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    Mogmogsmaka

    ハマったものを軽率に書いていきたいです。現在は真Vのフィン主メイン。

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    Mogmogsmaka

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    かのとさんよりリクエスト頂きました、「東京探索をして寮の部屋でいちゃつくフィン主」です!
    かのとさん、リクエスト有難う御座いました!

    #フィン主
    finMaster

    君の住まう街錆びた鉄の匂い。朽ちたコンクリートが転げ落ち、アスファルトは割れ、緑が少なく剥き出しの地面はさらりとした砂が覆う。
    「お前さんが住まうトウキョウ、というのを見てみたいな」
    と、不意にフィンが言った。彼は東京がダァトと化した状態しか知らないのでこの朽ち果てた土地が以前どうであったのか興味が湧いたのだろう。
    電車の上で回収したミマンを抱えて少年は答える。
    「いいよ。とは言え、フィンのその格好は目立つだろうなあ」
    「そう、なのか?」
    「そうだよ。前に俺の制服姿を見たことあるだろ?向こうは皆そういう格好だから」
    天津神ツクヨミである越水長官のように東京にあった服装を取らなければ「何かのコスプレか?」と思われかねない。フィンも力を持つ悪魔であるから一般人からも視認されてしまうだろう。事情を知る友人、もしくは長官から服を借りるのが無難で良い案だ。
    「…うん、よし、じゃあフィン。この子を帰したら東京案内してあげるよ」
    そうして龍脈から骸の館へ飛びミマンをギュスターヴの元へ届けると、次いで東京へと戻った。
    医科学研究所のターミナルに飛ぶと合一化を解き、さてどう長官とコンタクトを取ろうかと思案していた所、丁度長官に呼ばれたらしいユヅルと出会わした。フィンと街中を歩きたい、と相談すると彼はフィンの姿を見、少年と同じ反応を見せる。
    「事情は理解したよ…長官に伝えてみるから、少し待っててくれ」
    「有り難う、任せるよ」
    ツクヨミの半身であるユヅルの願いであれば長官も聞いてくれるだろう。とはいえ、彼は人格者であるので少年自らが事情を伝えても快く協力はしてくれるのだろうが。暫く待っていると奥の部屋から戻ってきたユヅルが紙袋を手に話しかけてきた。
    「彼の背丈なら自分の物でも合うだろう、と見繕ってくれたよ」
    受け取った紙袋の中にはシックな色合いの衣類と、ご丁寧に袋に包まれた革靴が入っていた。受け取った後に再度ユヅルに礼を告げて別れると、フィンにストックへと入って貰い寮に帰る。
    「はい、これに着替えて」
    「分かった」
    自室に戻り、再度召喚を行うとそう告げる。とはいえ、ケルトの民族衣装しか着たことがない彼には現代の服の着方が分からない所もあるだろうから少年が一つ一つ手伝いながら、ではある。
    装備を丁寧に外していく。その間に紙袋から借りた衣類と靴を取り出し並べるとそれらにはタグが付いており未着用という事が分かる。そして長官のセンスの良さを垣間見た。普段の彼は総理大臣という立場もあってしっかりとスーツを着こなしているので私服などは見たことが無かったが、ファッションに疎い少年でも格好良いと思えるコーディネートが揃っている。
    『最近よく見るダボついた服じゃない辺り、長官は分かってるな』
    ランダムテレコ素材のインナーとテーラードジャケット。下はデニムパンツ。体に沿うような服の為、フィンの騎士として鍛え上げられた肉体の輪郭を露わにするだろう。最初服を見たときは「動き辛そうだ」と顔をしかめていたフィンも少年に手伝って着付けていく内に段々と乗り気になっていった。
    「どうだろう?」
    「おお、格好良い…モデルみたい」
    背が高く、体格も良く、整った顔立ちのフィンはいつもの装束であっても勿論格好良いが、現代の服も綺麗に着こなしており彼の体に刻まれたタトゥーすら彼の魅力を引き立てる一つになっている。街を歩けばそれこそ女性達の目を引いてしまうのは間違いないだろう。そんなフィンの隣を歩くのは緊張するな…と思いながら、少年もレイヤードパーカーとスキニーパンツに着替えて支度を整えた。
    「さ、行こう」
    ボディバッグを背負い、フィンの手を引くと寮の部屋を後にした。


