ワンドロ没文俺のクラスの学級委員は変人と言われているがとても良い奴だ。頼りになるし、一緒にいるととても楽しい。それはこれからもずっと続くものかと思っていた。
「天馬、帰りにカラオケ行かないか?」
「帰りはちょっと…」
今はテスト期間中でお昼を食べたら帰ることになっている。帰ってもすることといえば勉強くらい。そして今日はテスト最終日となれば遊ばない訳には行かないということで俺は天馬を誘うことにした。天馬と遊ぶのは楽しいけど最近バイトを始めたみたいでなかなかそういった機会がなくて、これはチャンスだと思ったのだ。そう言って天馬を誘えばす、すまないと言って断られる。前は二つ返事でOKだったのに。そんなことをしていたらアイツが現れた。隣のクラスのあいつ。神代類。こいつと天馬は神高生の間では変人ワンツーフィニッシュと呼ばれている。それは別にいいんだけど、なんて言うか仲の良い友達をほかのやつに取られたようなそんなような気がして少し寂しい。天馬は誰に対しても優しい。その優しさは誰に対してもそうで、だから勘違いするやつもそれなりにいる訳で。現に俺もそのひとりなわけで。
「司くん、おまたせ。帰ろうか」
出た!変人ワンツーのツーこと神代類。これはもしやチャンスかもしれない。いいか。神代。一年から仲のいい俺でさえ天馬の特別にはなれないんだ。だからそう簡単にお前に天馬の特別はくれてやらない。絶対に。俺は天馬に悪いと言って謝ると神代に言ってやる。
「神代、悪いが天馬は今日は俺と先約があって、悪いけど日を改めてくれないか?」
そう俺が言った瞬間教室全体の温度が下がった気がした。今日は確か真夏日で30度を越すとか越さないとか。ちらりと神代の様子を見ればニコニコと。でもその笑顔はどこか冷ややかで。怖さのあまり天馬にしがみつくと神代が話しかけてきた。
「へえ、先約、ね。残念ながらその先約は無効だよ。司くんのこの先の予定は全部僕が貰ってるんだから」
全部?どういうことだと思っていたら天馬が代わりに答えてくれた。
「あー…悪いがそういう事だ。これから先の予定はこいつが全部…」
天馬が言うより早く神代が笑顔で言う。
「君の入る隙は僕らにはないってこと。あぁ、それと2度目はないから。じゃあね、君はここで退場だよ」