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    pagupagu14

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    見知らぬ簪/高雅(Fate)
    生前おうのに贈られた簪を雅がつけていて気になって嫉妬してしまうお話

    #FGO
    #Fate/GrandOrder
    #高杉晋作(Fate)
    shinsakuTakasugi
    #高雅
    #晋雅

    見知らぬ簪 「おや」
    朝の支度をしている雅。そんな雅の髪に刺された簪は僕が現在も生前も含めて贈った覚えのないものだった。
    「雅、その簪…」
    金魚の簪だった。硝子細工でつくられた金魚が彼女の髪で楽しそうに泳いでいる。僕に指摘された彼女は無邪気に少女のような笑顔を向けた。
    「ふふ、似合いますか?」
    「ああ…似合う、似合うとも。君は赤もよく似合う」
    「あら、ありがとうございます。」
    「ただ…その、それは…誰かからの贈り物かい?」
    勇気を振り絞って問えばおかしそうにくすくすと雅は笑った。
    「そうですけれど嫉妬ですか?」
    「そうだよ!?悪いかい!?」
    「悪いなんて言ってないじゃありませんか」
    そう言いながらくすくすとまた雅は笑った。
    「…僕の死後?」
    「ええ、そうですね」
    「…僕以外の男?」
    「男ではないですね」
    「えっ、じゃあ女から?」
    「ええ、そうです。おうのさんがくれたんです」
    「おうのが?」
    「ええ。あなたが死んでから私なりに顔を引き締めていたつもりだったんですよ?梅もいましたし、けれどおうのさんには気づかれていたようで…よく家にやってきては歌を歌ってくれたり、舞ってくれたり…面白い話を聞かせてくれたり…この簪は私と梅とおうのさんと一緒に夏祭りに行った際に買ってくれたものなんです。お金を払うと行っても受け取らず、絶対似合うと言ってきかなくて…それで贈ってくれたんです」
    「ふー……ん」
    さすがおうのというべきか、雅の似合う色。似合うもの。それをよく分かっていた。しかしおうのとしても嫉妬してしまうのもまた事実だった。
    「その簪以外には何かもらったの?」
    「色違いの着物を一緒に作ったり…それに合わせて帯留めを互いに選びあって買ったっり…一緒においしいものを食べに行ったり…おうのさんには本当によくしていただきました。おうのさんったらいつも会うたび『かわいいかわいい』って飽きることなく連呼するものですから」
    そう言って頬を赤く染める雅。やっぱりおうのに嫉妬する気持ちは止まらない。
    「僕だってかわいいって思ってるし言ってるだろ?」
    「ふふ、今度は自分の妾に嫉妬ですか?」
    「めか……っ、いや…おうのとはそういうのではなくてだな!?」
    そう言うとふふ、と雅は可憐に笑った。
    「僕だって君に似合うものを贈れるし知っている」
    「ええ」
    「君と一緒にデートに行くことだって、それに……」
    「もう。心の小さな人」
    言われてびくりと肩が震えた。雅に嫌われたくないと強く思っていたから余計に。けれどそんな僕の心配を他所に雅は僕の両手を包み込むように握った。
    「あなたとおうのさんは違うでしょうに」
    「違う?」
    「あなたは私の…生涯のたった一人の夫。おうのさんは恋敵であり…親友とでもいうのかしら」
    ふふ、とまた雅はおかしそうに笑った。
    「だから、そう不安がらないで。そして少しくらい親友からの贈り物をつけることくらい許してくださいな」
    「…他に僕が贈ったものをつけてくれるなら」
    「仕方がない人」
    そういうと僕の手を放し帯どめを僕が贈ったものに付け替えた。
    「これでどうです?」
    「……うん、やっぱり雅は僕の雅だ」
    紅を塗るよりも早く唇を奪う。
    「……っ、もう…困った人」
    そう言いつつも雅は全然困っていない。それが嬉しくて…朝の準備はもう少し遅くなりそうだった。
    -了-
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    sakikuryo

    DOODLE高杉社長について書きたい咲紅さんはおおよそ五分の夕立のあと、様々な蜂蜜を取り扱う洒落た店で嘘みたいな味のりんごを食べたことの話をしてください。

    #さみしいなにかをかく #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/595943
    面白きこともなき周回を面白く高杉社長を書いてみようとした
    途中で切れます

    ===

     あたりが焼け野原になったのを見届けてから、高杉は手近なカフェーへ入った。銅だか真鍮だかを叩いてのしたような看板に、甘たるい西洋菓子の名が焼き付けてある。店の名前なのだろう。食べたことはない菓子だったが、横文字の響きだけで十分に胸やけがする。引いた扉の蝶番はやけに重い。ベルが尖った音でちりんと云い、対して店員は、蚊の鳴くような応対で客を出迎える。
    「二名様ですね」
     お好きなお席へどうぞ、と言われて初めて高杉は、自分の後ろにもう一人居たのだと気が付いた。カルデアのマスターだ。白っぽい衣服と頬は煤だらけで、とてもじゃないが洒落たカフェーで一服する格好ではなかろう。人のことは言えないが。振り返る視界で、高杉は自分の髪の、ほどけて赤く、爛れたように黒いのをとらえた。こんな血でべとべとの人間を、よくまあ客として迎え入れたものだ。
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