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    mona5770

    Twitterに投げたネタをちょっとまとめたメモ置き場
    燭へしと治角名が混じっています。ご注意ください。

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    mona5770

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    宮治誕生日2022でUPしたもの
    古森視点誕生日プレゼントを贈ったことがない角名のはなし

    (治角名)プレゼントは?「え? 1回も? いままで1回も?」
    「何回も言うなよ」
    「だってつきあって何年だよ」
    「……10年くらい?」
    「えええそれで1回もないの?」
    「学生のころって肉まんとか、そういう感じじゃん」
     そんなの小学生だろと声をださなかったのは褒めてほしいかな。
     気配は感じたらしい角名がもちろん大学のころはメシおごったりしてたよとぼそぼそと続ける。
    「ありえないって顔してるね」
    「まあそれじゃ普通は許してもらえないじゃん」
    「俺だって女の子とつきあってたときはちゃんとしてたよ」
     まあそのあたり角名はそつないだろうなと古森は思う。
     妹がいるからというのもあるけれど、言い方は悪いがどうでもいい相手にはちゃんとできるのだ。この男は。
     きっと「残るもの」を渡して、自分の痕跡が相手のテリトリーに残るのが怖いのだろう。
     好きな相手、好きなものに対してだけ驚くほど臆病。
     バレーボールを続けることだって高校卒業の間際までチームメイトにすら教えてなかったというのだから、その慎重さは感服するほどだ。
     さらにプロになることも「EJPのプレスリリースで知ってんで! こいつほんまひどい奴やで」と宮侑がブリブリしていたから、徹底している。
     角名倫太郎とはそういう男だというのが、この数年間近でつきあった古森の感想。
     関西遠征のたびに宮治の家に泊まっているのに、部屋着はもちろん歯ブラシまで全部持ち帰るか破棄してくるということにも驚いた。
     たぶん相手にも「いつでも好きな相手ができたらそっちに行きなよ」って言ってるだろうし、その言葉を口にするたびに自分に言い聞かせて、けれそその言葉にいちいち傷ついているのだろう。
    「ばかだねえ」
     そら誕生日プレゼントも渡すはずがないか。
     それほど好きってことなんだよね。可愛い男だな。
     
    「でも今年はどうして渡すことにしたの?」
    「いつもは開幕と重なるから、関西遠征にあわせて飯にいってごまかしてたんだけど」
    「ああ」
     今年のEJPは開幕から遠征。それも大阪だったか。
    「誕生日って」
    「……10月5日」
    「あー」
     開幕にあわせて行われるプレマッチがその日だった。
     MSBYの本拠地での一戦で、ゲストも多いお祭りのような一戦で、だから翌日はオフ、そしてその会場にはご当地フードの屋台がいつも以上に出る予定で、人気のおにぎり宮がそのなかに入っていないはずはなく。つまりは同じ会場にいるわけで。
    「あーもしかして…誕生日やから祝ってやとでも言われた?」
    「……うん」
     ちょっと頬染めてるのが可愛いよというか何というか。
     何をやっても喜ぶことは、たぶん角名以外みんなわかっている。
     たぶんそのへんで摘んできた草だろうと「ありがとう」って関西訛りの柔らかい声色で言って大事にしまいこむに決まっている。
     絶対に。
    「そっか。じゃあなんか好きなものあるでしょ」
     帽子とかって続けようとした言葉は治の好きなもの? と口にした角名の爆弾によってはじけ飛んだ。木っ端みじんに。
    「飯と俺」
    「は?」
    「飯と俺じゃない?」
    「そーですかー」
     いつか来るかもしれない別れの影におびえて残るものを渡せない男の答えかよ。
     そこまで愛されてるってわかってるのに、
     ああでもほんとこれが角名倫太郎だ。
     こういうとこがたまらないんだろうなあ。
     侑と北さんは好きよりも大事って感じだしなあと続いた言葉はちょっとだけトーンが低くて、もうほんとなんというか……
    「はいこれ」
    「なに?」
    「リボン」
    「は?」
    「好きなものあげるのが一番だよ。プレゼントはオ・レって」
     リトマス試験紙かよとばかりにカアと顔を赤らめた男は、ちょいちょいギリギリ見えない腿や背に所有の痕をつけてるんだけどね。
    「待てよ、はあ?」
     何言ってんだよと言わんばかりの形相だったのに、ふっと素に戻り「ああそれでいいか」と独り言ちた。
     いいのかよ。それは言えるんだ。
     なんて言葉はもう口にするのはやめる。
     他人の恋路に口を出していいことなんて何もない。
     今まで何度も相談を受けては地獄を見てきた過去を思い出して、古森は戦線を撤退することを決めた。
     そんな古森の様子ももう目に入らないようすで、しばらく角名はローズグレイのリボンをどうやって結ぶか考えていたようだけど。、
     
     当日角名とストレッチをする背に、監督からの指示を伝える横顔にちょいちょい刺すような視線を感じ、古森は「最高のプレゼントをご用意したんで許してもらえませんかね」と心の中で何度もつぶやいた。
     ほんとどうやったらあの男、宮治が角名を手放すなんてこと考えられるんだろ。
    「えらい仲良うしてもらっとるようで」
     試合で顔をあわせるたびに威圧的な声でそう言われるこっちの身になってほしいし、あの嫉妬と執着がないまぜになった目を見たらわかるだろう。
     角名はもう一生あの腕の中から逃げることなんてできない。きっと。
     
     試合が終わって聖臣に八つ当たりみたいに絡みながら駅に向かっていると、角名を乗せたおにぎり宮の車が横を通り過ぎていった。
     プレゼントは俺なんてあの角名がほんとにするんだろうか。
     まあいずれにしても今日は離してもらえないだろうな。
     角名の腰が無事であるように、走り去る車にとりあえず手だけあわせておいた。
     
     翌日、角名からローズグレイのリボンが結ばれた手首と、リングがふたつのった掌がうつった写真だけが届いた。
     プレゼントは俺って言ったら、俺の人生丸ごともらわれたってことかい!
     そう突っ込みたかったけど、とりあえず「おめでと」ってスタンプだけ送っておいた。
     
     誕生日おめでとう。感謝するなら今度から威嚇するのはやめてね。
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