ひわ@turoporfali☆quiet followDONE男と小柄な女のぬるめ性的描写と、豊穣さんに関する捏造設定があります。全話視聴してないと最後が意味不明です。心の広いかたの閲覧を希望します。 Age verification Tap to full screen .Repost is prohibited Let's send reactions! freqpopularsnackothersPayment processing Replies from the creator Follow creator you care about!☆quiet follow ひわ@turoporfaliDONEお題:仮装。どうしても仮装したくないうるうさん。かりそめ 「これは陸岡のクラスの分」 言いながら、うるうは教室使用許可の書類を渡す。生徒会室の中だが、どこかで合唱の練習の声が聞こえる。 「ありがとう、ずいぶん早かったけど無理してない?」 樹果が不安げな表情になる。気を使ってほしいところはそこではないが。惚れた腫れたでやたらと騒ぎ立てる癖を、もう少しなんとかしてもらいたいものだ。 「そうでもないな。偶然、先生と打ち合わせあったから、運がよかったのかもな」 「そっか、ところでうるうのクラス、文化祭、何やるの?」 来た。そしらぬ顔で話題を受け流す準備はできている。 「流しそうめん屋らしいが、僕は生徒会が忙しいからほとんど手伝えないな」 陸岡への説明は、半分本当で半分は嘘だ。お化け屋敷の中で流しそうめんを出すらしい。流しそうめんはともかく「お化け屋敷」が不穏だ。 896 ひわ@turoporfaliDONEお題:睡蓮。うるうさんと樹果さんが出ますが、とくにカップリングではありませんねむる蓮 僕と似たあの子のことを、時々思い出す。 放課後に絵筆を握っているときや、下校中にあの子と同じ学校のセーラー服を見かけたときに。恋慕からではない。報われない相手に愛情を向け、描き手としての絵の話をできるのはあの子とだけだった、ただそれだけだ。深追いなどという醜い真似をする気もないが、何かを失ってしまったような感覚がつきまとう。 今日も陽のひかりが強い。描きかけの池と草花の絵を描くのは丁度いい。 イーゼルを立てると、花壇に水をやっている樹果を見つけた。 「うるう!」 こちらを見つけた樹果がジョウロを取り落としそうになり、水玉が日光に反射してきらめいた。水を頭から被らずにすんだのは僕の力だと、樹果は気づいていないだろう。 1021 ひわ@turoporfaliDONE日本の夏、フェアリーズの夏。麦茶とナントカの、麦茶もナントカも抜いたものです。避暑「暑…蘭丸、もっとバックンに風送るように言ってよ」 樹果はソファに寝転がったままで蘭丸に言った。 BAR Fの2階のエアコンの効きは悪い。卉樹族の樹果は気候の影響を受けやすいのか、このところの暑さが体に堪えているようだ。 「だってさ、バックン」 マシュマロを放ってやりながら、涼しげな顔で蘭丸が話しかけた。バックンは背中の小さな羽をぱたぱたさせ、宙に舞っている。 「いっそのこと、俺らが夭聖体になって羽であおぎ合えば……よけい暑苦しいかな?」 「陸岡、十訓」 この暑いのに長袖の服で、涼しげな顔で本を読んでいるうるうは、目を本に向けたままだ。 「『絶対に正体を明かしてはならない』うるうに注意されなくても、わかってるよ」 933 ひわ@turoporfaliDONEとくになにもないたからさんのはなし。面倒 おれはオオサカに行ったことがない。花園さんが、オオサカに行ったことがないように。どうして、エセ・オオサカベンをしゃべるんですか。そう訊いたら「面倒が減るからや」と花園さんは答えた。花園さんの大きな背中で流しが見にくくて、暖かい、カレーの匂いが部屋中に篭って、だから眠いのに寝るのを我慢しようと、くすぐったくなるような気持ちだった。 花園さんが、布団で横になっているおれのほうを向いた。手にはカレーの箱を持っている。 「コレと一緒や。作り方は裏に書いてあるさかい、付け焼き刃でもゴマかしはきくんや。エセ・オオサカベンなら、イナカがどことか、わざわざ訊いてくる奴おらんやろ?」 イナカは、生まれたところ、または、育ったところの意味らしい。人間界に来たおれのイナカを知られると、いろいろ面倒らしい。ここはあくまで潜伏先。身元を知られてはならない。 921 ひわ@turoporfaliDONEお題:はなまつりはなまつり まさか、初日から蘭丸が愛著を取ってくるなんて思わなかった。 世の中には順番があって、ただ早いか遅いかの差しかない。それくらいのことは、俺だってわかってる。だから焦らなくても大丈夫だって、自分に言い聞かせる。 自分の育ったところから離れて、ついさっきまで顔も知らないひとたちと寝たり起きたりすることにも、思ったより早くなじんだ。いろんなことがいっぺんに起きすぎて、緊張してる暇がなかった。