バックミラー越しに後部座席を一瞥すると、車の心地よい揺れに勝てずに眠ってしまった若者3人が見えた。すぐ後ろに座る暁人は窓に頭をこすり付けていて、真ん中の麻里とその隣の絵梨佳は二人で肩を寄せ合って眠っている。先ほどから後ろが静かになったと思っていたが、どうやらそろいもそろってお休みモードらしい。
運転しない奴は気楽でうらやましいと、軽くため息をつく。助手席の凛子はノートPCを開いて何やら作業中だ。走行中の車の中でよくも酔わずにPCをいじり続けられるものだなと少しばかり感心する。
『KK、もう諦めて皆で行けばいいんじゃないか』
そう言ったのはエドか、デイルか。
事の発端は、一通のメールだった。
数年に一度の頻度で依頼を受けている神社からのメールで、内容としては特に化け物退治でもなんでもない。穢れの浄化と、神域の確認、札の張り直しのみの簡単なものだ。
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