    何処を案内しようかと考えて、定番の一つであろう東京駅にやってきた。ダァトでは魔王城の入り口と化していた場所だ。見栄えのする煉瓦の駅舎と、その前にある石畳の広場には沢山の人が行き来をしている。
    「これが本来の東京駅だよ。さっき乗っていた電車って乗り物が留まる場所。移動の拠点だね」
    「中もまるで城のような作りだったが、外観も凄いな…」
    「凄いよね。修復したりしながら、完成して100年も経ってるんだって」
    「彼方では所々が壊れていたがこうして全景を見ると圧巻だな」
    見渡して目を瞬かせているフィンを見て、当たり前になっている光景ではあるが改めて凄い建築物なのだと認識した。
    『さて、建造物の次は食べ物かな』
    東京には美味しい物が溢れている。しかし学生であるから高い物は提供できない。フィンならば少年から与えられた物は何でも美味しく食べてくれるだろう。歩きながらでも食べられる物…とスマホで検索をかけると駅構内にタピオカ専門店があるのを見つける。最近まで専門店が乱立するほど流行っていたデザートであるし、面白いので彼に飲んでみて貰おうと決めた。
    「フィン、ちょっと喉乾かない?東京では有名な飲み物があるんだ」
    「へぇ、気になるな」
    空いた手を繋いで駅へと戻る。人混みを潜り抜け、地下へと向かうエレベーターに乗り、辿り着いたフロアにある構内図を見て目的の店へと向かう。途中「こんなにも複雑な通路なのに迷わないのか」と彼が言ったが、「うーん、慣れ?」と返して一つも迷うことなく店に到着した。丁度昼食の時間帯であるためか、いつも女性でごった返している店は比較的落ち着いている。しかしその店内でタピオカを満喫している女性達が現れた耽美な少年と美丈夫であるフィンに、瞬時に、そして一斉に目を奪われている事は本人達には分からなかった。
    カウンターで並ぶメニューからオーソドックスなアールグレイミルクティーを選ぶ。大きさは、甘さは、氷は、トッピングは、と店員に訊かれて辿々しくも何とかテイクアウトでの注文を終える。お待たせしました、と手渡されたタピオカミルクティーのトールサイズを二つ、一つをフィンに手渡すとそれを見た彼は目を丸くした。
    「何、だ、これは…何かの魚の卵か…!?」
    「んぐっ」
    奇妙な物を見る目つきでタピオカを睨むフィンに、少年は思わず咽せた。確かに少年も初めてこれを見たときは蛙の卵かと思ったものだ。
    「違うよ、お菓子みたいなもの。これで吸って食べるんだ。ああ、一気に吸ったら変なところに入るからゆっくりな?」
    「ふむ…」
    説明を聞いて尚も訝しげな表情のまま、そっとストローを銜える。薄茶色の液体が吸い込まれ、その中にタピオカも混じっている。吸うのを止め口の中に入ったそれを咀嚼するのを見守っていると表情が徐々に和らいでいった。
    「ん、美味いな。確かに甘くて菓子のようだ」
    一口飲み、フィンはタピオカミルクティーを気に入ったようで二口目を口に含んでいる。二人して有名店のタピオカミルクティーを飲む姿は周りから見れば今時の若者なのだろうなと思いながら店を後にした。駅から脱し、次の目的地に向けて歩く。
    「東京にも皇様の住むお邸があるんだよ。開かれてる場所は見て回れるんだ」
    ビル群に囲まれている中で厳かで高貴な雰囲気を纏うその場は東京に訪れたなら必ず一度は見て回りたい場所だろう。普段は室内でゆっくり読書に励む少年も気分を変えたいときはこの開かれた苑内を訪れ、緑の上にレジャーシートなんて引いて青空の下で読書をしたりもする。それでも心が落ち着くのだから素晴らしい場所だ。
    高いビルとアスファルトの道を抜けて現れた緑の広場にフィンは瞳を瞬かせる。
    「ここにお前さんの世界の王が居るのか。確かにこの場は空気が澄んでいるな」
    やはり神話の騎士である彼には神聖な力が溢れている事が分かるのだろう。リラックスし深呼吸しているのを眺めつつ散策する。木漏れ日が降り注ぐ緑の上には遊びに来た親子も居るし、休憩をしているサラリーマンも居た。広場に抜けると観光客の姿もあり、水路を挟んだ向こう側には美しい造形の橋が架かっているのが見える。
    「ダァトでは見なかった景色だ」
    「あっちだと緑が残っているのはオベロンの庇護下にある妖精の集落ぐらいだったもんね」
    森の中で育ち騎士となっても自然と共にあったフィンにとっては落ち着く景色なのだろう。
    『そういえば周辺を散歩はした事がなかったな』
    と、連れ添い歩きながら思う。改めて見渡してみると美しい建造物に手入れの施された緑、水面には水鳥が泳いでいておおよそ忙しなく時の流れる大都市の中では此処だけ隔離された神聖な場所なのだと認識した。フィンと共に巡らなければきっと日常の景色の一部というだけで終わっていただろう。
    タピオカミルクティーを飲みながら、辺りを見て回った。屋敷跡や、馬に跨がる侍の像を眺めて「これがこの国の騎士の姿だよ」と説明すればフィンは興味津々に鎧兜の装備を眺めていた。
    「そろそろ帰ろうか」
    そうして暫く散策した後に提案すると、フィンも頷いた。
    スマホで時刻を確認すれば帰宅ラッシュが始まる前であったので、混む前に寮まで辿り着くことができた。扉を開けて部屋に入れば久々の外出の疲れが一気に溢れて出てくる。