焔と話すときは、あいつすぐ怒るから、ちょっと怖いけど。 学校から帰るときに、ときどき、開店祝いの花のスタンドを見かける。てっきり誰かがいなくなったのかと思ってたけど、どうやらそうではないらしい。 「あれはお祝いや。花屋も稼ぎどきやからな」 497 ひわ@turoporfaliDONEお題:耳飾り。ききみみ 「前からききたかったんだけどさ」 いつものBar Fで朝食のカレーを口に運びながら、樹果が話し出した。 「焔の耳飾りって、何かいわれのあるものなの?」 焔はきまり悪げに赤面していたが、水を一口飲んでから話し始めた。 「何もねーよ。まあ、ケンカが得意そうなニンゲンの格好らしいからな」 傷ついた焔の治療に携わっていたのを誰かから聞いたのか、大怪我をした後の焔は、樹果に対して、以前よりは無碍な対応をしなくなった。そういう所、乱暴そうだけど義理堅いのかもしれないな、と樹果は思った。 「初めて会ったころ、耳が俺とお揃いかなって、ちょっと思ったからさ、聞きたかっただけ」 「いや、似てねぇだろ」 焔が誰にともなく呟いた。 857 recommended works ひわ@turoporfaliDONE #F蘭ワンドロ F蘭ワンドロ用 お題:ゲーム。F蘭ワンドロ用 お題:ゲーム。「やばっ、蘭丸これ見てよ!」 蘭丸は樹果に差し出されたタブレットを覗き込む。 「『妖精の焔』ゲーム化・オリジナルキャラ紹介第一弾! 果樹園に住む若き漢方医・樹下!」 「ゲームのオリジナルキャラクターって、典型的な地雷じゃないのか」 読みかけていた本に栞を挟んだうるうがいった。 「美麗の鞭使い・うるるだって!」樹果の声に赤面し、絶句し、二の句が告げなくなったようだ。しばらくして十訓、十訓とブツブツ呟き続けた。そこに焔が黙って水を持ってくる。下手に口をきいたら大事になりそうで、対応としてはそこそこ正しい。 「拳ひとつで国を取れ! 肉じゃがしか作れない居酒屋主人・金宝って……」 皿を洗っていた寶は、まんざらでもなさそうだ。 728 ひわ@turoporfaliDONE #F蘭ワンドロ お題:コーヒー。泥濘の味 ここはエ・フランデミューズ学園の学生食堂。一本の缶コーヒーを、男子高校生を装った四人の夭聖たちが凝視している。 「ウツボのヌルヌル成分配合のコーヒー……ウツボ成分1%配合…」 蘭丸は心ここにあらずといった風に成分表を読み上げている。 「うちの学食、ここかどうかしてんじゃねえか?」 と焔。授業のサボり、かつせっかちな焔はもう昼食を済ませてしまったらしい。 「飲み物というのは飲めればよいというものでもないと思うが、これは冒険心に富みすぎるとでもいうべきか……」 冷やしたぬきを啜る合間にうるうが感想を述べる。 「うるうさあ、生徒会長の権力を使ってニンジンジュースとか青汁とか入れてよ」 樹果が自分のぶんのカレーうどんを席まで運んで来ながら言った。 743 ひわ@turoporfaliDONE #F蘭ワンドロ お題:カレー/curry。学生さんと学食。カレーうどん パート先が無事に見つかって三ヶ月が過ぎた。仕事はいわゆる「学食のおばちゃん」。自分の子と同じような年齢の子たちの相手を毎日している。 十二時前にいつもやってくる赤い髪の子は、いつもラーメンを頼む。ちょっとせっかちで怖いけど、オーダーを間違えたとき、キレなかったくらいには優しいのかもしれない。後から来る子たちの席取りをしているのかもしれないし。 十二時過ぎるとやってくる長髪の子は、生徒会長とのことだ。長髪でも生徒会長になれるとは、自由な校風に万歳といったところか。私が時代錯誤なのか。いつも冷やしたぬきを頼んで、すぐ席を立つのは、生徒会長の役職の忙しさからだろうか。 それより少し遅れてやってくる、ふわふわ頭にヘッドホンの子と地味なメガネの子。いつも仲良しそうに二人で連れ立ってやってくる。 852 ひわ@turoporfaliDONE #F蘭ワンドロ お題:時計/watch。ほむらさん一人語り。胸の振子「人間とおれたちでは、持っている時計が違いすぎる」 なぜ人間と深く関わってはいけないのか、とうさんに聞いたとき、そう言われた。とうさんは、おれの髪を編んでいた。そのとき、おれは掌の上の火トカゲに炎の吐き方を教わっていたから、とうさんがどんな顔をしていたのかはわからない。戦でうちにいないのは寂しかったけれど、帰ってきたときにはいっぱい相手をしてくれた。他愛無い話も聞いてくれたし、祭にも連れていってくれた。子供でなくなった今にして思えば、おれはウザいガキだったのかもしれない。とうさんがいなくなってからは、もっとウザくなった。残されたとうさんの部下たちが優しく差し伸べてくれた手を跳ね除けて、ただ一人で泣いていた。大人たちの気遣いは、イヤな噂がおれの耳に届く速度を、少しだけ遅くしてくれた。奴等が懲りずにしつこく構ってくれたせいで、とうさんのいない生活に少しずつ慣れていった。 