クルール・ドレイパーという少年は、「あっ、やっほー、元気してた?」
一瞬、それが自分に対して掛けられた声だと気づかなかった。一瞬遅れてでも反応が出来たのは、その声が聞き覚えのあるものだったからだ。
「……クルール君?」
確かめるように名前を呼べば、彼はくしゃりと笑う。それは、私の良く知る笑い方だった。
「なになに?オレのこと忘れちゃったわけ?寂しいなーもう」
「違うよ、あんまり久しぶりだったからびっくりしただけ」
「えー、本当?無理やり誤魔化しただけじゃない?」
首を傾けたクルール君に、疑うように下から覗き込まれる。それに反論するより早く、クルール君が「ま、どっちでもいいけど」なんて言ってからりと笑った。その冷たいんだかなんだか良く分からない温度感に、なんだか懐かしさを感じる。そうそう、彼と言えばこんな感じだった。
2167