偽装交際あとがき+レムラキへの所感 蛇足とは思うけど、本文内に組み込み切れなかった情報などを残しときたかったのであとがき……というかレムラキに対しての解釈と願望をここに。
かつて愛玩物として飼われていた頃のトラウマから性的欲求や支配欲に強い恐怖心を抱いているレムナンと、自身に最も適した魂の形として第三の性である『汎』を選択し、恋愛感情やそれに付随する欲を持っていないラキオ。そんな二人だからこそ、D.Q.O.の中で生じたループ中、時折謎の絆を見せつけ、ノーマルエンドの後日譚では我々を混乱の渦に陥れてくれたのだと思っています。が、互いに一定の距離感を保ちながら良好な関係を築いている二人がより近しい間柄になるところが見たい……ッなぜなら私は強欲なオタクだから……。
そんな矛盾を抱えながら、自分なりに考え出した結論は『どちらでもいい』がラキオ最大の愛情表現なのではないかということです。グリーゼで長年共に過ごし、自身が発起した革命にまで付き合ってくれたレムナンに対し、ラキオが愛着を持ったり、情がわいたりする未来は想像にたやすい。でも、あくまで汎であるラキオが自発的にその感情を恋心に繋げる可能性は限りなく低いだろうなとも思っています。だからもし二人の関係が恋愛に発展するなら、それはレムナン発の気持ちから始まるものになるわけですが、彼も彼で過去の出来事があるので、なかなか「自分は汎だよ(≒恋愛感情持ってないよ)」ということを主張している人に好意を伝えたり、ましてや交際を申し込んだりできる性格ではない。じゃあどうすんの? ……って、そりゃあラキオのロジカルシンキングでレムナンの気持ちを解き明かしたうえで「僕はどちらでもいい」とラキオがレムナンの気持ちや欲を許すしかないでしょう。これが一番スムーズで見えやすいふたりの馴れ初めかなぁと(先日あげた漫画の『好意の受容』もこれにあたる)。
じゃあ、レムナン側がラキオに明確な恋愛感情を抱かなかった場合、二人の関係ってずっとD.Q.O.を降りたときと同じままなの? それはそれでブロマンス軸として私はおいしく受け止められるんですが、別パターンも考えてみたくなり今回『偽装交際』という受け皿を思いつきました。
伝わってるかどうかは分からないんですが、慣れない身体的接触やラキオが自分を優先してくれていることに対して喜びや恥じらいを示したり、そのポジションが他者に取って代わられることに不安を抱いているレムナンも、作中恋愛感情をラキオに向けてはいません。一方のラキオも、レムナンの世話を焼き、ときにからかいながら恋人ごっこという遊びに興じていたワケですが、これもラキオの意外に遊び好きという性格を反映させただけで、なにも本当にレムナンに対して恋愛感情を抱いているわけではありません。長年同じ組織で過ごした中で築いた信頼関係や、その間にわいた情、レムナンが初期からラキオに抱いていた敬愛や憧れの心。それらに偽装の恋人関係が乗っかって、更にはその嘘が真実だとまわりに広く信じ込まれ引っ込みがつかなくなったとき「まぁ、それならそれでいいか」「嫌ではないからいいか」となんとな~く恋人という名のつく関係におさまるふたりもアリでは…… という考えからのラストでした。
「この人相手ならどっちでもいい」ってそれはもう自覚があろうがなかろうが『愛』に違いないでしょう。恋人関係ではあるけれど、この二人の場合、恋を飛び越えて愛に着地したのかな、そうだといいな~と思っています。あと、今回レムナンもラキオに恋愛感情は持っていなかったので、なるべく二人が互いに向ける気持ちの重さの天秤が釣り合うように意識したつもりなんだけど、ここも読んでくださった方には伝わっているのか分からないな……。
ここに書いていることはすべて、私個人の考え・解釈に過ぎないので、私のかいたものは読み手さん側で好きに読んで好きに受け止めてもらえれば、それはそれで嬉しいです。感想など送ってくださった方もありがとうございました。
ハマりたてのときが一番自分自身のキャラ考察やカプ解釈を熱く語れるタイプなので、備忘録として今の気持ちをここに書き留めます。ご清聴ありがとうございました~!
2023.10.03 あびこ