待人よ 出血量が多かったため絶対安静を命じられる。四番隊の名の下で就労制限さえ科せられてしまい隊長とは名ばかりの病人として過ごす。本来隊長でないとこなせない書類業務とていつの間にか三席たちが代理で進めていて週に一二度どうしてもと押印を求めにくる程度、彼らの判断に余るものも猶予ありとされれば先送りされているようで世間のことなど何もわからなくなる。自分の体調さえ分からないのだからこの世に知れることなどないとさえ感じる。目を閉じても身の内の濁った音ばかり、気が滅入るにも飽いた。しばらくしてからそれが、彼の顔を見ていない所為だと気づいた。恥を忍んで三席の片割れに訊けば総隊長直々のお叱りを受けて面倒な出張をこなしているとのこと。かの副隊長は隊長の仕事を決して奪わず全うさせる性質なので、うっかり噛み合った暁にはなるほど出歩く暇もなくなろう。
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