鈍感でたまに苛つく…でもね、、好きです。「先生、おはようございます。」
「ああ、おはよう。」
なんてことない、生徒と担任教師が早朝、廊下で職員室と教室に岐路が分かれるまでのほんの数分…多分、5分も無い。
並んで歩くのが毎日の楽しみ。
「まだ5月だっていうのに、かなり暑いな。」
「そうですね…」
本当に何も気にしないでボタンを第三まで開けて、パタパタするの、やめてほしい…ますます熱くなってしまう。
先生、絶対気付いて無いよね…。
いつもよりボタンひとつぶん開かれたその胸元、私には刺激が強いです…。
でも、一瞬のチラ見ながらも確実に見えた、シャツの色とも肌の色とも明らかに違う、金属の光沢を纏うもの。。
「先生って、アクセサリーとかするんですか?」
「え?ああ、これか。これ、指輪留めてるんだ。指だとまだPC作業の時に気になって…、あ、ほら、中澤が呼んでるぞ。」
先生の目線を追うと、教室のドアから手を振ってる友達が見えた。もう、瑞希ちゃん…、あと数秒はちょうだいよ。
でも、今日はちょっと助かった。
明日からちょっと早めに家、出ようかな。でも…やっぱり毎朝のこの数分を逃すのは惜しい。それに指輪の話をした翌日から時間ずらすなんて、なんかもうバレバレじゃない?
………あれ?私、気付いてほしかったんじゃなかったっけ…。
自問自答でぐるぐるするのを振り払うように、瑞希ちゃんのところまで早足で駆けた。