    お願いだから、そんな顔で私を見ないで。
    「ほら見てください、今宵は月が美しい」
     丸窓障子にはめられた硝子越しに、凍てつく月が中庭の池に揺れている。
    「貴女も、もう少し近くでご覧になっては如何ですか?」
     そう言って誘えば、遠慮がちに貴女は私の隣に座りなおした。
    「お寒いのですか、可哀想にこんなに震えてしまって……」
     底冷えする寒さに小さく肩を震わす彼女に、頭からすっぽりと羽織っていた着物を被せた。
    「あの、浮葉さん?」
    「そんな顔をしてはいけませんよ」
     今だけは、この一瞬だけは、星も、月も、どうか誰も、私達を見ないでおくれ。
    重ねた唇は存外に柔らかくて、驚きのあまりに私を見上げるその瞳は、まるで零れ落ちてしまいそうで、ほんの一瞬、触れただけの温もりはすぐに離れてしまう。
    「そんな顔をされては、全てを捨てて貴女を攫ってしまいたくなる」

    かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを

     貴女は知る由もないでしょう、私がどれ程この胸の内に貴方への想いを滾らせているのか
    今はまだ、口に出せぬこの想いを知った時、貴女はどんな顔をするのでしょうか。
    そんな詮無い事が、頭を過ぎると思わず私は自嘲にも似た笑いを零してしまっていた。




    ─了─
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