Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    kadekaru_kaname

    @kadekaru_kaname

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 20

    kadekaru_kaname

    ☆quiet follow

    お台箱から「半ロナと尾行」と頂けたので、ドラルクとヒヨシさんに半ロナを追いかけてもらいました。

    転ぶは七度かその夜はとても静かな夜だった。事前に半田君から「今日はロナルドを借りる」と連絡があったので、ああそういうことかと理解はした。だって私はIQ200のドラルク様なのだから。けれど退治人も吸対も吸血鬼を取り締まる身として職務の時間が夜帯だと思っていたのだが、事前に半田君から送られてきた膨大な資料の如き多大なテキストデータには19時にデート開始と書いてあった。そんな時間から遊んでいていいのだろうか。まあ、良くなくたって本人たちの自由意思だから仕方ないよね。そうジョンに語り掛けると元気な「ヌー!」が返ってきたのでよしよしとしてやることにした。それにしてもあのロナルドくんと半田君がデートだなんて、ある程度、勘付いていたが驚いたことは確かだ。ロナルドくんのお人好しさは間近で見ても分かることだったし、半田君の執念も理解しているつもりだった。けれど、なんというかお互いの感情が同一線上に無いのだと感じていたのだが、どうやらそうでもないらしい。私個人の見解としては捻じれの位置に存在する友愛だと思っていたのだが、いつからこんなデートだなんて大胆なことをするようになったのかしらね。私の方がロナルドくんと出会って日が浅いが、何故か世話を焼きたくなってしまうもどかしさが二人の間にはあった。ロナルドくんもロナルドくんだ、毎度のことセロリトラップの応酬で嫌気がさしたかと思えば、苦しませようという名目で非売品の自作グッズを作っていたりする。そのグッズ、普通に売ればかなり儲かるんじゃないのとは言わなかった。それは私の良心だ。
    「すまん、今は開いておるかの」
    控えめに事務所のドアが叩かれている音がしたので近付き、扉を開ける。ロナルドくんは居ないのだから依頼は基本的には断らないといけない。まあ、たまに面白そうだから私だけの力で解決してしまうこともあるけれど。
    「どのようなご用件で……って、貴方はロナルドくんのお兄さん?」
    「うむ、いかにも。ヒヨシだ」
    それはいつしかロナルドくんが熱弁していた理想のお兄さんだった。けれど、なんとなく私は彼の退治人引退の理由は吸血鬼美人局の影響なのではないかと邪推しているが、それをロナルドくんに言ったら「兄貴がそんな格好悪いことで退治人やめっかよ」と断言されてしまったが。
    「ドラルク、貴様に頼みがある」
    「私に……? ロナルドくんではなく?」
    「ああ、幼い頃は世話をしたり面倒をみたりしたが、今ではほぼ疎遠に近い。だから最近のロナルドのやつの様子を見たくてな」
    本人が居たら聞くところだが、生憎居ないようだからお前に頼めるか? そう聞かれて悩んだ、非常に悩んだ。IQ200ある私でも対応出来ない問題はあるのだ。だってヒヨシさんはロナルドくんの兄なわけで、それで半田君はお兄さんの部下で、半田君とロナルドくんは恋人同士なのだぞ。何処から説明したところで全員傷を負う。ロナルドくんは兄に半田君との交際がバレたことによるショックを、お兄さんは自分の弟と部下が付き合っていることによる衝撃を、半田君はロナルドくんとお兄さんが血縁関係であるという地雷を。全てを避けなければならない。ならば、私がするべきことは。
    「大体、今行ってる場所なら分かりますんで案内します~?」
    楽し方向へ向かおう! 生きている限り享楽的な方が得をする。私は破滅が見たいわけではないが、素直に半田君とロナルドくんのデートは気になったし、何よりお兄さんがそれを見てどう思うのか楽しみでもあった。時計を確認すると時刻は18時45分、計画書によると待ち合わせ場所は駅前との事だったので今から行けば合流するタイミングは見れそうだ。
    「良いのか?」
    「ええ、勿論。だってロナルドくんのお兄さんの頼みですから、ただ用事があるようでこちらから話しかけるのではなく見るだけ、となりますが。よろしいかな?」
    「元気な姿が見れれば良い、頼りにしている」
    「じゃあ尾行用の小道具をどうぞ」
