自分だけに肌寒い日が続いて、毛布をかぶってホットカーペットの上でゴロゴロするのが気持ちいい。
日当たりのいい窓の近くは日差しが暖かいけど、隙間風がなくても窓から伝わる冷たさが何となく嫌で、少し離れた所で寝転がる。
「こーら。頭の下に何か入れろよ」
「うー。うん…」
ぼやっと寝ぼけたような頭をふわふわと撫でられてティーダは気の抜けた返事をする。
暖かい部屋と、大好きな人の声が聞こえてきて、ふんわりした気持ちになる。
「眠たいのか?遅くまで雑誌を読んでいたからだろう」
頭を支えられて、なんだろうと思っているとソファーの上に置いてあったクッションを頭の下に入れられた。
「頭まで茹であがってしまうぞ」
「ウン…」
毛布をかけ直してもらうと、それだけで嬉しくてまた眠くなる。何かがふわりと頬に触れて、かすかな笑い声が耳元で聞こえた。
このまま、幸せな気持ちでもうちょっと寝ていたい。
そんな事を考えているうちに、浅い眠りがいつの間にか深い眠りに変っていた。
暗い所から明るい所に移るような感覚で目が覚める。
なんだか寒いような気がして目をこすりながら体を起こすと、毛布が半分蹴り飛ばされていた。
「さむ…」
もぞもぞと毛布を引っ張り上げて包まると、また眠気がやってくる。
眼を開けていようと思っても眠気が勝ってしまって起きれそうにない。こんな時は寝てしまった方がすっきりすると知っているので、眠気に抵抗しないで目を閉じた。
近づいてくる足音に一瞬眠気から浮上するが、足音の主に安心してまた深くなる。
「なんだ、まだ寝てるのか?」
苦笑とともに横に座る気配にティーダはコロリと寝返りを打った。
柔らかい布の音と乾いた洗濯物の香りがする。
寒い時にはここで洗濯物を畳むのが日常になっているので、きっと今も乾いた衣類やタオルを畳んでいるのだろう。
「ん…」
もぞっと動くと額に暖かい物が触れる。すりすりと額をこすりつけると頭を撫でられた。
「寝ぼけているのか?」
ほら、と頭を動かされると気持ちのいい暖かさと少し硬い物が頭の下にあてがわれる。クッションよりずっといい感じなので、ティーダは甘えたような声を出して、また寝入った。
「甘えん坊で寝ぼすけだな」
そんな声にも嬉しくなって、するりと眠りに落ちた。
「で、あんたは動けなくなったってわけか」
帰ってきたクラウドに笑われても苦笑するしかない。
「だって、気持ちよさそうに寝ているから、つい…」
「足がしびれて動けなくなるまで膝枕をしてるのか」
呆れた声に「すまん」と謝ると、またティーダの頭を撫でる。
「だって可愛いだろう?」
「甘やかしすぎだ」
クラウドの言葉にニッと笑う。
「俺の特権だからな」
そう言ってティーダの頬を撫でるフリオニールは得意げに笑ってみせた。