Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    846_MHA

    何かあればTwitter(@846_MHA)にご連絡ください。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 26

    846_MHA

    ☆quiet follow

    たいみつワンドロライ。同棲してるたいみつ。
    副題「目指せ、スパダリ全振りしばたいじゅ」

    #たいみつ

    手料理 隣で眠る恋人を起こさないように、そっとベッドから抜け出す。顔を覗くと、恋人は健やかな寝息を立てて気持ち良さそうに眠っていた。今日はお互い休みだからと昨日は大変盛り上がってしまったので、起きるまではまだ時間がかかるだろう。剥き出しの肩にそっと布団をかけ直し、まろい頬をひと撫でしてからキッチンへ向かった。
    『このベッドで朝飯食うってやつ。向こうで本当にやってんのかな。』
    『"breaksfast in bed"か。日常的な習慣じゃなくて、ちょっとした記念日なんかにやるらしいな。』
    『ヘェ、流石。』
    『興味あんのか。』
    『いや、オレ歯磨いてから食いたいし。でも朝起きた瞬間から今日はちょっと特別なんだって分かるの、なんか良いなって思って。』
    頭の中で、映画を観ながら2人で交わした昨夜の会話を反芻させる。最近作るのは恋人に任せきりだったので、手料理を振る舞うのは久々だ。もう少し自分も作らねばと反省しつつ、やるかと腕捲りをして鍋を手に取った。
     酢と塩を入れて沸騰させた湯に卵を落とし、ぐるぐるとかき回す。そのまま4分ほど待てばポーチドエッグの出来上がり。トマトを輪切りにして千切ったレタスの上へ置いた時、トースターからチンという音が鳴った。取り出したマフィンからは香ばしい香りともに湯気が立っている。トレイの上に出来上がった料理たちを乗せて、最後にコーヒーとオレンジジュースを添えれば"breaksfast in bed"の定番メニューの完成だ。そこで少し考えて、ため息をひとつ吐いた後に冷蔵庫から缶ビールを取り出した。
    『朝イチで飲むビール、背徳感あるせいかめっちゃ美味い。』
    と、以前に恋人が宣ったのを思い出したからだ。いつもなら止めるところだけれど、今日はちょっと特別な日ということで。
     時計を見ると10時を過ぎたところだった。頃合いだろうとトレイを持って、まだ恋人が眠っている寝室へ向かう。
     今日は記念日でもなんでもない。強いていえば、久しぶりに二人で一緒にゆっくり過ごせる、ただそれだけ。それだけのことが、こんなにも嬉しくて幸せだと思えてしまって、自分は恋人に出会って作り替えられたのだと痛感させられる。
     起きた瞬間から今日はちょっと特別だと分かった時、愛しの恋人はどんな顔をするのだろうか。トレイを片手に寝室のドアをそっと開けた。
     2人の、少し特別でなんでもない1日が始まろうとしていた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💴😍❤❤❤❤❤☺☺☺💒💒💯☺💒💒💒💒💒💒👏👏👏👏💒💞💞💞💞✝🇴🐉✝🇴ℹ😭💘💖💖😍💒💒😍
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    カンパ

    MOURNINGアラサーのたいみつが喫煙所でばったり会う話。
    煙草を吸うたいみつ とあるホテルの最上階のレストランで取引先と打ち合わせ。夜景が売りの店ではあるが、日が高い今のような時間帯では築ウン十年にもなる建築物の禿げた屋根やら色味に統一感のないビルやらが軒を連ねるのが見えるばかりで、百万ドルの夜景も鼻で笑ってしまう。即刻カーテンを閉めてほしいくらいだ。テーブルを挟んだ向かいに座る男はテーブルマナーがなっていないし、これが八戒だったら怒鳴り散らしているところである。
     商談の内容もたいしたものではなかった。ベンチャー企業に求めるべきものではないかもしれないが、あまりにも知見がない、リスク管理が足りない、度胸もない。つまるところ、このオレと新しい商売を始めたいなどという見上げた根性を持った奴ではなく、オレの威を借りて商売をさせてもらおうという狐みたいな男だったわけだ。五分ほど会話したところでこいつとの食事の時間が無駄なものに終わることがよく分かったが、だからと言って即刻商談の場を立ち去るほどは礼儀を捨てちゃいない。こうやってきちんと丁寧に食事をして、それなりの会話をする。しかしそうは言ってももう我慢の限界なので、連れてきた秘書に目配せをしてから「失礼」と断りを入れて立ち上がった。
    5072