    いつの日か半田君と、ロナルドウォー戦記の企画でロナルドくんとのデート権が当たった半田君のお母さまを追いかけたことを思い出す。夜目の利く我々にとってはこれの本来の用途を知った時、驚いたものだ。だから未だに仮装用としか思っていない節がある。
    「なんじゃこれ?」
    「見られると厄介でしょう? ほら、ロナルドくんがお知り合いと居た場合とか……」
    「その言い方、既にある程度検討が付いているような気がしにゃあでもないが、頼みに来たのはこちらだしな。郷に入っては郷に従えと言うし、お借りしよう」
    「どうぞどうぞ」
    お兄さんが変装グッズを身に着けている間に、流し見程度しかしていなかった半田君の資料をチェックする。睡眠とゲームを邪魔されなければいいからという理由で開始時刻と帰宅予定時刻しか確認していなかった。お兄さんが居るなら話は変わってくる。半田君は正直だから、割とロナルド君相手に性交渉を行う時もハッキリ「席を外してくれないか」と伝えてくるタイプだ。最初はゲームと引き換えだったが、回数を重ねるうちに慣れてきちゃって、今では時間だけ教えてくれれば良いよ、とお互いに納得した線引きをしている。だから、多分今回のプランも外での逢引きがあればちゃんと書いてあるだろう。急いで、簡単だが見たのだがホテルとかそういう場所へ向かう予定はないらしい。急に盛り上がられた場合は対処できないが祈るしかないだろう。
    「じゃ、じゃあ行きましょうか」
    そうやって私とジョンとお兄さんはロナルドくんと半田君が会うであろう駅前に向かう。夜の風はこの時期になると寒い、それだけで死にそうになるが目的を持った存在とは強いのだ。駅前は人でごった返していた。シンヨコのくせにこんなに人が居るなんて、と思うが新幹線の泊まる駅が混むのは通りかもしれない。
    「本当に此処にロナルドが居るのか?」
    「ええ、その筈……あ、」
    危ない、完全に見落としていた。資料を見返すと指定場所は駅前ではなく、駅前のカフェだ。なんでガッチリした男二人が揃って待ち合わせ場所に選ぶのがおしゃれなカフェなんだ、浮かれた大学生か! 普段ならば叫んでいるところだが隣には依頼人が居る。
    「とりあえず、寒いですし中で待ちませんかねぇ。ほら、此処なら駅前も見えますし……」
    よし、さりげない誘導完璧、流石私。お兄さんもそれに納得してくれたようで共にターゲット達が待つ場所へと足を踏み入れる。だが、運命は時に無情で儚く、私たちの席の隣が半田君とロナルドくんの場所だった。尾行とかそういう問題じゃなくて普通に殺されるヤツだ。半田君には「事前に指定しておいたはずだろう、資料に目を通さなかったのか!」と、ロナルドくんには「なんで兄貴連れてんだよ! 半田にバレたらどうすんだよ!」と。なるべくバレないように過ごすしかあるまい。幸いこの位置からは、私の視界にロナルド君の後頭部が見えるが、お兄さんからは何も見えないはずである。席と席の区切りもしっかりされており、良く分からない造花のようなもので更に覆い隠してくれている。
    「しにても、ロナルドは駅に何をしに行ったのだろうかの。変な用事じゃないと良いのだが」
    「確かにシンヨコには変な用事なんて山ほどありますし、難しいですよねぇ」
    「ヌー……」
    ジョンも色々な経験をして一皮剥けたマジロになったようだ。この後のプランは何処だったっけと、お兄さんが窓の外を見つめている間に資料を確認する。
    「夜景の見える場所へ向かうorセロリの街一周」
    分からん。夜景は確かに鉄板というかセオリーというか、以前、危険な吸血鬼の胸に騙されたフリをしていた時も本気でデートスポットとして夜景の見える場所をロナルドくんは行きたがっていたように見えた。その話を半田君が知っているか知らないかは別として大事なポイントは射止めているところをロナルドくんは好きなのだろうなと思う。それか、夜景を見たいのはロナルドくん側からの進言かもしれない。私の脳内であの五歳児ゴリラと、デートに夜景を見たい恋人たちが全くイコールにならないが、そういう一面もあるのだと勉強になる。問題はこっち、セロリの街ってまず何だろうか。半田君のアプローチの仕方の不器用さにはずっとやきもきしていたが、確かにロナルドくんは周囲にただでさえ濃い人間が集まってくるし、最近は友好的な吸血鬼と手を組むことも多い。自分の存在証明の一つとして「嫌いなものを押し付ける」というこちらも小学生レベルの恋愛をしているのだと思う。そう思うとロナルドくんのお兄さんの見解も聞きたくなったので、隠すことをやめてこっそり告げる。