584 ひわ@turoporfaliDONE #F蘭ワンドロ お題:ツインテール/pigtail。ウィントラ時代の女王さま。ひとつとふたつ かわいいままだとナメられる。人間界に来て真っ先に気づいたことはそれだった。近衛のふたりにとって、かわいいことや美しいことは仕事だし、何よりわたしが望んだことだ。だから、わたしはかわいくなくていい。強く、人間どもの折衝に負けない程度に相手を威圧できればいい。装うことは武装で、強くなっていく自分のことも好きになれた。前髪は庇のようにどんどん大きく目立ち、まわりが見えなくなっていったのも、そのせいかもしれない。 服装や髪型は変えられても、髪色までは変えられなかった。 ツボドームでのライブの初日、タクシーを降りると駅前では大勢の女の子たちの姿が見えた。シリウスとベテルギウスを模して、女の子にしたようなかわいい服装。ご丁寧にも背中に白い羽まで背負っている。近衛のふたりはひとつ結びだが、この子たちは二つ結びだ。 440 ひわ@turoporfaliDONE #F蘭ワンドロ お題:マシュマロ/marshmallow。カップリング要素のないうるうさんと樹果さん。ほむーるが入ってるかもしれません。仕返し「串刺しにして火で炙るとかいってたから、どんな怖いやつかと思ったよ」 余ったマシュマロを頬張りながら樹果が言った。 「ラッピングの手伝いに来てくれて助かったよ」 生徒会室の机上に、おそらく返礼用の大量のラッピングされたマシュマロが整然と並んでいる。 「ところでさー、なんで蘭丸呼ばなかったの? ああいう細かい仕事好きそうじゃん、あいつ」 「奴は、マシュマロをバックンに横流ししそうで怖い」 自分のぶんの紅茶を席に持ってきながら、うるうは答えた。 「焔は?」 「そのことについて、相談したい」 「えっ、なになにー? なんでも聞くよ!」 樹果は好奇心に瞳を輝かせている。 「僕は傷ついた。だから復讐したい」 樹果の肩が強張って、笑顔がそのまま凍った。 701 ひわ@turoporfaliDONE #F蘭ワンドロ お題:薔薇/rose。たったひとよの薔薇のため 子供の頃、絵のコンクールに一回だけ入賞したことがある。そういうと、樹果は意外そうに目を見開いた。 「もっといっぱい賞とか取ってるのかと思ってたよ」 美術の授業は写生なので、皆それぞれ思い思いの場所でイーゼルを立てて、課題に取り組もうとしている。 「それからはコンクールに絵を出していないからね」 「じゃ入賞したときしか、絵を出してないんだ」 「そういうことになるな」 樹果は、僕の絵と顔を交互に見てから、 「百発百中じゃん、やっぱりうるうくんはすごいね!」 そう言って笑ってみせた。 あのコンクールの絵は、どこに行ってしまったのだろう。誰かに片づけられ捨てられてしまったのか。 罰なのだと思った。現実にありもしないことを描いて、絵で嘘をついて、一等賞を貰ったことに対しての。 590 ひわ@turoporfaliDONE #F蘭ワンドロ お題:紫陽花/hydrangea。紫陽花の花の片隅で クラスがないぶん、大学って友達が作りにくい。英子がそのことにようやく気づいたのは、ゴールデンウイーク明けのことだった。高校の頃からつきあっていた彼は別の大学に進学してしまい、連絡も間遠になりつつある。 このままフェイドアウトしてしまっても不思議じゃない。高校のクラスの大半を、敵にまわしてでも欲しいと思った相手だったのに。 そんなことを考えながら、紫陽花の花の脇にあるベンチに腰掛けた。授業を受ける教室の確認をしておきたかった。 「ま〜だ『あなたの心お助けします』ってコピー使うの? ダサくない?」 「うーん…じゃあ、樹果だったらどんなの考える?」 サークル勧誘の男子の声が耳障りだな、と思いながら顔をあげると、そこには以前クラスが同じだった阿以くんの姿があった。三人も友達連れだったのを意外に思った。転校生だった阿以くんも、わたしと同じぼっちの時期があったと思い込んでいたから。 579 ひわ@turoporfaliDONE #F蘭ワンドロ お題:七夕/Tanabata:star festival。みんなの知らない世界「人間界の習慣、やるの好きだねー」 樹果が近所の花屋から笹をかついで帰ってきた。 「これでいいのか?」 うるうが、鞄から色紙を差し出した。 「せや。うるうくん、ハサミで綺麗に縦に三分の一に切ってくれへん?」 「構わないが、これに願い事を書いて吊るすと、なぜ願いが叶うのかはわかりかねるな」 不平をいいながらも、うるうは鞄から鋏を取り出した。 「まあまあ、せっかく人間界に来たんだから、人間界のいろんなお祭りをやってくのも楽しいと思うなー」 「祭祀の重要性は把握しているつもりだが、どうも人間界の祭祀は金儲け主義のような気が」 「せやないと、ワイが乗り気なわけがあらしまへんがな」 うるうと樹果は同時に顔を見合わせて、ため息をついた。 878