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    Mogmogsmaka

    ハマったものを軽率に書いていきたいです。現在は真Vのフィン主メイン。

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    Mogmogsmaka

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    フィンの手が大好きな主ちゃんのフィン主。
    短いです。

    #フィン主
    finMaster

    手が好きフィンの手が好きだ。
    両手剣を握る、大きくて厚くて肉刺もある節の張った男らしい手。自分だって男だが、彼のはまた随分と違うのだ。流石は一団を纏め上げる騎士、と云った所だろうか。
    対して自分の手は、「まるで白魚のようだ」と褒められたことのある手。勿論褒められたのは分かっているが嫌味かと感じた。それは女性が喜ぶ台詞だろう。俺は男だ、嬉しくない。
    だからこそ余計に彼の手が好きなのだと思う。ただ触れたくても羞恥心が邪魔して自然に触れられないのが辛い。
    「…」
    今だってそうだ。頬を撫で顎を捕らえ口付けられる正にこの瞬間。彼の手は俺の顔に触れているというのに、俺はその手に自分の手を添えることも出来ない。
    「…どうかしたか?」
    触れるだけの口付けを数回交わした後、フィンが訝しげに問いかけてきた。確実に自分の不甲斐無さへの不満が顔に出ていたのだろう、お前のせいじゃないのにそんな悲しい子犬のような顔をしないでくれないか…撫でたくなる。
    「何でもないし、お前のせいでもないよ…俺の問題だから、大丈夫」
    その気休めも彼には通じないことは分かっている。本当に深刻なことじゃないんだ。お前の手に触れたい、ただそれだけ。俺が一つ勇気を出して素直に触らせてくれと言えばいいだけの話。

    「はぁ…」
    しかし「手を繋ごう」というのも「見せてほしい」というのも人との付き合いに不慣れな俺には勇気がいる。彼の事であるから俺の申し出に嫌な顔はしないのだろうけど。
    自然に、じっくりと彼の手に触れる方法は無いだろうか…机に突っ伏して考えていると、ふと視界に銀色のチューブが映る。ああ、確かバレンタインデーにクラスの女の子から貰ったものだ。貴方の手が好きだからって、大切にしてねと…桜の香りのハンドクリームと言っていたかな…
    「…ハンドクリーム!」
    そうだ、これだ!

    ダアトで待つ仲魔達の元へ戻る。各々自由に過ごしていた仲魔達が疎らに集まるのを見ながら、俺はフィンの元へと向かう。
    「手、貸して」
    そう言ってフィンの左手を取る。節張り肉刺が出来た大きな掌に、東京から持ち込んだハンドクリームを付け、丁寧に伸ばしながらマッサージをする。そうして彼の手をじっくりと触り、観察することができた。ありがとうハンドクリーム。
    見て、触れて、そうすると時折手を繋ぐだけでは分からない事が分かる。
    皮膚が思ったよりも硬くて、所々にひび割れている事。爪も男らしく平たく硬い事。肉刺が掌以外にもある事。指が長い事。手の甲は筋の他にうっすらと血管が浮き出ている事。
    …全部好きだなぁ。
    フィンの手であるから、やっぱり特別なのだ。
    「…お嫌いですか?」
    念入りにハンドクリームを塗り込むように手を堪能していた俺に、今まで黙って眺めていたフィンが戸惑いがちに声をかけてきた。今は仲魔が居るため、彼は従者として敬語を使っている。はっとして顔を上げれば、その精悍な顔はまたしても悲しげな子犬のようなものになっていた。
    嫌いだなんてとんでもない。寧ろ好きだ、好きすぎてずっと触りたかったんだ。
    慌てて頭を振り否定する。そんな顔をさせたいわけではない。
    「いや、違うくて…えっと」
    誤解させたくない…何故俺がこんなことをしているのか、ほんの少しの勇気を振り絞って事実を伝えるしかないだろう。口籠る俺を彼が見つめている。うう…そんなに悲しそうな視線を送ってこないでくれないか。羞恥に顔が熱くなっていくし、額に変な汗を掻いてしまうじゃないか。…ええい、腹を決めろ俺!!
    「寧ろ好きだから触りたかったって言ったら…笑うか?」
    笑いたければ笑えばいいと、勇気とは程遠いヤケクソじみた言い方になってしまった。やってしまったかもしれない…どうして俺はいつも物言いに繊細さが無いのだろうか。人付き合いが苦手なせいか。
    恐る恐る彼を見てみれば、切れ長の瞳を瞬かせて頬を赤く染めているのが見えた。
    「…お前さん、本当に可愛いな」
    えっ?今の流れでどうすればそういう解釈になるんだ?しかしフィンはそう呆ける俺の手を両手で包み込んで、労るように優しく撫でてくる。…温かい。硬い皮膚だけどとても優しい。肉刺が関節に触れるのが擽ったい。掌、重ねたらこんなにも違うんだな。
    「態々そんなもの用意しなくとも、言ってくれればいつでも触らせてやるのに」
    掴んだ俺の手をすいと掬い上げて手の甲に紳士的な口付けを落とす。
    そうだ、お前はいつもそうだ。俺の気持ちには従順に、柔軟に応えてくれるんだ。ならばその優しい愛しい伴侶に…ちょっとだけ強請っても、良いのだろうか。
    「じゃあ…もっと触ってもいいか?」
    「仰せのままに」
    フィンは笑って、手を俺に差し出した。


    おしまい
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