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    now_or_lever

    @now_or_lever 思いつくまま短文を投げていきます。

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    POIPOI 25

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    ハデポセ習作です。フォロワーさんがコラボイベのレアpsちゃん(排出率0.0083)をガチャってらしたのでお祝いで書きました。本作中ではhds様がこのゲームのユーザーって設定です。

    電子の海のあなたより「来た…」
    小さく短いその一言に、ポセイドンは漸く兄が目当ての物を引き当てたと悟った。用意された椅子から立ち上がって近寄ると、弟の方を振り返り、安堵のため息を吐いた。

    「すまない、待たせたな」
    差し出された端末の画面を確認してやると、確かに髪をかき上げ三叉槍を構える自分の絵。
    「これの為に執務も溜め込んだ挙句、余の連絡も放置したのか、お兄様?」
    「すまないと先に断っただろう…」
    どうしても欲しかったんだ、しょうがない…と気まずげに目を逸らす兄。日頃の態度に比べると珍しいその表情に、ポセイドンの胸中では悪戯心がむくむくと湧いてきていた。わざと兄の目線の先に移動ししゃがんで、執務机に向かう兄に上目遣いで告げる。
    「どうせ欲しがるなら本物にしておけ」
    こんなに連絡が付かないなんて、何かあったに違いない。そう判断をし、自身の執務をも放り出して駆け付けると、ゲームなどと言う児戯に没頭しているとは。冥王ともあろう者が人間どものギャンブルなんかに、と最初は呆れたものの、画面を見詰める顔があまりにも真剣で、何も言えなくなってしまった。まあその内引き当てるだろう、と高を括った結果、借りて読了した書でちょっとした塔が出来ている始末ではあるが。
    「可愛い弟を待たせた罰だ…愛でろ」
    言葉の意味を理解した兄は、小さく笑って弟の頭に手を伸ばす。
    「また余の連絡を放置してみろ…当分は触らせんからな…」
    久しぶりに頭を撫でられ、ふわふわした心地よさに身を任せながらも、小言はしっかり伝えておく。本物を差し置いて電子世界の余に入れ込みおって。
    「拗ねさせてしまって悪かった」
    「拗ねてない…」
    欲しかったものを手に入れた気持ちの余裕からか、兄は先ほどより少し大きく笑った。
    「こんな罰なら喜んで受けよう…いつでも好きな時においで」
    「いつでもか?」
    「ああ」
    兄の首肯を視認した。言質は取ったぞ。
    「今が良い…続けろ」
    立ち上がり椅子に座る兄に覆い被さる。会えなかった時間を埋めるように強く抱くと、背に腕を回され抱きしめ返された。肩口に顔を埋めると、鼻腔内に兄の匂いが広がった。
    「素直に甘える愛弟が見られるとは…今日の余はついているようだな?」
    「ふん…いくら注ぎ込んだかは聞かないでおいてやる…」
    「……手厳しいな」
    日頃の兄の働きぶりは十分過ぎるほど知っている。0.0083%の奇跡を掴んだ今日くらい、羽目を外しても良いだろう。
    「お疲れ様…ハデス」
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    now_or_lever

    DONE「御不満ですか?」を題材としたゼウハデ…の筈だったものです。最近の本誌の次男(ネタバレ無し)が好きでつい書いてしまった。末っ子と次男のお話です。兄弟絡みの話はなんぼあっても良いですからね。
    御不満ですか?「こんなときまで兄貴面するんじゃねえよ」
    若気の至りの項目に例文で載るほどの暴挙。直情的な次兄は殴りかかってきた。すぐ上の兄は背筋が凍るほど冷ややかな目を向けてきた。そんな弟たちを静観していた当の長兄は、少しも心乱さずやれやれと肩をすくめていた。

    あれからどれほどの時が経っただろう。
    「やっぱワシ、お兄ちゃんの弟で良かったんだわ」
    「今更かよてめえ」
    椅子が四脚あるテーブルにて、老いた末の弟と機械の体になった次兄が向かい合っていた。向かい合っていた、とすると若干の語弊がある。次兄はテーブルに向かわず明後日の方向を見ていたし、末の弟は持っていたティーカップに視線を落としていた。最終闘争も終結し、もう誰も座ることのないその二脚の椅子に視線を移す。瞼を閉じると「困ったヤツだ」と言いながらも微笑む長兄と凪いだ海のように静かなすぐ上の兄が瞼の裏に浮かぶ。今まさに茶を入れて皆で飲んでいるかのごとく。実際成神してからそのような雰囲気で兄弟全員がただの食卓を囲むことなど数えるほどしか無かったというのに、こんなときに限って記憶は鮮明に戻ってくるのだ。末弟は己のデキた脳味噌を少しばかり疎ましく思った。
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    now_or_lever

    DONE駄菓子屋パロ時空のこじポセです。薄ら両片思い。オリジナル要素が強いので粗筋(https://poipiku.com/3772614/6683664.html)を先にお読みの上お楽しみください。
    それはテーブルの上の二つの麦茶がすっかりぬるくなってしまった頃。

    「坊ちゃんは紙風船で遊んだことはあるかい?」
    盆休みは流石に店を閉めているだろうな、そう思いつつもつい足を運んでしまったいつもの駄菓子屋で、彼にそう問われた。今は夏休みで帰省しているが、急ぎ実家で済ませたい用事が片付いたので散歩がてら立ち寄った。オーナーと将棋に興じつつ奥の座敷で店番をしていた彼と話して小一時間。口下手の自分が提供出来る話題に限界を感じ始め、名残惜しいがそろそろ腰を上げようとしていた矢先の質問だった。
    「存在は知っています…本で…」
    嘘ではない。子どもの頃確か図鑑か何かで見た筈だ。昔の玩具がフルカラーで掲載されたページに、平らに畳まれた状態と、空気で膨らませた姿とを両方目にした記憶がある。自分が実際触ったことのある玩具と言えば、外国のメーカーの、どちらかというと高価な部類に入る知育玩具だった。幼過ぎて脳に残っていないだけかも知れないが、思い返してみても確か弟のおもちゃ箱には紙製のボールは無かった。普通のゴム風船なら腐るほど見たが。
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