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    bell39399

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    bell39399

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    ふしぎなのかかん4 《生命の泉》は森の奥深くに秘されており、辿り着くまでには常人では相当に困難な絶壁同然の大樹の頂上を目指さねばならない。だがバンはいとも容易く、これからありつけるお宝に思いを馳せてご機嫌に歌を口ずさみながらひょいひょいと木を登って行った。暫く後に頂上の土を踏み、様子を伺う。噂の恐ろしい聖女に気配などどこにも感じず、話には尾ひれがつくものだと改めて感じた。だが、代わりに女の子がいた。じっとこちらを見上げている。驚いたバンはほんの一瞬だけお宝の事を忘れたが、辺りを見回すと絶え間なく水をこぼし続ける不思議な杯が目に入って、瞳を輝かせた。間違いない、お宝の《生命の泉》だ!
     ……が、想像していた様子とだいぶ違って見えた。まずテレビがある。こたつもある。その脇に置かれた本棚とも呼べぬような箱には雑誌も入っているようだ。その場だけ所帯じみていて不思議な秘宝が隠されている聖域という雰囲気とかけ離れている。例えるならばがっかり観光名所のようだ。
    「泉を狙いに来た挙句失礼ねっ、それに観光名所じゃないわよ!」
     プンスカ怒った女の子の声が耳に入った瞬間バンは、突然巻き起こった突風に飛ばされて木の下に落っこちた。
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    bell39399

    MAIKINGバンエレ水浴び一人アンソロその1(2以降があるかは謎)

    途中まで書いたやつポイ。
    一人称に直すかも。なんとなく
    それを見た時、バンは幻を見たのかと思った。もしくはまだ寝ぼけているのか。
     

     夜中、水音を聞いた気がしてふと目が覚めた。もとより熟睡することのないたちだったが、この森に来てからは妙によく眠れる。にもかかわらず、だ。それに何故か少し冷える。
     その原因に気づき、思わず自嘲した。なんの事はない、隣で寝ていたこの森の聖女がいなかっただけの事だ。
     この森も、この森である秘宝を守っているという少女も奇妙な事だらけだった。安らぎやぬくもりとは無縁の生活を送ってきたバンだったが、ここに来てからは気持ちが凪いでいる。不思議なことだが本能で警戒する必要がないと感じていた。
     エレインと名乗る妖精少女(本人曰く千年は生きているらしいが)とのやり取りも実に愉快だった。彼女はバンの他愛のない話を夢中で聞いて、四季のようにくるくると表情を変えながらバンの言葉の一つ一つにいちいち反応する。時には金色の睫毛を伏せ、時には頬を膨らませ、そして何よりよく笑った。バンは彼女の笑顔で初めて「花が綻ぶような」という形容の意味を知った。
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