    「……今、後ろの席に彼が居ます。静かにしましょう」
    「! なんと、そうじゃな。商談かもしれないだろうからにゃあ」
    私も頼んだアイスミルクをゆっくりと飲みながら後ろの会話に耳を研ぎ澄ませる。正直、客観的に見てサングラスをしている私とジョンとお兄さんも浮いていたが、それよりも顔面偏差値で殴ってくる半田君とロナルドくんの方が目立っていた。カモフラージュとしては有り難かったが、どうにも複雑な気持ちである。半田君はまだ分かる、ダンピールには美形が多いという話は聞いていたから。だが、ロナルドくんは言動や行動がアレなクセして黙っていると綺麗というのが大衆の意見だ。そうみると半田君とロナルドくんってお似合いなのではないだろうか。200年以上生きている私としては今更恋愛に差別の感情もない。むしろ昔は吸血鬼と人間の婚約の方が忌避されていたような気がする。だから、彼らが真剣に愛を育むのなら応援しようと思うのだ。
    「だーから、何度も言ってっけど、あの時は何も無かったんだって」
    ロナルドくんのデカい声が店内に響き、お兄さんの背が思わず真っ直ぐになる。私もつられて元々悪くない姿勢を更に伸ばした。
    「貴様ら退治人のいう事は信用ならんな、他の吸血鬼になんど醜態を晒されたか言ってみろッ! 貴様を暴くのは、俺が最初だと思っていたのに……」
    「別に全裸くらい醜態じゃねえっていうか、もっと、その、お前には色々見せてるじゃんか……」
    思わずピシリ、と固まりながらお兄さんの顔色を見る。つけていたヒゲは取れていて、目を僅かに彷徨わせ、震えていた。
    「あの~……大丈夫ですか?」
    隣には聞こえない程度に小さな声で問えば、苦しそうに一言、縋るような問いが投げかけられた。
    「相手は、半田か?」
    「え、ええ。そうなりますね」
    「ドラルク、お前は最初からこれを知っておったのか」
    「連絡があったので……」
    そうやって貰った資料を渡すとわなわなと背だけで泣き、それでも全てを受け入れる様な、そんな達観した大人を演じていた。その間も背後の会話は進む。
    「で、この後どうすんだっけ」
    「俺は二つのプランを決めてやったぞォ……好きな方を選べロナルド!」
    「選べって…‥だから何と何だよ」
    「大きい玉手箱と小さい玉手箱だ」
    「分かんねえよ!」
    大声で繰り広げられる会話に、飲み終わったアイスミルクの氷が揺れる。ジョンのココアもお兄さんの珈琲も底をついていた。これはきっと私の勘ではあるが、セロリはいつでも仕掛けられるのだから敢えて私に連絡を取った日である今日は、ロナルドくんがどちらを選んだとしても夜景の見える場所に連れていくのだろうな、という気がした。
    「お兄さん」
    「なんじゃ……」
    微かな絶望を覗わせるその表情を明るくできたら、とフォローの言葉を探す。いや、でもなんで私が半田君とロナルドくんをフォローする必要があるんだろうか。
    「私も半田君とロナルドくんが付き合っていると知ったのは最近ですが、学生時代の一方的な嫌がらせよりも、近い距離になって打ち解けた上での戯れですよ。性別に関しては、その、気にしないで下さいというのはおかしいですが、まあそういう人もいると思ってくださいな」
    「……あいつは胸が好きだとずっと言っておってな」
    「今でも言ってますねぇ」
    「だから、そんな弟が手の届かない場所に言ったような気がして、寂しかったのかもしれん。だが、ドラルク。おぬしに頼んで良かった、完全に気にならないわけではないが、理解はしてやろうと思う」
    資料を返却されて、お兄さんはそのまま伝票を持って立ち去ってしまう。奢られてしまった、いつかこの恩は返さねばならないだろう。半田君とロナルドくんが夜景を見に行く前に私もジョンとこの喫茶店を出なければ。そう思った時に轟音が響く。
    「見ろォ! これが最新型セロリレーシングカーだ!」
    「あ゙ぎゃッ、ゥアアア!」
    こっそりと隣を通ろうとしたところを奇襲と奇声に押しつぶされて、砂になる。2秒間程、時が止まった。おそらく、何故私が此処に居るのか、ということだろう。先ほど思い描いていた最悪までもう、残りわずかしかなかった。お兄さん、助けて。胸の中で祈るがカランコロンという喫茶のベルが鳴り、彼が退店していったことだけを告げていた。夜はまだ長いのだから、楽しんでおいでと、果たして私は伝えられるのだろうか。扉が開いた時に入り込んだ一陣の風だけが、それを知っていた。