    「凄く楽しかった。お前さん、有り難うな」
    慣れないジャケットを脱いだフィンが感謝の声をかけた。
    「うん。また色々行ってみような」
    見知った景色でも彼に説明をしながら歩く内にまた行ってみたいと思える新しい魅力が発見できた。鞄とスマホをテーブルに置いて窓の外を見れば、空が夕焼けに染まっている。部屋の明かりが漏れるからとカーテンを閉めていると、ふと背中から抱き締められた。逞しい彼の腕が腹部に回されている。
    「お前さんと二人きりになるのは、久しぶりだな」
    ダァトで活動する間は仲魔達と共にパーティを組んでいなければ襲いかかってくる悪魔や強敵達と渡り合うことは出来ない。故に二人きりになれる時はごく僅かで、最近は魔人とやり合っていたためその僅かな時も減っていた。回された腕に力が籠もり、「お前さん」と甘く囁くフィンの声が少年の耳を擽った。
    「フィン」
    それだけで先程まであった疲れが何処かへと吹き飛んでしまう。カーテンを閉め切ってから彼の腕の中で向き合うように体制を変えると、少し背伸びして口付けを交わした。小鳥が啄む口付けを数回繰り返して、フィンは少年をベッドへと誘導する。その上に腰を降ろすと甘えるように頬に口付けた。
    「改めて見ると、フィンって本当に体格が良いよね」
    肌に沿うようなランダムテレコ素材の服が浮かび上がらせる彼の肉体の凹凸をその布地の上から辿る。柔らかな胸筋と硬い腹筋を撫でれば、彼はその悪戯な手を掬い取り手の甲に口付けた。
    「惚れ直したか?」
    訊けば、少年は白い頬を可愛らしく染めて答える。
    「…いっつも惚れ直してるよ」
    事実フィンと主従関係になり、情を交わし合う伴侶となってから彼の一面を垣間見る度に益々惚れ直している。取られた手を擦り合わせて指を絡める。フィンの空いているもう片方の手がスキニーに包まれた少年の太股を撫で、下腹部を柔らかく押す。
    「ん、フィン…」
    ただ押されているだけだというのに、フィンの躰と彼から与えられる快感の味を知っている少年の躰は徐々に熱を上げた。久々に二人きり、という事もあって甘い空気に気持ちが昂ぶっていく。フィンは身を屈めると熱い息を吐く少年の首元に顔を埋め、東京を散策したためにほんのりと汗の香りがする肌をねっとりと舐めた。優しいフィンの愛撫に小さな嬌声を漏らしてしまう。繋がれた手に汗をかく。
    「お前さん」
    「フィン」
    顔を上げたフィンと少年は視線を交合わせるとゆっくりと瞼を閉じてそっと唇を近付けていく…
    「…ん?」
    後数ミリで触れ合うという所で、テーブルに置いてあったスマホがヴン、とけたたましい音を立てて震えた。少年は肩を震わせると瞼を開き揺れているスマホに視線をやり、フィンは薄く開くとスマホを睨んで煩わしげに眉を寄せた。甘い空気が少しだけ冷めてしまう。遠くから見える画面には敦田ユヅルの文字が浮かんでおり、もしかすると何か急ぎの用事かもしれないと断りを入れてから彼の腕から抜け、スマホを手に取り内容を確認する。
    メッセージアプリを介して彼から送られてきたメッセージには「長官より。その服は彼にあげる、との事だ。東京を散策する際に使うと良いよ」と文字だけで簡潔に書いてある。
    拍子抜けして思わず笑みを零すと、ベッドの上で少し不貞腐れている彼を手招きして呼び寄せる。
    「次は何処にデートに行こうか決めよう」
    そう言って地図アプリを立ち上げた。折角洋服を貰ったのだし、伴侶同士の甘い一時を過ごすのも幸せだが、もっと色んな場所を二人で見て回ろうと提案をする。招かれて少年の隣にやって来たフィンと一緒に画面を覗く。
    「フィンと初めて出会った御楯橋に行くのもいいな」
    「…お、それも楽しそうだ」
    少年の提案にフィンの機嫌も回復していく。
    二人寄り添い思い出話を沢山しながら地図を眺め、次のデートの予定を楽しみながら立てる内にすっかり日は落ちて、カーテンの隙間からは煌々と輝く月が覗いていた。
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    Mogmogsmaka

    MOURNING元ネタは🐜様の曲です。狩猟を行うおフィンと主ちゃんの雰囲気のみな小話。そんなに絡んでません。
    狩猟日誌小さい頃に生きるための術として狩りを教えられていた為、狩猟は得意だった。時折自分よりも体躯の大きな獲物に出会う事もあったがその知識と持ち前の腕で難なく狩る事が出来る。
    ダアトの荒廃した土地を疾駆する牡鹿を草むらに隠れながら追いかける。あれは脚が速いからと拵え携えた弓矢を構え、弦を引きその時を息を殺して待つ。耳元で弦が張るきりきりという音と草が風に揺れる音だけが響いている。顔を上げ辺りを警戒していた鹿が、僅かながらに残った青い草を食べようと首を下げる。その一瞬とも言える無防備な姿を逃さない。
    張りつめていた弦が弾け、空気を裂いて矢が飛んでいく。フィンの手から放たれたその矢は鹿の心臓を一息に貫いた。
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