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    ナナシ

    @nanashi273

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    ナナシ

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    北斗くんお誕生日おめでとーーーー!!!

    Gift 今日はバレンタインデー。好きな人や日々世話になっている人に親愛や感謝を込めてチョコレートを贈る日になっている。
     そんな今日は、北斗の誕生日だった。仕事を終え、事務所に帰ってきた三人は、自分たちのプロデューサーからチョコレートを貰った。
    「え?プロデューサーさん、このお菓子くれるの?」
     翔太と冬馬はコンビニで買える小さな袋のチョコレート菓子を渡された。ちょうどお腹が空いていた翔太はすぐに封を開けて、中身を一気に口に入れる。あっという間に全部食べてしまった。
    「おい、翔太…味わって食えよ…あんた、コレ、バレンタインのチョコってことだろ?サンキュな」
    「え?!これそうなの…あ、チョコレート、今日はバレンタインかぁ。なるほどね。味わうこともなく食べちゃった」
     空になった外袋を見つめて、残念そうにする翔太がおかしくて、プロデューサーは笑ってしまった。
    「俺はこれ…ですか?二人のチョコよりも立派ですけど…」
     北斗には箱に入ったものを差し出す。きちんと包装された、上品そうなチョコレートだった。
    「えー!北斗君だけズルいー!僕にもそれちょうだい!」
     子供のように駄々をこねる翔太を宥める様に、北斗が口を開いた。
    「これ、俺が今日誕生日だからですよね。ありがとうございます。あなたの気持ち、しっかりと受け取りましたよ。食べるのが楽しみです」
     北斗はプロデューサーの意図をきちんと理解していたようで安心した。
    「そっかー。お誕生日だから僕たちのよりも大きいのなんだねー。ズルいなって思うけど、ガマンする」
    「…そうだ!これから俺の家で北斗の誕生日パーティーをするんだが、プロデューサーも一緒に来ないか?」
     三人はどうやら、このあと楽しい時間を過ごすらしい。誘いに乗りたいのは山々だが、プロデューサーには今日中に処理しなければいけない仕事がまだ残っていた。
    「そっか…残念だぜ。また時間があったら、メシ食わせてやるからな!じゃーな」
    「大変だろうけど、お仕事頑張ってね、プロデューサーさん!」
    「あなたにお祝いしていただけないのは寂しいですが、このいただいたチョコ、大切に食べさせていただきますね」
     プロデューサーに挨拶して、事務所を後にする三人。北斗の車で冬馬の家に向かった。
    「今年はどんな素敵なディナーを用意してくれているのか、すっごく楽しみだな」
    「まだ完成してなくてよ、テレビでも見て待っててくれ。翔太も、どうせツマミ食いするだろうから北斗と待ってろ」
    「むー!僕、お手伝いする気満々だったんですけどー!冬馬君がそういうなら、僕も北斗君と待ってまーす」
    「どうせ嘘だろ…とにかく、ちょっと待っててくれ」
     エプロンをしてキッチンに立つ冬馬。あらかた準備は済んでいるようで、冷蔵庫から色々取り出している。何か手伝おうかと思ったけど、本当に邪魔になりかねないし、主役である自分が手を出すことを許してくれないだろうと思い、北斗はリビングのソファに腰を下ろした。
     先程プロデューサーから貰ったチョコレートを見つめる。大人っぽいシックな包み紙と金色のリボンがコントラストを生み出していた。
    「ねえねえ、北斗君が貰ったチョコ、どんなやつなの?」
     北斗の手元を興味津々に覗き込む翔太。早く開けてと急く翔太の為に包装紙を開いて、中身を取り出した。
     箱のふたを開けると、そこには五粒程度のチョコレートが並んでいた。
    「キレー!一個ちょうだい?」
     翔太は口を開けてチョコレートを待つ。まるで親鳥に餌をねだる小鳥のようで、北斗は面白くて笑ってしまった。