    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖👍👍💖🇪🙏🙏👏👏💖💖💖💖🙏🙏🙏🙏👍💞💞💞💞💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    kadekaru_kaname

    DONE性癖のうちの一つです……、書くか迷っていると言ったら、書きなよ!と言ってもらえたので断片ですが……!半ロナです。
    貞盲ぷちん、ぷちん、と音もたたずに。ただ、微睡みの中でわずかな痛みが痴丘から取り除かれていく。脛とか、腕とか、たまに脇とか。そういうところから千切るように、陰茎を刺激しない程度にあまり自分で直視することのない白銀を抜く。ただ、別に悪いことをしてるつもりも、恥ずかしさもない。ぼんやりと眠気と、エッセンス程度のちくりとした感覚がなんだかほんわかと気持ちがいいのだ。誰にも言えねえよなあ、と今では思う。服を着てる方が珍しいと言われる退治人の仕事でも、流石に帰宅する前には局部程度は隠すので、まだ、きっと、おそらく、なんとなくだが、他人にはバレていないと思うのだ。朝になって、目が覚めて、覚醒した意識の後に待つ、生来の気質にうんざりするのは分かっているのだが、夢精をコントロール出来ないように、欠伸や鼾に原因があるように、俺にとっては不可逆の行為だった。陰毛抜毛症、それが多分一番俺の症状に近い名前なのだと思う。勝手に抜けるのではなく、何故か抜いてしまう。人によってはそれが頭皮であったり、それこそ指の毛とか腕の毛とかにもなるのだろう。ショットが聞いたら、何らかの冒涜だと嘆き悲しむだろう。人によってこの症状は様々だ。そこに毛があるのが気に入らないとか、落ち着かないから適当に抜いてしまうとか、人の数だけ抜毛症はある。俺の場合は、気持ちいいから以外の何物でもないのだが。何度もやめようと思って、それでも無自覚に繰り返すうちに、俺の痴丘は焼け野原のように疎らな銀しか残らなかった。だが問題ないと思っていたのだ、半田と付き合う前までは!
    1750