再起 一歩、ふたりが足を前に進めるたびにぼたぼたと真新しい赤が地面に出鱈目な模様を描いた。先程から時間が経つにつれだんだんと、自分の左肩にかかる重圧が増していくのをラキオは感じていた。はじめは歩行を手伝っていただけのはずが、今やほとんど全体重が華奢な身体に乗っかっているような有様だ。ラキオは重い荷物を引きずるようにして、それでもなんとか歩みを止めずにいた。
どうにもこうにも血が止まらない。先程投与したばかりの止血剤は未だ効果を発揮していないようだった。鋭利な槍状の飛び道具に貫かれたレムナンの腹はいくら適切な止血処置を施していても手の付けようがないほど、次から次へと鮮血を吐き出した。それは彼自身のみならず、その身体を支えるラキオの手指や衣装をも赤く染めあげてゆく。
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