    「いいよ」
     箱の中の一つを取って口に入れてやる。すぐに歯で噛み砕くと、口の中に甘さとじんわりほろ苦い感覚が生まれた。
    「んん、なんか不思議な味…甘いんだけど苦い…」
    「苦い…?……ああ、これはウイスキーボンボンなんだね。お酒が入ってるから苦いんだよ」
     箱の裏側に書いてある説明を読むと、お酒入りのチョコレートのようだった。
    「お酒?僕こどもだけど、お酒食べちゃって大丈夫かな?」
    「このくらいだったら平気だよ。お菓子として売ってるんだし」
    「ならいいや」
     あまり味が気に入らなかったのだろうか、翔太はそれ一粒以上ねだることはなかった。
     北斗も一粒口に入れ、味わう。甘くてほろ苦い味が口いっぱいに広がった。
    「お。それプロデューサーから貰ったチョコか」
     エプロンを外した冬馬がソファの方に来る。もう準備は終わったのだろうか。それならテーブルを拭いたり配膳したりすることくらいはできるから、手伝おうと北斗は思った。
    「もう準備OK?テーブル拭きくらいなら手伝えるよ」
    「まだだぜ。いまオーブンで焼いてる。これが終われば準備OKだぜ!」
    「そっか。ねえ、冬馬もチョコ食べる?」
    「あ?ああ…って、それプロデューサーに貰ったやつじゃねえか」
    「翔太も食べたし、みんなで食べたほうが美味しいしね?」
    「なら、遠慮なく」
    「じゃ、あーん、して?」
     翔太にやったのと同じく、冬馬の口にもチョコレートを入れてあげようと思い、北斗は一粒つまみ上げる。
    「ばっ、自分で食えるから!そーいうのいらねえよ!」
     恥ずかしくて顔を赤くしながら怒る冬馬。冬馬もこういう初心な部分はからかうと面白いから、つい意地悪したくなってしまうなと北斗は思った。
    「ほら、早くしないと…俺の体温でチョコが溶けちゃうから…」
    「くっ…あ、あーん…」
     ようやく開けてくれた冬馬の口にチョコレートを入れる。すぐにもぐもぐと噛み砕いて、酒の味に翔太よりも大袈裟なリアクションをした。
    「なんか…苦い…」
    「あれ?冬馬君、そんなに苦い~?お子様だなー」
    「はあ?苦いから嫌だとかじゃなくて、ビターチョコとかなんだろ、これ?」
    「ぶっぶー。これ、お酒が入ってるんだって。だからちょっと苦いんだよ」
     まるで自分のチョコレートのように翔太は冬馬に説明する。
    「酒…って、俺たち未成年なのに食べて大丈夫だったのか?」
     翔太と同じ心配をする冬馬。酒が入ってると知って、なんだか少し顔が熱くなってきたような気がした。
    「お菓子だからね、大丈夫だよ…このくらいじゃ酔ったりしないよ」
    「ふーん…ならいいけど」
     そろそろオーブンの中の料理が仕上がる頃なのだろうか。香ばしいいい香りがリビングまで漂ってきた。
    「お、そろそろか。翔太、テーブル拭いてくれ」
    「はーい」
    「俺も手伝うよ」
    「お前はテーブルで座って待っててくれよ。今日の主役なんだからな」
    「そうそう。北斗君は待ってて!僕がしっかりお手伝いするからさ」
    「じゃあお言葉に甘えて…」
     三人はソファから移動して、冬馬と翔太はキッチンへ向かった。北斗は冬馬の部屋へ向かおうとして、その前にチョコレートの箱に残った粒を一つ口に入れた。
    「うん…美味しい」
     チョコレートを贈ってくれたプロデューサーに感謝しながら、まだ一粒残ったチョコレートに蓋をして、冬馬の部屋に向かった。
     程なくして、いくつかの料理が乗ったトレーを持った冬馬とふきんとカトラリーを持つ翔太がやってきた。
    「よっしゃ!今年も美味いって言わせてやるからな、覚悟しておけよ!」
    「僕もすこーしはお手伝いしたから、感謝しながら味わってよね!」
     今日は誕生日。チョコレートもいいけれど、心の籠った贈り物がなにより嬉しいと、北斗は笑顔で応えた。
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