よるのつづき朝方喉の渇きに目が覚めて、ペタペタと裸足のままキッチンに向かう。火照った身体に冷たい水がひやりと流れていくのを感じていると背中にぺたりと張りつく熱。
「みず……」
コップに残ったものを差し出そうとする光忠にむうと長谷部の唇が歪む。
可愛いなあ。
きっと隣にあった熱がなくなったことに気づいて淋しくなってここまで来たのだろう。
まだちょっと寝ぼけ眼の唇へと口に含んだ水を流し込む。
「ん、ん」
こくりと喉が動き
「ぬるい」
そう言う顔はわずかに緩んでいる。
「まだ早いよ。もうすこし寝よう」
「ん」
こくんと頷く唇の端についた水を舐め、そのまま柔らかい唇にそっと触れる。
ぐいと首に手が回され、離れるなとばかりに引き寄せられるから、つんつんと唇をノックして、どうぞと開いた隙間から舌を差しこむ。
「…ふっ…ん…」
水で冷えたはずの身体にポツンポツンと火が灯る。
羽織っただけのシャツの下から手を差し込むと、しっとりと汗に濡れた背骨を辿るように撫でさする。
「…ん…あっ…は…ん」
下着を着けてないさらりとした手触りの尻に両手で揉みしだくように触れると漏れる声に色がつき始める。
ゆっくりと離れると未練の糸がたれぷちんと切れた。
「んっ」
耳たぶに唇を寄せると汗と長谷部の香りが濃くなる。
「まだ柔らかいね」
ほんの少しまえまで光忠を包みこんでいた窄まりはまだしとりと濡れて、ひくりと指を引き込もうと蠢く。
「おまえのも」
長谷部の手が下着越しに形を確認するかのようにもどかしく触れ、押しつけるように腰が揺れる。
こつんと額をあてると菫色の瞳がねだるようにこちらを見つめる。
このままここで、それともベッド?
どっちがいい?
そんな野暮な言葉は胸に戻し、光忠はゆっくりと指を含ませる。
ふっと笑みを浮かべると長谷部はゆっくりと目を伏せた。
二人の夜はまだ終わらない。