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    Mogmogsmaka

    真Vフィン主文字置き場跡地

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    Mogmogsmaka

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    ルーン魔術によって動くおフィンのぬいぐるみと主ちゃん。思いついた部分のメモ。

    魔法のぬいぐるみ「可愛いだろう?」
    と胸を張るスカアハに渡されたのは見たことのある姿を模した一体のぬいぐるみだった。
    少年はおよそ15センチほどの小さなぬいぐるみをまじまじと見つめる。三つ編みにされた金の髪に、鹿の角をつけた兜。サフランで染められたマントを纏い、特徴的なタトゥが施されている。
    「…フィン?」
    伴侶であり従者でもあるフィン・マックールに瓜二つだった。
    「そうだ。私がルーンを込めて作ったものだ。主の守り神になるようにな」
    得意気に言う彼女に呆気にとられながらも視線はぬいぐるみにあった。魔術師としての腕前も確かな彼女がルーン魔術を施したぬいぐるみ…というだけでただのものではない怪しさは満天だが、如何せんフィンを模したこのぬいぐるみ…
    「か、かわいい…」
    光沢のある刺繍糸で縫われた翡翠の瞳もつぶらで愛らしい。売り物にすればそれはもう売れるだろう出来栄えだった。
    「貰っていいのか?」
    「勿論だとも、主のために作ったのだからな」
    名目はあくまでも主である少年を守るため…であるらしい。他にもあるぞ、と取り出した中にはスカディ、クイーンメイブ、セタンタにクー・フーリンなどケルト神話の悪魔達のものがある。しかし少年はこれがいい、と愛しい彼の姿をしたぬいぐるみを大切に抱き締めたのだった。



    東京へ戻った少年はベッドの中で可愛らしい笑顔を浮かべたフィンのぬいぐるみを頬を綻ばせて眺めていた。
    「いつもフィンと一緒みたいで嬉しいな。推しぬいとか持ってる女の子はこんな気持なのかな」
    現在のストックには彼は居ない。従者として共にあってくれるのは嬉しいが、せめて学校へ通う間は自由にさせてあげようと妖精の集落へ預けているのだ(フィンは渋っていたけれど)。だからこそ彼を模したものが手元にあるのは嬉しい。
    指先で小さな頭を撫で、そっと口付けを落とす。
    「おやすみ、フィン」



    朝の涼やかな日差しが眩しい。
    『あれ、カーテン閉め忘れてたっけ…』
    明るさに目を覚ました少年はまだ重い瞼を擦りながら上半身を起こした。昨夜確かに遮光カーテンをしっかりと閉めたはずだけど、と思いながらも折角なのでそのまま起きることにする。中途半端に開いているカーテンをしっかりと開けようと手を伸ばす…と
    「…ん?」
    ベッドの中で一緒に眠っていたはずのフィンのぬいぐるみが窓辺にあった。寝相悪くて飛ばしてしまったのかな…とこれまた不思議に思いながら手を伸ばすと、掌に乗るほどの小さなぬいぐるみがぴくりと動いた。
    丸っこい小さな脚でちょこんと立ち上がり、本物のフィンと同じ朱色のマントを翻して少年を振り返った。光沢のある刺繍糸の瞳で見上げながら、これまた丸っこく短い手をふりふり。
    「おまえさん、おはよう」
    本物のフィンよりも少しだけ高く舌っ足らずな声で話しかけてきた。
    「…うわああああああ!!!!!!!」
    ぬいぐるみが動いて話した。そのあまりの衝撃に初めて悪魔と対峙した時よりも凄まじい絶叫を挙げて跳ね跳びベッドから転げ落ちてしまう。
    愛しい彼のぬいぐるみを貰えたことが嬉しすぎて変な夢でも見ているのか、とも考えたが今し方フローリングに打ち付けた後頭部が痛む。古典的な確かめ方だがつまりは現実だ。
    「らいじょうぶか?」
    そんな混乱する少年を尻目に、ぬいぐるみはとことこ歩いてくるとベッドの上から少年を見下ろしていた。乗っかったままの脚を降ろすと体を起こしてフローリングに座る。目の前には、やはりこちらを心配そうに見つめるぬいぐるみがいた。
    「ふ、フィン?」
    「なんら?」
    デフォルメされているため体に対して大きな頭を傾げる姿も舌っ足らずな口調も可愛らしい。
    「えっと…ぬいぐるみだよね?どうして動けるの?」
    恐らくはスカアハが施したというルーン魔術によるものだろう。それに動き出したことにより微かだが魔力とフィンのマガツヒを感じることができた。
    「おまえさんをまもるためにつくられたからな!すかあはからちからをもらっているんら」
    見た目にはわからないため、恐らく見えないところにルーンが刻まれているのだろう。
    「おれはおまえさんのじゅうしゃらからな!そばにいて王をまもるのはとうぜんのことら」
    えっへんと勇ましく胸を張る姿も可愛い。動き喋る姿に驚いたが、そんな可愛い姿に絆されて
    『木彫りの山羊みたいな呪具になるのかもしれないけどこれはこれでいいか、可愛いし』
    と好意的に思い始めていた。掌を差し伸べれば戸惑うことなく飛び乗ってくるところも小動物のようで愛らしい。
    「じゃあお前のことはふぃん、て呼ぶな。これから宜しく」
    「こちらこそよろしくたのむ!」
    そうして少年は愛しい彼の姿をした、動いて喋るぬいぐるみとの同棲生活を始めたのだった。
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