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    Mogmogsmaka

    ハマったものを軽率に書いていきたいです。現在は真Vのフィン主メイン。

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    Mogmogsmaka

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    牡鹿フィン主の、牡鹿フィン対ゼウス。
    ※フィンの獣化注意
    ※ゼウスが完全に当て馬なので好きな方はご注意ください。

    #フィン主
    finMaster

    恋仇にもなり得ないゼウス、といえば。
    牛角神の系譜を持つ悪魔の一人であり、少年が合一しうる悪魔の一人でもあり、その事で姉であるデメテルと共にゼウスと少年を合一しナホビノにさせようと画策した、ギリシャの最高神。
    そんな彼の野望を打ち砕いた後、少年は仲魔として召還した。つまり今は少年に仕える身である。けれど一度至高天でやり合い、膝を折らせたと言えどその野心は留まるところを知らないらしい。不安な仲魔達を余所に少年は、
    「また何かあれば殴り倒せばいい」
    と見た目の麗しさに反し漢らしく拳を握って見せたのだった。
    「…」
    しかし仲魔達の中でも一際不満気であるのは少年の伴侶であり従者でもあるケルト神話の悪魔、フィン・マックールだ。
    先程まで少年の胸に顔を寄せて恋鳴きをしながら甘えていたが、ゼウスが巨躯を震わせて近付いてくると一気に豹変する。
    「オイ小僧、今日こそ俺と同衾しろよ」
    「断る」
    直球な誘い文句を間髪入れず両断する。彼の攻撃、サポート両方をそつなくこなせる万能さを買ってはいるが、情婦になれというのは承知していない。仲魔になってから最早数えるのも面倒なほどこの遣り取りをしている少年は最早扱いに手慣れたものだが、フィンは毎度毎度自分の伴侶に手をかけようとするゼウスが心底嫌いだった。
    「…ググググ…」
    「お、何だ畜生。またやる気か?オイ」
    攻撃的な唸り声を上げながら少年を庇うように前に出ると、激しく頭を上下させ威嚇する。緩く三つ編みに編まれた金の鬣が揺れた。
    フィンがゼウスから少年を守ろうとするこの遣り取りも茶飯事だ。少年がそれを止めずに見つめているのは、ゼウスよりもフィンが遙かに強いからである。仕えてからというもの、香や写せ身、それとたっぷりの愛情を注がれ強化された彼は何せ至高天で少年と二人だけでゼウスに打ち勝ったのだから。
    それなのに引かないゼウスに、フィンは立派な蹄のついた逞しい前脚を二回地面に打ち付けると緋紅色のマントを翻して、立派な角を構え勢いよく突進した。ゼウスは咄嗟に腕を交差させフィンの一撃を防ぐ。がきん、とけたたましい音が響く。上手く防ぐことが出来た…と思われたが、左腕に備わった黒刃の隙間を角で絡め取られ、そのままぐんと首を振り上げられて宙へと放られる。
    「ぬう…!」
    ゼウスの巨躯が軽々と宙を舞う。着地の為に体制を整える間に、フィンは体に提げた長剣の柄を銜え鞘から器用に引き抜くと高く振り上げた。長剣が瞬く間に光の槍、マク・ア・ルインへと変わる。
    「フーッ!」
    矛先を振り払いゼウスへと向ける。対するゼウスもその一撃を相殺すべく手を構える。
    しかしそこで漸く、少年から仲裁の声が入った。
    「フィン」
    「!」
    愛しい少年に名を呼ばれ、ゼウスを貫かんとしていたフィンは瞬時に構えを解きマク・ア・ルインを消すと、身を翻し少年の元へと走っていく。剣を鞘に納め、愛しい少年に首を下げて甘えて見せた。そんな彼の長い耳の裏を掻いてやりながら少年はダメージを受けることなく無事に着地を終えたゼウスを見た。
    「本当に懲りないよね。もしかして楽しんでる?」
    彼はやれやれ、と頭を振ると二人を見やった。
    「俺は本気だぜ?いつかソイツからお前を奪うからなァ」
    「無理だと思うけど」
    不毛な会話を続けているとフィンが長い睫を震わせて首を擡げ、少年の耳元に口を寄せる。
    「…うん、フィン。分かってるよ。大丈夫」
    伴侶である彼にしか聞かせない声色で何かを囁いたのだろう。首を撫で答える少年の頬はどこかほんのりと赤みを差している。種族を越えて愛を紡ぐ伴侶の遣り取りを眺めていたゼウスも踵を返す。こうして絆を見せつけられても尚、少年のことを諦めきれない執着心に我ながら少し呆れていた。何も言わず手を振り去るゼウスを視界の隅に納めたフィンは、二人きりになった今、隠すことなく伴侶への愛を囁く。
    「フィー、ミィ。フィオン。フィーン」
    体を擦り寄せ、頬に鼻先のキスを落とすとたっぷりと恋鳴きをして麗しい唇を舐めた。不穏だった空気が途端に甘い物に変わっていく。
    「俺も、お前だけを愛してるよ」
    舐めるようなキスを交わしながらフィンの鬣を撫でる。彼の立派な体躯がゆったりとした優しい動きでのし掛かってくるのを感じて、少年は赤くなった目尻を下げた。
    永遠の忠誠と愛を交わし蜜月の時間を味わう一人と一頭の絆は、誰にも裂くことは出来ないのだ。


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